マーケティングオートメーションツールの事例と効果について解説
マーケティングオートメーションツールを活用すると手間がかかるマーケティング業務の多くを自動化できるため、効率的に顧客との関係構築やWebサイトの管理を行えます。しかし、具体的なイメージが湧かずになかなか導入に踏み切れないという方も多いでしょう。
そんな時は、実際の事例を参考にすると自社で運用する際のイメージが湧いてくるかもしれません。そこで今回は、マーケティングオートメーションツールの概要や効果、ツールを活用した具体的な導入事例をわかりやすく解説します。
目次
マーケティングオートメーションとは
従来のマーケティング活動は、マーケティング部門で獲得したリードを、確度にかかわらずフィールドセールス部門へと引き渡して関係構築から商談まですべての業務を担当営業が担っていました。
しかし、社内に存在するすべての見込み客と十分なコミュニケーションを図ることは難しく、見込み客の関心が高まっている時に適切なアプローチをしきれず関心が薄れてしまうという事態を招くという懸念点がありました。
マーケティングオートメーションを導入することにより、数百から数千、場合によってはさらに多くの見込み客をツール上で一元管理できるようになり、見込み客の関心の高まり具合や確度などを可視化して段階に応じたアプローチが可能になります。
リードを獲得してからコミュニケーションを図り、見込み客の関心を高めるための一連の業務を自動化できるため、少数の組織でも多くのリードに対応できるようになります。そのため効率的に利益を上げられる可能性も高まります。
マーケティングオートメーションで何ができる?
マーケティングオートメーションでは、自社のWebサイトを訪れた人の行動を分析したり、メール配信機能で顧客に有用な情報を配信したりするほか、顧客との関係を構築するリードナーチャリングも行えます。
マーケティング活動に必要なあらゆる機能がツールに集約されており、見込み客との関係性を構築し、確度を高めるための一連の業務を自動化できます。
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マーケティングオートメーションを導入する際の流れ
ここからは、マーケティングオートメーションを導入する際の流れについて解説します。
カスタマージャーニーマップを作成する
まずは「見込み客がどのような経緯で自社の商品を認知し、どのような手段で商品の性質や使い方を把握し、購入を決意するのか」という一連の流れを表す「カスタマージャーニーマップ」を作成することからスタートします。
カスタマージャーニーマップを作成する際は、リードが商品の購入を決定するまでのプロセスでどのような思考をしたり感情を抱いたりするのかを具体的に整理し、図などで可視化します。 カスタマージャーニーマップはBtoBにおいては「バイヤーズジャーニー」とも呼ばれます。
コンテンツを準備する
カスタマージャーニーマップの作成と同時期に、コンテンツの準備も進めます。 自社の商品やサービスに関心を持つ見込み客は、関心の高まり具合によって求めるコンテンツが異なるため、どのステップでどのコンテンツを提供するのが望ましいのかをよく検討しましょう。
リードの状態は「まだ自社の商品を認知していない」「自社の商品を認知しているが、知識はない」「商品を認知しており、具体的に情報収集もしている」「実際に商品を検討している」などに分かれます。
運用の基礎設計を行う
ツールで配信できるだけの十分なコンテンツを準備できたら、運用の基礎設計に移ります。見込み客の行動パターンや属性などによって複数のセグメントに選り分けて、セグメント別のアプローチ方法を考案しましょう。
例えば資料請求フォームを表示したものの、問い合わせずに離脱したリードは「関心あり」などに設定してフォローするなどのシナリオが考えられます。この段階では詳細な設計は行わずアウトラインのみを設計して、実際に運用し始めてから実績を見つつリアルタイムに改善を行っても構いません。
運用体制を構築する
マーケティングオートメーションの運用体制を構築する時は、専門的なスキルを持つ人材をチームに組み込むことが大切です。ツールはあくまでも業務効率化や自動化の手段であり、実際に成果を挙げるためにはマーケティングのノウハウが重要になります。
また、営業活動に関わる営業部門やマーケティング部門、インサイドセールス部門など、複数部門の連携も効果的な運用には欠かせません。稼働開始後も各部門の連携を密にすることで、よりツールを効果的に運用し、成約に至りやすい案件を創出できます。
効果の測定期間を設定する
運用開始後は一定期間ごとに導入効果を測定し、目標とする成果が表れているかどうかを確認することが大切です。そのためにも振り返りの期間をあらかじめ設定しておき、より良い運用をしていくための仕組みづくりを行いましょう。
期間を設定する際は「定例的に」「時々」などのあいまいな取り決めではなく、「月に1回」「週に1回」など具体的な期間を設定するのがポイントです。
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マーケティングオートメーションツールの導入事例
導入時に参考になる、具体的なツールの導入事例をご紹介します。
導入事例1:エン・ジャパン
エン・ジャパンでは、営業活動が属人化している問題を抱えていると同時に、内製のCRMやSFAに何万件もの扱い切れていない顧客情報が放置されていたことから、Marketo Engageを利用して課題の解決に取り組みました。
データベースを整備することで創出された数万件のメールアドレスに継続的なメール配信を行うことで、配信対象の75%を新規リードに加えることに成功しています。 加えて、リードの行動に応じた自動配信プログラムの構築やフィールドセールスへ案件を引き渡すプロセスの効率化も同時に実施しました。
これらの3つの取り組みが功を奏して、同社の問い合わせ件数は前期比2.4倍に伸長し、受注貢献金額は2.6倍になるなどさまざまな効果が現れています。
導入事例2:マネーフォワード
「お金の悩みをなくす」というミッションをもとに企業運営を続けるマネーフォワードは、マーケターやエンジニアの不足で十分にユーザーをフォローしきれていないという問題を抱えていました。そこで業務を自動化して不足分のリソースを補おうと考え、マルケトの導入を推し進めています。
マルケトの導入により入出金データを自動で取り込めるようになった結果、作業効率が改善して金融機関登録率が約20%向上しています。そのほかに、無料会員から有料会員に転換する際にかかる時間も約1/2に短縮されました。
導入事例3:ナシエルホールディングス /グローアップ
飲食業界の人材紹介サービスを運営するグローアップは、面談まで到達できなかったリードに再度コミュニケーションを取ることが難しい状況にあり、常に新規顧客を獲得し続けなければならない状況に置かれていました。
それに加え、十分に転職の意志が高まっていないリードに連絡しても面談化率が低く、担当者が同時にアプローチできる数に限界があるという問題も同時に生じていました。
そこでKairos3を導入してメール配信を行い、メールへの反応が良好なリードに絞り込んでテレアポを行ったところ、再面談の設定率が50%にまで向上するという成果を挙げています。
導入事例4:HeaR
採用コンサルティング会社のHeaRでは、ツールで作成した約200ものフォームで獲得したリードを手動でスプレッドシートに転記して管理し、リードに対してメール配信を実施していました。しかし、リストの重複管理が上手くできないことや、転記に工数がかかりすぎるという点を問題視してKairos3を導入しています。
マーケティングオートメーションを導入し顧客管理を行えるようになったことで、リードの管理工数が削減され、スコアリング機能を活用して新たなアポイントの創出もできるようになりました。
導入事例5:デジタルガーディアン
セキュリティソフトウエア販売のデジタルガーディアンは、展示会やセミナーを通じて獲得したリードをフォローしきれていませんでした。そこでリードに優先順位を設定してアプローチすることを狙いに、Kairos3を導入しました。
ツールを導入することで失注したリードの再検討タイミングに合わせてアプローチできるようになり、人員数はそのままにも関わらず案件数は約2倍に増加し、売上が約30%向上しています。
まとめ
業務効率化に大きく貢献するマーケティングオートメーションの導入を成功させるためには、段階的に設計を行って入念な事前準備を整えることが大切です。スキルを持った人材を取り込みながら、社内で連携を強化して運用体制を構築しましょう。
導入の方向性に迷ったときは、各社の導入事例を参照するのもおすすめです。自社の課題に近い事例なども参考にしながら、独自の運用を確立しましょう。