深耕営業を成功させるためのポイントや向いている人について解説
既存顧客との関係性を深めてさらに売上を高める深耕営業は、企業の安定的な売上確保と成長のために必要不可欠な業務です。とはいえ、どのように深耕営業に取り組めば成果が上がるのかわからないという方も多いでしょう。
深耕営業を成功させるためには、顧客の目線に立った営業活動や目標から逆算したスケジュール設定などが重要です。そこで今回は、深耕営業を成功させるためのポイントや向いている人などについて解説します。
目次
深耕営業とは
深耕営業とは、自社の既存顧客に対して継続的なフォローを行い、利益を高めたりさらなる信頼関係を構築したりすることを目的とした営業活動のことです。適切なタイミングで既存顧客のニーズを引き出し、困りごとを解決したり求めている商品を提案したりする力が求められます。
一般的に「営業」というと新規顧客の開拓というイメージが強い方も多いかもしれませんが、企業が安定的に売上を確保するためには既存顧客の深耕営業が重要な役割を果たします。
ルート営業や一般営業との違い
深耕営業と似た言葉に「ルート営業」や「一般営業」がありますが、両者とも深耕営業とは少し異なる意味合いをもっています。
ルート営業とは、あらかじめ決まっているルートを回って既存顧客のフォローを行い、そのなかで信頼関係を深めたり新たな受注を獲得したりする営業活動のことです。
深耕営業と非常によく似ていますが、ルート営業が「決まったルートどおりに既存顧客を訪問し営業すること」を指している一方で、深耕営業は「既存顧客との関係性を深めて新たな受注を獲得したり自社の利益を確保したりすること」そのものを指しています。
また、一般営業は新規営業と似たような意味をもっており「一般営業=新規営業」と言い換えることができます。つまり自社とまだ取引がない新規企業を開拓し、新たな取引に結びつけるための営業活動を一般営業と呼んでいます。
深耕営業を成功させるためのポイント
深耕営業を成功させるためには、次の3つのポイントを意識して日々の営業活動に取り組むことが大切です。
顧客目線で課題を見つける
深耕営業だけでなくあらゆる営業活動にいえることではありますが、「顧客目線で課題を見つける」ことはとても大切です。
既存顧客を訪問して自社の商品を一方的にすすめるだけでは、「忙しい業務の合間に対応しているのに、いつも自社の商品を宣伝するばかりの営業だ」と思われてしまう可能性が高いといえます。そうなると、深耕営業で関係性を深めるつもりがかえって信頼関係を損なう原因にもなりかねません。
貴重な時間を割いてもらっていることを意識しながら「顧客が今、何に困っているのか」を顧客目線で探しましょう。
目標から逆算して日々の行動を決める
営業活動を行うにあたって、売上目標から逆算して日々の行動を決めることは目標に到達するための重要なポイントです。やみくもに日々の営業活動を行っていると、どのタイミングでどんな受注を獲得しなければならないのかが見えにくくなり、気がついたときには目標達成が難しくなっていることもあります。
与えられた売上目標を達成するためには、目標から逆算して月単位、週単位、日単位のスケジュールに落とし込み、自分が今どのような営業活動を行わなければならないのかを認識することが大切です。
顧客情報を細かく記録する
深耕営業は、顧客のニーズを引き出して満たし、さらなる信頼関係を構築したり売上を上げたりすることを目的とした営業活動です。したがって、商談のたびに顧客情報を細かく記録し、顧客が現在どのような状況にあるのかを把握するように意識しましょう。
顧客情報を細かく記録しておくと、抱えている課題や自社が提案しなければならない商品などが見えやすくなり、適切なフォローを行いやすくなります。
深耕営業に向いている営業とは?
営業のなかで、特に深耕営業に向いているのはどのような人なのでしょうか。ここでは、深耕営業に向いている人の4つの特徴をご紹介します。
相手の気持ちを理解して行動できる人
前述のように、深耕営業は既存顧客の目線に立ってニーズを捉え、的確なタイミングで最適な提案を行うことが重要になります。そのため「相手の気持ちを理解して行動できる人」は深耕営業に向いているといえるでしょう。
相手の気持ちを理解せずに一方的な行動を取ると、自社商品の押しつけなどにつながってしまいます。相手の立場で物事を考えて、最も必要としている提案を行うことで、「この営業は自社の利益を考えてくれている」という印象を与えて信頼関係を深められます。
ヒアリング力が高い人
ヒアリング力が高い人も、深耕営業に向いています。
深耕営業においては、既存顧客との会話のなかから顧客がどのような課題を抱えているのかを拾い上げる必要があります。会話のなかで顧客が発した小さなヒントを見逃さずに見つけて、課題解決に結びつけることが求められます。
コミュニケーション能力が身についている人
コミュニケーション能力が身についていなければ、深耕営業で大きな成果を上げることは難しいでしょう。
既存顧客の課題を導き出して解決に導くためには、継続的なコミュニケーションが必要不可欠です。顧客と密にやり取りして課題を見逃さないことが大切であり、相手とのコミュニケーションを苦に感じてしまう人は深耕営業にあまり向いていないといえます。
コミュニケーション能力は営業全般に備わっている必要がある能力のひとつであり、営業活動に携わるのであれば常に磨いておきたいスキルのひとつです。
臨機応変な対応ができる人
顧客はさまざまな課題を抱えており、そのときによって課題の解決方法は異なります。そのため、顧客のニーズに合わせて臨機応変な対応ができる人は、深耕営業に向いているといえます。
臨機応変な対応ができない営業は刻一刻と変化する顧客の状況を十分に把握しきれず、顧客が必要としている商品やサービスの提案にたどり着けない可能性が高くなります。
顧客が必要としているタイミングで必要な商品やサービスを提案できることが、顧客から信頼を獲得できる深耕営業になるためのポイントです。
深耕営業でさらに成果を上げるためには
深耕営業でさらに成果を上げるためには、次の2つのポイントを押さえておくことも重要です。前述の深耕営業に向いている人材に近づくための努力を続けながら、ここでご紹介する内容も意識してみましょう。
顧客からの信頼を高められる行動を取る
深耕営業は既に自社と取引がある顧客に対して営業活動を行うため、あらかじめある程度の信頼関係が構築されているケースが大半であるといえます。しかしさらに関係を深めて自社に対する信頼を獲得するためには、顧客からの信頼を高められるための行動を積極的に取り、親身に寄り添って課題解決に導く努力を惜しまないことが大切です。
繰り返し顧客の課題を解決し続けていると、「困ったときはあの営業に相談すればなんとかなる」と感じてもらえるようになり、自社に対する信頼感が高まるだけでなく売上向上にも結びつきます。
こまめにアプローチする
深耕営業では、顧客をこまめにアプローチすることが求められます。既存顧客が課題を抱えているタイミングでアプローチできていないと、適切なフォローを行えず、ほかの業者に乗り換えられるきっかけになってしまう可能性があるためです。
既に取引があるからといって対応を疎かにせず、定期的にアプローチして困りごとがないかどうか、自社が力になれる部分はないかをヒアリングによって導き出しましょう。
まとめ
既存の取引先と関係をさらに深めて売上に結びつける深耕営業は、企業の安定的な売上確保のために必要不可欠な仕事です。顧客目線で課題を発見し、どのような提案をすれば課題を解決できるのかを顧客に寄り添って考えることが求められます。
深耕営業に携わるのであれば、基本的なコミュニケーション能力はもちろん、ヒアリング能力や臨機応変に対応する能力も磨くことが大切です。顧客からの信頼を高める行動を取り、さらなる信頼関係の構築をはかりましょう。