マーケティングと営業の違いって?役割や運用のコツを解説
マーケティングと営業にはそれぞれの役割があるため、各部門の担当者が自身の役割を明確に認識して業務に取り組むことが大切です。各々の役割を認識して協力し合うプロセスを構築することで、効率的な売上獲得へとつながります。
そこで今回は、マーケティングと営業の違いや具体的な役割、運用のコツについて解説します。
目次
マーケティングと営業はどこが違うのか
マーケティングと営業の大きな違いは、「対象」「目的」「期間」の3つの要素にあります。それぞれの違いについて詳しく見ていきましょう。
1.対象
マーケティングと営業の大きな違いのひとつに「対象」が挙げられます。マーケティングが対象とするのは「市場」であり、営業が対象とするのは「顧客」です。
マーケティングは顧客という個人を対象とするのではなく、自社がターゲットとする顧客がいる市場全体に対してアプローチする役割をもちます。具体的には広告を出稿して認知度を高めたり、キャンペーンを実施して自社の存在をアピールしたりと、施策の対象は市場全体になります。
一方の営業は対象が「顧客」という個人であり、営業担当者が一人ひとりに個別対応します。常に顧客への対応が最優先され、なかでも特に契約の可能性が高い顧客はより優先される傾向にあります。
マーケティングが市場全体を指すのであれば、営業は市場全体の一部分にあたる、といったイメージです。
2.目的
マーケティングと営業の違いには「目的」もあります。
マーケティングの主な目的は「自社と市場の信頼関係を構築すること」であり、市場と良好な関係性を築いて自社に対する信頼感を高め、最終的に契約に結びつけることを目指します。十分な信頼関係を築けていれば、大量のコストをかけずとも契約を獲得できる可能性が高まるためです。
一方で、営業の目的は「契約を獲得すること」です。
マーケティングと同様に市場や顧客と友好的な関係性を構築することは重要ですが、市場全体に影響を及ぼすマーケティングに比べると、「目の前にいる顧客に契約を結んでもらうためにはどのように動く必要があるのか」を重点的に考えます。
とはいえ、営業も顧客と長期的な信頼関係を築くことで結果的に安定した契約の獲得につながるため、契約を急いで一方的なアプローチをするよりも、顧客の目線に立ったアプローチを意識するほうがよい成果が出やすい場合もあるでしょう。
3.期間
マーケティングは自社と市場が良好な関係を築くことに重点を置いた施策を展開するため、長期的な視野をもって取り組むケースが多いといえます。すぐに成果が出ることはあまり多くなく、月単位、年単位の長期的な計画のもとに投資していくのが一般的です。
一方で営業は契約の獲得を目的としているため、比較的短期の視点に偏りやすいといえます。これには、会社の売上を確保するためには契約の獲得が必要不可欠であり、多くの会社では営業担当者にノルマが与えられていることが理由のひとつとして挙げられるでしょう。
マーケティング部門の役割
マーケティング部門の役割は「市場において、商品やサービスが売れる土壌を整えること」です。参入しようとしている市場を入念に調査し、自社の商品やサービスを潜在的に必要としている顧客を見つけ出したり、自社の商材が魅力的に見えるようにするためのアプローチを行ったりします。
つまりマーケティング部門の役割は「契約を獲得する営業部門のサポート部隊」であるともいえるでしょう。
マーケティング部門が商品やサービスの売れる基盤を構築できていれば、営業はより低コストで契約を獲得しやすくなるため、結果的に組織全体の売上アップやコスト削減につながると考えられます。
そのため、マーケティング部門と営業部門は別の組織ではありますが、データやノウハウの共有を密に行いながら連携していくことが重要になります。
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営業部門の役割
営業部門の役割は「契約を獲得すること」で、自社の商品やサービスを顧客に販売し売上を立てることが求められます。
契約を獲得するためには顧客とこまめなコミュニケーションをとって信頼を獲得し、ヒアリングを通じて課題を見つけ出し、自社の商品やサービスを活用して課題を解決するための提案を行う必要があります。
営業の手法はさまざまであり、マーケティング部門が獲得した比較的確度の高いリードにアプローチすることもあれば、営業部門が自らテレアポや飛び込み営業をかけて顧客を獲得することもあります。
マーケティングに必要な能力やスキル
マーケティングと営業では必要な能力やスキルが異なり、マーケティングの仕事を進めるには次の3つの能力やスキルを身につけることが求められます。
顧客の課題を発見する能力
マーケティング部門は、市場全体に自社の商品やサービスが売れる土壌を作る役割をもちます。そのため、「自社の商品やサービスを必要としているのはどのような人なのか」「市場はどのような商品を求めているのか」を把握する力を身につける必要があるといえます。
さらに自社の商品やサービスを必要としている人を見つけ出すということは、「自社の商品やサービスでどのような課題を解決できるのか」を明確に理解しておく必要があるということでもあります。
そのうえで市場における顧客の課題を発見し、その課題を解決するための商品やサービスを送り出すことで、自社の商品やサービスを効果的に販売できます。
課題解決力
市場の消費者は、自分の課題を解決するための商品を探しています。そのため、マーケティング部門は「顧客は課題解決のためにどのような行動をとろうとするのか」を理解することも大切です。
例えば「このような施策を打ち出すと、顧客はこんな行動を起こすかもしれない」という仮説を立てて、市場の動きを予測しながら課題を解決する力もマーケティングの仕事には重要だといえます。
経営者の視点に立った思考力
マーケティングには、経営者の視点に立った思考力も必要です。単に商品やサービスを市場に広めるだけではなく、経営者の視点で市場における自社の立ち位置を俯瞰し、マーケティングに結びつけるスキルが求められます。
例えば、マーケティングにおいては新製品を開発する段階から「自社のイメージ戦略をどのように展開していくか」「どういった流通経路で販売するか」などを総合的にプロデュースすることになります。そのため、自社の経営戦略を十分に理解したうえで最も適切な手法を選択する必要があるといえるでしょう。
営業に必要な能力やスキル
営業に必要な能力やスキルには、次の3つが挙げられます。
顧客に寄り添った考え方
営業には、顧客の立場に立って課題を解決する能力が必要になります。
自社の商品を一方的に押しつけると「この営業は自分の悩みについて真剣に考えてくれない」と思われてしまい、深い信頼関係を築くことができないでしょう。そのため、自分本位に自社の商品を押しつけるのではなく、常に顧客に寄り添った考え方でコミュニケーションをとることが求められます。
顧客を第一に考えて行動することが、自社への信頼や最終的な売上につながります。営業には顧客に寄り添って考える能力が必要だといえます。
充実したコミュニケーション能力
営業にはさまざまな取引先と商談を行い契約を獲得する必要があるため、充実したコミュニケーション能力が必要不可欠だといえます。加えて、スムーズにコミュニケーションをとり、相手によって対応を柔軟に変えていくスキルも求められます。
さらに営業は社内の調整役を担うこともあるため、社内でのコミュニケーションも積極的にとり、良好な人間関係を築いていく必要もあるでしょう。
計画力・実行力
営業は組織の売上目標に到達することを目的として計画的に営業活動を行い、自分に与えられたノルマをこなすことを求められます。加えて、提案した商品やサービスを滞りなく顧客に届けるために、スケジュールに沿って計画的に準備を進めるなど、計画力や実行力が必要な仕事であるといえます。
スケジュールが遅延すると、売上が上がる時期が遅くなり目標の達成に影響が出る可能性もあるうえに顧客からの信頼を失うことにもつながるため、営業は計画的に業務を進めることが大切です。
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まとめ
マーケティングと営業は、対象、目的、期間の3つの要素において異なるポイントがあります。
マーケティングが市場全体を広く対象として長期的な視点で行われるのに対し、営業は個人を対象として比較的短期を見据えた行動が求められるのが一般的です。
マーケティングと営業では求められる能力やスキルも異なるため、それぞれに必要な能力がどのようなものなのかを十分に理解したうえで、自分の業務に適した要素を身につけましょう。