ポジショニングマップの作成方法や作成時の注意点を徹底解説
ポジショニングマップとは、2つの異なる軸を活用して自社と競合他社の商品を配置し、今後のマーケティング方針を定めるための図表のことです。ポジショニングマップを作成する際は、自社のターゲット層がどのような購買意思をもっているのかを洗い出し、自社と競合他社を比較しながら分析することが大切です。
ポジショニングマップの作成時は、購買決定要因に優先順位をつけたり関連性の低い2軸を選んだりすることが重要になります。今回は、そんなポジショニングマップの作成方法や作成時の注意点をわかりやすく解説します。
目次
ポジショニングマップとは
ポジショニングマップとは、異なる意味合いの2つの軸に自社の商品や競合他社の商品を配置して、自社が実施していくマーケティング戦略の方向性を定めるために利用する図表のことです。
ポジショニングマップを作成することで、自社の商品やサービスが競合他社の製品と比較してどのようなポジションに位置しているのかが可視化され、競合他社との差別化をはかりやすくなる効果が期待できます。ポジショニングマップは既に販売している商品やサービスのマーケティング戦略の方向性を見直す際にも活用できますが、新商品を企画・販売する際にも役立ちます。
ポジショニングマップを成功させるための条件
ポジショニングマップを成功させるための条件は、3つあるといわれています。
ひとつめは「ポジショニングを行うターゲットの規模が適切であること」です。
アプローチする市場が大きすぎるとマーケティング戦略がぶれやすくなりますが、反対に市場が小さすぎると十分な顧客数が得られず売上にはつながりません。
加えて、「商品やサービスの販売側が想定しているポジショニングを顧客に正確に伝え、共感してもらうこと」も重要です。
自社が想定しているポジショニングが顧客に伝わっていないと、どれだけアプローチしても顧客とすれ違ってしまい、高いマーケティング効果は得られません。
さらに、「販売側の企業のブランドイメージと商品・サービスのポジショニングが一致していること」も大切になります。
販売する商品やサービスは、自社のブランドイメージに沿ったものでなければ顧客の共感を得にくくなります。
ポジショニングマップの作成方法
ここからは、実際にポジショニングマップを作成するための4つのステップをご紹介します。
ターゲット層の購買決定要因を洗い出す
ポジショニングマップを作成する前に、まずはターゲット層の購買決定要因を洗い出す必要があります。わかりやすく言い換えると「ターゲットとなる顧客はなぜ自社の商品やサービスを購入しようと決意するのか」を洗い出す作業のことです。
ポジショニングマップを作成するにあたって必要になる情報は、「顧客が自社の商品を購入するための購買決定要因」であることから、「顧客はなぜ自社の商品やサービスを購入するのか?」を突き詰めることで、ポジショニングマップを作成する下準備が整います。
購買決定要因のうち、購買を決定づけるものを選定する
購買決定要因を洗い出したら、そのなかでターゲットが自社の商品やサービスを購入する決め手となるものを導き出します。
例えばパソコンを購入する際の購買決定要因には「CPUの性能」「ディスプレイの大きさ」「本体の重さ」「価格の安さ」などが考えられますが、ターゲットによってどの購買決定要因を重視しているかは異なります。
仮に「パソコンに詳しくない20代女性」がターゲットであれば、CPUの性能は購買決定要因としてはそれほど重視されない可能性が高いといえます。購買決定要因に優先度を定めることで、ポジショニングマップを作成する際に軸にする要素を選びやすくなります。
自社と競合他社の商品やサービスを比較する
購買決定要因の優先度を決定した後は、自社と競合他社の購買決定要因を比較していきます。
前述の例であれば、「パソコンに詳しくない20代女性」をターゲットとする自社にとっての購買決定要因が「簡単に利用できる」「軽くて扱いやすい」だったとしても、競合他社の購買決定要因は全く異なっている可能性があります。
例えば「スペックを重視する30代男性」をターゲットにしている競合他社は、「CPUの性能」「最新のパーツが使用されている」などが購買決定要因になると考えられます。このように自社と競合他社の商品やサービスを比較することで、市場における自社の立ち位置が明確になります。
ポジショニングマップの作成と分析を行う
購買決定要因を比較できたら、実際にポジショニングマップを作成していきます。 前述の例であれば、自社の優位性を把握するために「扱いやすさ」と「機能性」の2軸でポジショニングマップを作成する方法が考えられます。
ポジショニングマップを作成した結果、自社が販売しようとしている新商品は、競合他社と比べて初心者でも扱いやすく、シンプルな機能性が優位であることが判明したとします。この場合、「誰でも扱いやすく無駄のないシンプルな設計」をメリットとしてアピールすることが望ましいといえます。
ポジショニングマップ作成時の注意点
ポジショニングマップを作成する際は、次の3つのポイントを意識して作成を進めることが大切です。ひとつでも抜けている要素があると有用な結果が得られない可能性があるため、注意して作成に臨みましょう。
購買決定要因の優先順位を設定する
ポジショニングマップを作成するにあたって、購買決定要因の優先順位は必ず設定するようにしましょう。
ポジショニングマップは2軸から成り立っているため、一つひとつの軸がもつ意味が重くなりやすく、重要度の低い購買決定要因を軸に設定してしまうと「競合他社に対する優位性を可視化する」「他社との差別化をはかる」という目的を達成できなくなってしまいます。
また、購買決定要因の優先度はターゲットによっても大きく異なります。
例えば前述のパソコンを例に挙げると、「20代女性」がターゲットだった場合は組み立てやすさや本体の重さ、デザインが洗練されているかどうかなどが購買決定要因として高い優先度をもつと考えられますが、「20代男性」の場合は本体の重さがそれほど重視されない可能性もあります。
相関性が低い要素同士でポジショニングマップを作成する
ポジショニングマップを作成する際は、できるだけ相関性が低い2つの要素を選択することが重要です。例えば「重量とサイズ」「品質と値段」のような2つの要素は相関性が高いため、ポジショニングマップの2軸としては不向きです。
相関性が高い2つの要素を選んでしまうと、右肩上がりの直線状にポジショニングが配置されてしまうため、優位性の把握にはつながりません。
例えば「値段」を横軸、「品質」を縦軸に選んだポジショニングを作成すると、「品質が低ければ値段が安く、高ければ値段が高い」という結果が得られるだけです。値段や品質に対して軸を設定するのであれば、「風味」や「デザイン」など、相関性が高くない要素を選定することをおすすめします。
ターゲット層に合ったポジショニング軸を活用する
ターゲット層に合ったポジショニング軸を活用することも、活用性の高いポジショニングマップを作成するためには重要です。
例えばBtoBでパソコンを販売する場合、「外回りの多い営業担当」と「社内で制作を行うWebディレクター」では購買決定要因が異なります。さらに、「外回りの多い営業担当」のなかでも「地方都市」と「首都圏近郊」ではニーズが違ってきます。地方都市では営業車を活用して外回りをするケースが多いため、電車移動が中心になりがちな首都圏近郊の営業担当に比べると「本体のサイズ」や「重量」は購買決定要因の優先度が低くなりやすいといったイメージです。
まとめ
ポジショニングマップを作成することで、自社の商品やサービスの優位性を把握し競合他社との差別化をはかるための助けになります。今後のマーケティング戦略の方向性を決定づける上でも役立つため、ぜひ自社に合った軸を設定して作成してみることをおすすめします。
ポジショニングマップを作成する際は、購買決定要因の優先度を必ず設定しましょう。関連性の低い軸を設定してしまうと有用な結果が得られなくなってしまうため、ターゲット層に合ったポジショニング軸を活用することも大切です。