セグメントマーケティングの基礎知識やポイントについて解説!
セグメントを効果的に活用してマーケティングに取り入れることは、広告出稿や商品企画・販売を成功させるために非常に重要です。今回は、セグメントマーケティングの基礎知識やポイント、よく用いられる4Rの考え方などについてご紹介します。
目次
セグメントマーケティングとは
セグメントマーケティングとは、市場にいるユーザーをある条件に基づいてグループ別に分類し、そのグループごとに個別のマーケティング活動を行うことです。
市場にはさまざまなユーザーがおり所属や年齢、性別、興味・関心などは一人ひとり異なるため、全てのユーザーに同じマーケティングを実行しても高い効果が期待できないケースは少なくありません。このことから、一人ひとりに合わせたマーケティングを行うことで効率的に訴求効果を高められるセグメントマーケティングが注目されるようになりました。
セグメントとターゲットの違い
セグメントとターゲットは混同されやすい言葉ですが、意味合いが大きく異なります。
セグメントは「区分けすること」であり、マーケティングにおいては前述のように所属や年齢、性別、興味・関心などに基づいて市場のユーザーをグループ分けすることを指します。「ユーザーのセグメントを行うこと」は一般的に「セグメンテーション」と呼ばれます。
一方の「ターゲット」は、セグメンテーションによって分けられたグループのなかで、自社が訴求対象とするセグメントのことを指します。セグメント自体はさまざまな条件で分けられ複数存在していますが、自社の訴求対象となるのは一部であり、そのターゲットを決める行動を「ターゲティング」と呼びます。
セグメントを行った後にそのセグメントのなかから自社のターゲットを決める流れをたどるのが一般的であり、セグメントとターゲットには深いかかわりがあるといえるでしょう。
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広告・宣伝におけるセグメントマーケティング
広告におけるセグメントマーケティングでよく利用されるセグメンテーションには、次の3つがあります。
ジオグラフィック分類
ジオグラフィック分類とは、国や地域、居住地などをもとにしてセグメンテーションを実施する分類方法です。
例えば、「東京都新宿区に在住している人をターゲットにした施策」などはジオグラフィック分類に基づくセグメントマーケティングといえるでしょう。さらに「東京都新宿区の〇〇通りをよく訪れる人向けに広告施策を行う」など、より限定的なセグメントマーケティングも可能です。
ジオグラフィック分類では地域性を重視したセグメンテーションが行われるため、そこに所属する人の年齢や性別、興味・関心などに統一性はみられないのが一般的です。
サイコグラフィック分類
サイコグラフィック分類とは、個々のライフスタイルや価値観、興味・関心、性格などをもとにセグメンテーションを行う分類方法です。
例えば「ミニマルな暮らしをしたい」と考えている人向けにミニマリスト向けの暮らし方を提案することなどは、サイコグラフィック分類に基づいたマーケティングといえます。また「もっと痩せてきれいになりたい」と考えている人にダイエット食品を勧めることも、サイコグラフィック分類をもとにしたセグメントマーケティングの一例です。
サイコグラフィック分類によるマーケティングでは、相手の興味・関心にリーチするように広告の表現方法などを工夫するとさらに効果が高まりやすくなるといえるでしょう。
デモグラフィック分類
デモグラフィック分類とは、年齢や性別、所属企業、役職、家族構成などの情報をもとにしたセグメントを行う方法です。特にアパレル分野ではデモグラフィック分類がよく利用されており、「20歳代の女性向け」「40代の男性向け」など、年齢や性別に基づいてセグメントマーケティングを行うケースはよくみられます。
さらに、不動産業界では「単身世帯向け住宅」「子どもがいるファミリー向け」など、家族構成を重視したデモグラフィック分類に基づくマーケティングが行われるケースもあります。
商品企画・販売におけるセグメントマーケティング
商品企画・販売においても、セグメントマーケティングの考え方を応用できます。しかし商品企画・販売のセグメントマーケティングでは、前述の広告におけるセグメントマーケティングの考え方と少し手法が異なります。
商品企画・販売では、ユーザーの属性や興味・関心などの情報以外にも、さまざまな情報を総合的に判断してマーケティングを行う必要があります。例えばユーザーの過去の購入情報やブランドへのイメージ、購入頻度や購入の意思決定プロセスなどを考慮した上でマーケティング施策を立案することで、高い効果が期待できるといえるでしょう。
広告宣伝で成果を上げるよりも複雑な要素が絡み合うため、セグメンテーションも複雑性が高くなる傾向にあります。
行動変数は重要な要素のひとつ
商品企画・販売のセグメントマーケティングを行う際には、行動変数がよく用いられます。
行動変数とは「購入履歴や商品に対する知識量、サイトへの訪問履歴など、ユーザーの行動からマーケティング方針を定めるための指標」です。近年ではMAツールなどのシステムが発展したことで顧客データを収集することは比較的容易になったため、収集したデータを分析してマーケティングに活用することもめずらしくなくなったといえます。
行動変数では「Aという商品を購入したユーザーは、Bの商品も併せ買いしやすい」などの傾向を導き出して、ユーザーの行動パターンを明らかにした上で商品企画を行うなどのマーケティング施策が取られます。
セグメントマーケティングに重要な4R
セグメントマーケティングを行う際は、「4R」と呼ばれる4つの項目を意識して進めるとスムーズかつ効果的なセグメンテーションを完了させやすくなると考えられています。
Rank
Rankは「優先順位」をあらわします。
セグメンテーションを行った上で各セグメントにアプローチの優先順位をつけることで、自社にとって優先度の高いユーザーを明らかにすることができます。優先順位を間違えると利益が少ないセグメントに工数を割くこととなり、十分な売上を立てられないなどの問題が発生する可能性があるため、優先順位づけは重要な工程です。
Realistic
Realisticは4Rにおいて「市場規模」をあらわします。
どれだけ良い商品やサービスをもっていたとしても、市場にターゲットとなるユーザーが存在していなければ商品が売れることはありません。そのため市場規模を事前に調査し、参入に値するユーザーが市場に存在するかどうかを確認することは、十分な売上を確保する上で重要であるといえます。
Reach
Reachは「到達可能性」をあらわす言葉です。
市場に十分なユーザーが存在することを確認した上で、自社が選定したセグメントに対して自社の商品やサービスを届けられるかどうかを判断する必要があります。自社が市場のなかのどのユーザーにアプローチすれば良いのかを見極めるための材料が揃っていなかったり、アプローチのための手段をもっていなかったりする場合は、市場に十分な規模があったとしてもマーケティング施策を行うことができないためです。
Response
Responseは「効果の測定可能性」をあらわします。
マーケティング施策の効果を測定できなければターゲット選定が適切なのかどうか判断できず、十分な効果があらわれないマーケティング施策を続けてしまうというリスクが伴います。そのため特定のセグメントに対してマーケティング施策を実行した後で、効果測定を行えるかどうかを明らかにしておくことが大切です。
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まとめ
セグメントマーケティングを行うことで自社の商品やサービスを必要としているニーズの高い顧客にアプローチすることが可能になり、受注の確率を高めて売上向上につなげることができます。広告・宣伝と商品企画・販売では活用する変数が異なるため、自社の目的に合ったセグメンテーションを行いましょう。
セグメントマーケティングを行う際は、4Rの考え方なども取り入れるとよりスムーズに業務を進めやすくなります。今回ご紹介した内容も参考にしながら、ぜひセグメントマーケティングに取り組んでみてください。