失敗から学ぶ!MAツール導入の失敗の原因と成功のポイントを解説
高額な費用を投じたにもかかわらず、MAツールの導入効果を実感できない企業は少なくありません。MAツールの運用は一筋縄にいかず、優れたマーケターの配置や、長期運用に向けた体制の構築が必要です。今回は、過去の導入例を参考にMAツール導入の失敗原因と成功のポイントを掘り下げます。
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目次
MAツール導入の失敗原因とは?
ここでは、MAツールの導入に失敗する原因をご紹介します。
目的が不明確なまま導入する
MAツールを導入する目的をはっきりさせないまま導入してしまうと、期待していた効果が得られずコストだけがかかり続けてしまい、費用対効果が著しく低下する結果になりかねません。そのため、導入前に「MAツールを使って解決したい自社の課題は何か」を明確にしておくことが大切です。
「MAツールを導入すること」がゴールではなく、「MAツールで自社の業務効率を向上させること」がゴールであることを意識しましょう。
自社に合った機能が不足している/多機能すぎる
自社が抱えている課題を解決するためには、目的にマッチした機能をもつMAツールの選定が必要不可欠です。
例えばリピーターを獲得したいと考えて導入したツールに定期購入のための自動決済機能が用意されていないと、本来の目的を果たすことができません。一方で不要な機能が多すぎると使いにくく感じてしまい、運用効率が下がる可能性もあります。
機能的に過不足のないMAツールを選ぶことが大切といえるでしょう。
必要なリード数が不足している
昨今、「デマンドジェネレーション」がBtoBマーケティングにおいて浸透しはじめています。デマンドジェネレーションとは、ホットリード抽出までのマーケティングプロセスを「リードジェネレーション」「リードナーチャリング」「リードクオリフィケーション」といった3段階にわける考え方です。これはそれぞれ「見込み客の獲得、検討伺い、絞込」にあたります。
MAツールは上記ステップを自動化し、ホットリードの抽出、商談、成約に至るプロセスを効率化する目的で導入されます。これは裏を返すと、「保有リード次第では機能しない」といえます。MAはあくまでもリードありきのツールですので、自社の保有リードが少ないと導入効果も半減します。
コンテンツが足りない/設計がふさわしくない
MAツールの長所は、最も業務負荷の大きいリードナーチャリングの自動化にあります。それにはお客様の興味喚起を促す魅力のあるコンテンツが重要になります。例えば、メールベースでのMA運用であればメルマガ、Webコンテンツ、ホワイトペーパーなどのコンテンツを用意するのが通常です。
コンテンツが不足したりコンテンツの量産体制が構築できていなかったりすると、お客様の検討タイミングに合わせて具体的なアクションを促す効率が低下します。なぜならMAツールは、コンテンツ配信後に得たトラフィック情報をもとにリードナーチャリングを実施するためです。
根本のコンテンツが充実していない場合、「ターゲットが欲しがる情報とは何か?」「どのようなタイミングで情報が欲しいのか?」などが不明瞭となり、MAツールが真価を発揮できません。リード数と同じく、MAはコンテンツという土台ありきで機能するツールといえます。
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人的リソースが足りない
MAツールの導入で失敗する企業は、人材リソースを考慮しないまま導入しているケースが多いです。米国のマーケティング会社である「Marketo社」によると、MAツールの運用効率を高めるには6〜7人の人員が必要とのことです。
ならびに同社は「MAの運用チームはサッカーチームに似ている」と解説しています。優秀なマーケターが一人いても運用効率は向上せず、効果測定やLP作成、CRM(顧客関係管理)担当者などの専任メンバーが揃い、はじめてMAツール運用が安定するといいます。
一方で、運用チームにこれだけの人的リソースを割くのが難しいのも事実です。多くの企業は運営責任者一人に加え、効果測定やLP作成などを担うマーケターを1〜2人配置することになるでしょう。この先MAツールを導入する場合、自社で適切な運用体制を構築できるか、専任のマーケターを確保できるかを検討してください。
スコアリング設定が不適切
MAツールには、リードのアクションに対応した値(スコア)を設定する「スコアリング機能」が装備されています。例えば、メール開封を1点、料金ページの閲覧を3点、資料請求を4点と各アクションに対応するスコアを設定し、一定値を超えたリードをホットリードと定義する仕組みです。ここでの課題は、スコアリング設定に失敗すると正しくリードを抽出できない点にあります。
スコアリング設定が不適切な場合、営業部に引き渡すホットリードの質が下がります。商談化やその先の成約が期待できない顧客情報を渡すことになるため、セールス効率も低下します。
MAツール導入の失敗例
ここでは、MAツール導入の失敗例をご紹介します。事前知識なしに「とりあえず導入しよう」という考え方はリスキーですので、慎重に検討してください。
失敗例1.業務全体を自動化させたい
やみくもにMAツールを導入し、初期段階から躓いてしまう企業は少なくありません。過去の事例で多いのは「明確なビジョンをもたずに導入して失敗した」というケースです。これは経営側のMAツールに対する知識が乏しく、「MAツール=全業務を自動化できる」と勘違いしたことが問題です。
MAツールが自動化可能なのは、リードナーチャリングやリードジェネレーションなどのマーケティングプロセス全般です。コンテンツを配信するシナリオ設計、またスコアリング設定などはツールを扱う人間側の仕事となります。
MAは「全業務を自動化する夢のツール」ではありません。それを扱う人間側には一定のスキルや専門知識が求められるほか、自動化できる作業範囲も限られます。導入の際には、「MAツールには何ができて何ができないのか」を把握することが大切です。
失敗例2.MAを導入したのに成約率が上がらない
MAツールを正しく運用できていれば、抽出したホットリードから成約を得られる確率が高まります。それでも商談や成約に繋がらない場合、リードクオリフィケーションにおけるスコアリング設定が不適切と考えられます。
過去の例では、スコアリング設定の指標を設けずにMAを運用し、実際は確度の低い見込み客にアクションを起こしていたケースがありました。これでは成約率が上がらないのも当然です。
一方、スコアリング設定には正解がないのも事実です。「自社のターゲットは○○のようなコンテンツが欲しいはず」という仮説を立て、PDCAサイクルを回しながら運用精度を高めていくほかありません。なお、スコアリング設定は運用しながら調整可能です。リードのレスポンス状況や営業部からのフィードバックに応じて微調整する手もあります。
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MAツールの導入を成功させるポイント
MAツールの導入を成功させるには「目標設定」と「シナリオ設計の良し悪し」の2点が重要となります。ここでは、それぞれ詳しくご紹介します。
ツール導入の目的をはっきりさせる
「なぜMAツールを導入しなければならないのか」は企業によって異なります。
例えば「顧客管理を効率化したい」「メルマガ配信を効率化してコンバージョン率を向上させたい」などツール導入の目的を明確にすることで、自社に必要なMAツールの機能がみえてきます。
運用体制を万全にする
MAツールの運用にはある程度まとまったリソースが必要であり、スキルをもった人材の確保も重要になります。運用体制が整わないまま導入すると担当範囲が不明確になって効率的な運用ができなかったり、リソース不足で手が回らなくなったりする原因になりかねません。
「誰が」「どのような業務を」「どの範囲で」運用するのかあらかじめ決めておき、運用体制を万全にしておきましょう。
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コンテンツを充実させる
MAツールの効果を高めるためには、顧客にとって有益なコンテンツを配信し続けることが大切です。コンテンツを充実させて継続的に配信し、配信結果を分析して改善を重ねることで、より訴求力の高い運用が可能になります。
KPIを設定してKGIを達成する
MAツールの運用においては、KPI(重要業績評価指数)およびKGI(重要目標達成指数)の設定が重要です。段階ごとの達成目標を決めることで、MAツールの導入効果を客観的に評価できるようになります。
特に段階ごとの評価指標となるKPIの設定は重要です。
マーケティングの精度を高めるには、PDCAサイクルによる継続的な改善が必要です。しかし、PDCAサイクルはKPIを基準に回すため、明確な指標が設定されていないと現状課題や解決策がわからなくなります。運用前に具体的なKPIを設定し、KGI達成のためのさまざまな施策を検討してください。
シナリオ設計を入念に行う
MAツールの導入成果は、シナリオ設計が左右するといっても過言ではありません。実際の成功事例からみても、MAを上手く活用している企業ほどシナリオ設計に時間や手間をかけています。具体的には、「いつ」「どのタイミング」で「どのような属性のターゲット」に「どんなコンテンツを配信するか」を仮説検証し、シナリオに盛り込みます。シナリオが曖昧ではMAツールの真価を引き出せず、導入効果も実感できないでしょう。
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まとめ
MAツールは、自社のマーケティング施策を加速させる強力な武器となります。一方で、人的リソースが足りなかったり、運用体制を構築できなかったりすると、思うような効果が得られません。
人的リソースや運用体制に不安がある方には、配配メールBridgeのように、メール配信サービスでありながら、MAツールとの中間に位置し、効果的なマーケティング施策を運用できるサービスもあります。
MAツールと言えども、その機能の中心には、お客様の最適なタイミングでメールを配信し、その反応から検討顧客を見つけ出すメールマーケティング機能が位置しています。スコアリングやシナリオ設計など、しっかりとした運用体制が必要な機能よりも先に、少ない人的リソースでも運用可能なメールマーケティングから実践していくのも手です。
今回ご紹介したMAツール導入の失敗原因や成功ポイントをおさえ、改めて自社に必要なのか検討してみてください。