コンバージョンの定義や種類、計測方法まで詳しく解説
サイトのコンバージョンは、売上を左右する重要な要素です。しかし、コンバージョンの具体的な種類や計測方法がよく分からないという方もいるのではないでしょうか。そこで今回は、コンバージョンの定義や種類、計測方法などについて解説します。
目次
コンバージョンとは
コンバージョンとは、日本語で「変化」や「転換」という意味の言葉です。マーケティングにおいては商品の購入やサンプルの申し込み、会員登録など、Webサイト上で最後にもたらされる具体的な成果のことを指しています。
企業はWebサイトに多くの訪問者を集めるためにさまざまな集客施策を行いますが、最終的な目的はユーザーにコンバージョンを起こしてもらうことです。自社のWebサイトに訪問してくれたユーザーのうち、どのくらいの割合でコンバージョンを起こしてもらえたかによって、成果は大きく変動します。
仮に10,000人の訪問者がいても、商品を購入した割合が1%と10%では売上には10倍もの差が付きます。したがって、集客によって訪問者を集めた後はどのようにコンバージョンを起こさせるかが重要になります。
コンバージョンの種類
一口にコンバージョンといっても、細かく分けるとさまざまな種類があります。ここでは、代表的な5つのコンバージョンの種類について解説します。
1.直接コンバージョン
直接コンバージョンとは、メディアやSNSなどに出稿した広告から直接Webサイトを訪問し、一度もWebサイトを離れずにコンバージョンを起こすことです。
例えばSNSのフィードに流れてきたコスメ用品が気になり、その広告からWebサイトを訪問して何らかの商品をカートに入れ、決済を完了すれば、そのアクションは直接コンバージョンと呼ばれます。
2.間接コンバージョン
間接コンバージョンは広告からWebサイトを訪問してサイト内を閲覧したものの、その訪問の際はコンバージョンを起こさずに一旦サイトから離れ、別の機会に再度Webサイトを訪れてコンバージョンに至ることを指しています。
コンバージョンを測定する際は、直接コンバージョンだけでなく間接コンバージョンも重視する必要があります。直接コンバージョンばかりに注目していると、一度はサイトを閲覧したもののコンバージョンに至らなかった潜在層を放置することになってしまい、機会損失を招いて新規顧客の獲得が思うように進まないケースがあるからです。
直接コンバージョンはその場でコンバージョンが成立するため目に見えやすい指標であり、他の指標よりも重視したくなりますが、間接コンバージョンにも目を向けることによって結果的にマーケティングの効率を向上させられます。
3.ユニーク・コンバージョン
ユニーク・コンバージョンとは、「ユーザーごとのコンバージョン」のことです。
例えばユーザーAがWebサイトを訪問して3個の商品を購入した時、「購入した商品の数」という観点からのコンバージョン数は3件です。しかし、ユーザー単位で見ると1人のユーザーが購入しているため、ユニーク・コンバージョンは1件となります。
4.ビュースルー・コンバージョン
ビュースルー・コンバージョンは、「広告を閲覧はしたがクリックはしていないユーザーが、Webサイトを訪れてコンバージョンに至ること」を指しています。
例えばあるユーザーがニュースサイトを閲覧中に、サプリメントの広告が表示されたとします。その広告をユーザーは閲覧したもののその場ではクリックせず、後日商品を取り扱っているショップのWebサイトを訪問して商品を購入した場合に、ビュースルー・コンバージョンであると判断されます。
5.クリックスルー・コンバージョン
クリックスルー・コンバージョンは、「ユーザーが広告をクリックしてWebサイトを訪問し、コンバージョンに至ること」です。同じ広告をクリックしたユーザーが2回以上コンバージョンに至っても、クリックスルー・コンバージョンのカウントは「1」と判定されます。
マイクロコンバージョンの考え方
コンバージョンは企業が最終的にユーザーに求める成果ですが、ユーザーはコンバージョンに到達する前に「マイクロコンバージョン」と呼ばれるさまざまな行動を起こしています。そこで、マイクロコンバージョンの考え方についてコンバージョンとの違いやメリットなどを解説します。
コンバージョンとの違い
コンバージョンは「ユーザーが最終的に到達するアクション」であるのに対して、マイクロコンバージョンは、「最終的なコンバージョンに到達するまでに必要な、中間地点のコンバージョン」のことを指しています。
例えばあるユーザーが旅行に行くことになり、ホテルの予約を取らなければならない場合、最終的なコンバージョンは「ホテルの予約を取る」ことです。しかし、ホテルの予約が成立するまでには、ユーザーは「複数のホテルを比較する」「ホテルのWebサイトを見る」「宿泊プランを見る」などのさまざまな行動を起こしています。この「コンバージョンを起こすまでの通過点にあるアクション」のことを、マイクロコンバージョンと呼びます。
マイクロコンバージョンに設定するアクションの内容は、コンバージョンによって多種多様です。コンバージョンが「ホテルの予約」の場合、マイクロコンバージョンは「ホテルの予約フォームにたどり着く」ことになるでしょう。「自社商品の購入」がコンバージョンであれば、マイクロコンバージョンには「商品をカートに入れるボタンをクリックする」などが設定されます。
活用のメリット
マイクロコンバージョンは、コンバージョンの件数が少ない場合にマーケティングが成功しているかどうかを判断する材料として活用できます。
例えば数千万円の高額な商材を扱っているなら、毎月の成約件数が数件程度しかないことも十分に考えられます。しかし、母数が数件ではマーケティングが成功しているのかどうか判断しにくいといえるでしょう。そこで「注文フォームに到達した件数」などのマイクロコンバージョンを指標にすることによって、マーケティングの成否をはかるという方法があります。
さらに、マイクロコンバージョンを測定することによって、コンバージョンを起こす前にユーザーがどのような行動を取っていたのかを数値化できます。
ある月からコンバージョンが低下し始めるなどの変化が起こった場合に、マイクロコンバージョンの数値を確認することでコンバージョンが低下している要因を分析しやすくなります。
マイクロコンバージョンの活用ポイント
マイクロコンバージョンを効果的に活用するためには、最終的に到達させたいコンバージョンに関連する指標を設定することが大切です。
「商品の購入件数」というコンバージョンを増やしたいと考えているにもかかわらず、「会社情報の閲覧回数」をマイクロコンバージョンに設定しても関連性が薄いためにコンバージョンの改善効果はあまり期待できません。
マイクロコンバージョンの導入後に思うような成果が出ない場合は、設定する指標が適切かどうかを確認してみましょう。コンバージョンに至るまでにはどのようなアクションが必要になるのかを洗い出し、適切なマイクロコンバージョンを指標に採用することが重要です。
コンバージョンの5つの具体例
Webサイトのコンバージョンにはさまざまな種類があるため、自社の目的に合わせて適切な指標を設定する必要があります。ここでは、コンバージョンとして設定される5つの具体例をご紹介します。
1.お問い合わせ
Webサイトのお問い合わせフォームなどから入る、ユーザーからの問い合わせもコンバージョンのひとつです。
扱っている商品やサービスが高額であり、Webサイトからの直接購入が期待しにくいケースや、直接商談して顧客とコミュニケーションをはかるプロセスが必要不可欠なケースなどはお問い合わせをコンバージョンに設定するケースが多いといえます。
例えば建築業界や不動産業界などは、一回の取引額が数千万円などと高額になるため、まずは顔を合わせて商談を行ってからユーザーは購入を判断します。このことから、問い合わせの件数が増えるほど企業の売上につながりやすくなると考えられ、コンバージョンの指標として採用されることが多くあります。
2.商品の購入
ECサイトなどでは、Webサイトを訪問したユーザーが自社の商品やサービスを購入した件数や売上金額をコンバージョンの指標として採用するケースが多いです。
広告などによってWebサイトに集客したユーザーが商品を購入すればコンバージョンに至ったと判断されるため、比較的効果を測定しやすいケースといえます。
3.サンプルや資料の申し込み
「習い事や塾、スクールなどの資料請求」「小売業の製品カタログ」「化粧品のサンプル提供」「ソフトウェアの体験デモ」など、サンプルや資料の申し込みをコンバージョンに設定することもあります。
Webサイトを通じてサンプルや資料を請求してもらえれば、ユーザーの住所や電話番号、メールアドレスなどの個人情報を取得できるため、その情報を活用して電話やメールによる営業活動を実施できます。
4.イベント・セミナーへの申し込み
自社主催のセミナーや建築業界の内覧会、学校のオープンキャンパスなど、イベントやセミナーへの申し込みをコンバージョンに設定するケースもあります。
業種によってさまざまなイベントが開催されますが、イベントへの申し込みをWeb上で行うことによって事前に参加者の情報を押さえられるため、その情報をもとにしたフォローが行いやすくなるという効果もあります。
5.求人への応募
Webサイト上で求人案内を公開する場合は、求人への応募もコンバージョンになり得ます。
採用活動はどのような業種でも行われるため、あらゆる企業が求人への応募をWebサイトのコンバージョンとして活用できます。特に人材が不足している業界では、求人応募がWebサイトの重要な役割として設定されることもあります。
自社のWebサイトを通じて安定的にコンバージョンを獲得できるようになれば、求人情報サイトへの出稿料などのコスト削減も期待できます。
コンバージョンを計測する重要性
コンバージョンを定期的に測定しなければ、成果が漠然としたままWebサイトを運用し続けることになります。
例えば「売上アップ」という目標を掲げて、マーケティング施策としてSEO対策を行ったとします。しかし、コンバージョンを計測していなければ具体的な購入件数の変化が見えないため、SEO対策が売上アップに役立ったのかどうかを判断することができません。もしかするとSEO対策は根本的な原因ではなく、広告運用やSNSなど他の部分に原因がある可能性も否定できません。
コンバージョンを計測することは、「成果を上げるためにはどのような施策が必要なのか」を判断する上で重要になります。
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コンバージョンの計測方法
コンバージョンを計測する重要性についてお伝えしましたが、具体的にはどのような計測方法があるのでしょうか。ここでは、GoogleアナリティクスとMAツールの2つの例をご紹介します。
Googleアナリティクス
Googleアナリティクスとは、Googleが提供しているWebサイトのデータ分析ツールのことです。企業のマーケティングでよく使われており、Googleアカウントを取得していれば簡単な設定を行うだけで誰でも無料で利用できます。
Googleアナリティクスにはコンバージョンの目標設定を行う機能があり、目標を設定すると登録したWebサイトのコンバージョン測定が開始されます。
測定画面ではWebサイトを訪問したユーザーの流入経路や使用デバイス、エリアなど詳しい情報を分析することができます。Webサイト内で閲覧されている回数が多いページや多くのユーザーが訪れているページなども細かく把握できるため、マーケティングの効果改善を行う上で有効です。
MAツール
Googleアナリティクスは専門的な内容も含まれるため、使い方が難しいと感じる方もいるでしょう。そのような場合、MAツールを使うことによってコンバージョンの測定が可能です。
MAツールとはマーケティングを自動化するためのさまざまな機能を備えたツールであり、メールマーケティングにおいてステップメールを配信したり、あらかじめ設定したシナリオに沿って顧客リストの中から自動的にメールを配信したりと、マーケティングにかかる工数を削減する効果があります。
MAツールには機能別の効果測定ツールも備わっているケースがほとんどであり、ツールを使ってマーケティング業務を効率化した上で、マーケティングの成果が十分に表れているかを簡単に測定できます。データ分析の結果を参照して不十分な箇所があればすぐにツール内の機能から内容を改善できるので、PDCAサイクルを回しやすいというメリットもあります。
コンバージョン率とコンバージョン数の関係
コンバージョン率の高め方とコンバージョン数の増やし方は、似ているようで少し異なります。ここでは、それぞれに適した方法について解説します。
コンバージョン率の高め方
コンバージョン率を高めるには、「成約率の高い訪問者をWebサイトに集め、スムーズにコンバージョンへ導くこと」がポイントになります。
ターゲティングを明確に行ってコンバージョンに至る可能性が高いユーザーをWebサイトに呼び込み、訪れたユーザーを離脱させないような工夫を行うことが大切です。
例えば「ECサイトで購入された商品の数」をコンバージョンとするなら、自社の商品やサービスとニーズが合致するユーザーを集客し、商品の購入が完了するまでWebサイトから離れないようなサイトを構築する必要があります。その場合、商品をカートに追加するまでの導線をスムーズにしたり、決済ページの入力項目を最小限に抑えたりするなどの改善策が考えられます。
コンバージョン数の増やし方
コンバージョン数を増やすためには、「集客施策を行い、Webサイトの訪問者数を増やすこと」がポイントになります。
施策の内容はコンバージョンの指標によっても異なりますが、コンバージョンが伸び悩んでいる課題を見つけて改善すると良いとされています。
例えば「Webサイトのフォームから資料請求を行う」というコンバージョンを設定している場合、「なぜ資料請求の件数が伸びないのか?」という課題を解決するためのアクションを考えます。この課題について「Webサイトへの流入者数が少ない」という原因をさらに掘り下げていくと、「SEO対策が不十分で検索からの流入が不足している」「広告の出稿が少ない」「SNSを活用しきれていない」などの具体的な対策が見つかります。この一つひとつの原因に対処することで、Webサイトへの流入やコンバージョン数の増加が期待できます。
コンバージョンを複数設定する場合もある
Webサイトのコンバージョンは、状況に応じて複数設定する場合もあります。必ずしもひとつに限定しなければならないわけではないため、自社の課題に合わせて柔軟に設定すると良いでしょう。
例えばメインのコンバージョンが「商品の購入」だとすると、サブのコンバージョンとして「サンプルの申込」を設定する方法もあります。顧客の状況に合わせた「お問い合わせ」や「資料請求」などの複数のコンバージョンポイントを組み合わせて、顧客のアクションを促す方法もあります。。
企業によって指標となるコンバージョンは大きく異なるため、まずは自社に必要なコンバージョンが何かを洗い出した上で、Webサイトを活用して実現できるコンバージョンを設定することをおすすめします。
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まとめ
コンバージョンは、企業がWebサイトに訪問したユーザーに対して最終的に期待している成果のことです。これにはさまざまな指標があるため、データ分析に活用する際は自社に合ったものを選択することが求められます。これからコンバージョンを特定しようと考えている方は、まずはGoogleアナリティクスでの取得がおすすめです。