訪問営業(飛び込み営業)に適した時間帯とは?知っておくべき法律も説明
訪問営業の時間を具体的に定める法律はありません。しかし「迷惑な時間」に営業することは禁じられています。「迷惑な時間」とはいつなのか、また、訪問営業に適した時間帯や関連する法律、一般的な営業時間以外に営業するコツについて紹介します。
目次
訪問営業(飛び込み営業)の時間を定める法律はない
訪問営業(飛び込み営業)の時間を定める法律はありません。しかし、いつでも営業して良いというわけでもありません。
適切な時間に営業しないと、相手に迷惑をかけるだけでなく、不快感を与えてしまい、「この企業とは関わりたくない」と拒絶される可能性もあります。そのときの営業がうまくいかないことはもちろんのこと、将来的にも自社商品・サービスを受け入れてもらえないかもしれません。
適切な時間に営業をすれば、自社商品・サービスの販売が可能なだけでなく、信頼関係を構築できます。
最適な時間帯とはいつなのかを考える上で、知っておきたい法律について紹介します。
特定商取引法では迷惑な営業は禁じられている
特定商取引法は、個人に対する訪問営業や飛び込み営業についてのルール等を定めた法律です。特定商取引法では営業可能な時間については定めていませんが、「迷惑を覚えさせるような仕方」での営業について相手方の利益が害されるおそれがあると認めるときは罰則の対象とする旨、規定されています。
つまり、営業時間帯も客観的にみて相手方にとって迷惑になるかどうかが基準です。迷惑な時間帯であれば、「迷惑を覚えさせるような仕方」での営業と判断され、場合によっては行政処分の対象になることもあります。相手にとって迷惑とならない時間帯を選んで、訪問営業・飛び込み営業を行うようにしましょう。
営業先にとって「迷惑な時間」を確認しておく
迷惑な時間は、営業先によって異なります。たとえばランチ営業をしている飲食店であれば、11時~12時の間は開店の準備に追われて忙しいかもしれません。そのような時間帯に営業に来られても、話を聞く余裕がないどころか、迷惑に感じるでしょう。
相手の営業時間(オープン時間)などから「この時間帯ならば大丈夫だろう」と分析するのも良いですが、直接電話などで確認しておくのもひとつの方法です。「〇〇についてご説明したいのですが、ご都合が良いお時間を教えていただけますか?」と率直に尋ねれば、迷惑な時間を避けられるだけでなく、アポイントも取れて効率的に営業を進められます。
訪問営業に適した時間帯とは?
訪問営業の前に相手に電話やメールで連絡し、アポイントを取るようにすれば、迷惑な時間に訪問するリスクを回避できます。
しかし、すべての営業手法が事前にアポイントを取るわけではありません。たとえば飛び込み営業は、アポイントを取らずに相手を訪問する手法です。電話やメールでコンタクトを取るのが難しい相手にも営業できるため、より多くの相手に対して自社商品・サービスを紹介できます。
飛び込み営業に出かけるときも、相手にとって迷惑な時間を避けることが必要です。営業に適しているとされる時間を法人・個人に分けて紹介します。ぜひ参考にしてください。
法人営業に適した時間帯
法人営業に適した時間帯は、アポイントを取っているかにもよります。アポイントあり・なしに分けて、適切な時間を見ていきましょう。
なお、アポイントを取ってから訪問することで営業がスムーズに進み、より契約につなげやすくなります。次の記事では、アポイントをメールで取る方法についてわかりやすくまとめました。メールの例文も具体的に紹介しています。ぜひご覧ください。
関連記事はこちら【例文あり】商談が獲得できるアポメールの書き方とコツ
アポイントを取っている場合
アポイントを取っている場合は、相手と約束した時間が適切な時間といえます。交通事情などで遅れる可能性もあるため、15分前に到着するようにスケジュールを組みましょう。
早く到着したときには、前倒しで訪問するのではなく、近くで時間を調整してください。営業トークを復習したり、相手の情報などを確認し直したりする時間として活用しましょう。
約束の5分ほど前に訪問すると、相手との約束を重視していることが伝わり、誠意も伝わりやすくなります。もし、電車などの大幅な遅延などのやむを得ない事情により遅れるときは、できるだけ早めに電話を入れましょう。また、到着予定時刻がわかった時点で再度連絡し、相手の時間を一刻も無駄にしないように配慮してください。
飛び込み営業の場合
飛び込み営業であれば、始業後1時間ほど経ったときが迷惑になりにくいでしょう。始業後1時間は朝礼や業務連絡、メールチェックなどで多くの社員が慌ただしく業務をしています。
そのような時間に営業に来られても、話を聞く余裕がなく、場合によっては「結構です」「忙しいので」と断られてしまうかもしれません。
営業時間については、ホームページなどで確認できることもあります。また、クリニックや飲食店、小売店などであれば、店舗前に掲示されていることも多いです。正確に確認してから、迷惑にならない時間帯を割り出してください。
個人営業に適した時間帯
個人に向けた営業においては、9時~10時もしくは17時以降の在宅率が高いとされています。共働き世帯なら、17時以降のほうが会える確率が高いでしょう。
ただし、家庭によっては17時以降のほうが忙しい可能性もあります。たとえば子どもが塾や習い事などの課外活動をしている場合であれば、仕事から帰ってすぐに夕食を作り、子どもを送って……と、しなくてはいけないことが山積みです。
相手の様子や話し方などから察知し、柔軟に対応しましょう。たとえば「〇〇についてお話をしたいのですが、お忙しそうですので、パンフレットを置いておきます。良ければ日を改めて訪問したいのですが、ご都合良いお日にちを教えていただけますか」などアポイントを取ることもできます。
営業担当者のほうから次回の約束を提案することで、断られてしまう事態を回避できるかもしれません。
訪問営業(飛び込み営業)は最初の30秒が大切
訪問営業・飛び込み営業は、最初の30秒が大切といわれています。最初の30秒で相手に好印象を与えるなら、「興味がない」「忙しい」などの理由で断られにくくなるかもしれません。次のポイントに注意して、最初の30秒を充実したものにしてください。
- 丁寧なお辞儀と笑顔
- 時間を取ってもらうことに対してお礼を伝える
- 自己紹介をする
- 相手の話を聞く
まずは丁寧にしっかりと頭を下げてお辞儀をします。角度に決まりはありませんが、おざなりな感じがするようなお辞儀はいけません。しっかりと頭を下げて、少し止まり、顔を上げてから笑顔で挨拶をします。
「お忙しいところお時間を作っていただき、ありがとうございます」のようにお礼をきちんと伝えましょう。つづいて自己紹介をします。長くする必要はありませんが、名刺を渡しながら、社名と営業担当者の名前をはっきりと伝えましょう。会社の立地や代表的な商品名・サービス名などを伝えると、信頼してもらいやすくなります。
ここまでで30秒が過ぎます。しかし、好印象を獲得していれば、さらに営業を続けることが可能です。自己紹介が終わったら、早速「多くの方にご愛用頂いている〇〇をご紹介したいと……」と営業トークにつなげましょう。
ただし、売りたいという気持ちが先行してしまうと、相手に不快感を与えるかもしれません。まずは相手のニーズや悩みを聞いたりすることで、相手から話をしてもらうようにしてください。「オフィスがとても気持ち良く整理整頓されていますね!」「〇〇について、お困りごとはありませんか?」と声をかけ、話しやすくします。
しっかりと相手の話を聞けば、相手も営業に耳を傾けたいという気持ちになってくれるでしょう。早く営業しようと焦るのではなく、まずは好印象の獲得と、相手の話を聞くことに時間を費やすことが大切です。
時間以外の訪問営業(飛び込み営業)のコツ
訪問営業・飛び込み営業をするときは、訪問する時間に注意をして、相手が不快感を抱かないようにすることが必要です。また、時間に注意する以外にも、いくつか注意点があります。
訪問営業・飛び込み営業をするときは、次の3点にも注意をしてください。
- 営業資料を作成しておく
- 商談の流れを復習する
- 身だしなみをチェックする
口頭で説明するだけでは、正しく理解してもらえるとは限りません。営業用の資料を作成し、資料を提示しながら説明するようにしましょう。資料を相手に渡すなら、読み返してもらえるかもしれません。また、相手が「忙しい」と営業を断ったときでも、資料を渡すだけなら受け入れてもらえる可能性があります。
商談の流れをシミュレーションし、訪問前に復習しておくことも大切です。反論に対して口ごもったり、資料探しに時間がかかったりしては、相手の時間を無駄にすることになってしまいます。スムーズなアプローチについては、次の記事で詳しく説明しています。ぜひ参考にしてください。
関連記事はこちら営業アプローチの方法とは?新規顧客と既存顧客それぞれのコツを解説
身だしなみをチェックするのも大切です。清潔な身だしなみを心がければ、相手から信用を得やすくなるかもしれません。丁寧に靴を磨く、髪や持ち物を清潔に整えるだけでも、印象は大きく変わります。
次の記事では、訪問営業のなかでも難易度が高めとされている飛び込み営業のコツについて、わかりやすくまとめました。飛び込み営業を成功させるコツや、楽しんで飛び込み営業をするコツについても紹介しています。ぜひご覧ください。
関連記事はこちら飛び込み営業のコツ!アポなし訪問営業を成功させるための準備も紹介
まとめ
訪問営業は、適切な時間を選ぶことで販売につなげやすくなります。アポイントを取れるときは事前に取り、相手にとって都合が良い時間に訪問するようにしましょう。
また、アポイントを取らない飛び込み営業においても、適切な時間を選ぶことは営業が成功するかどうかを大きく左右します。相手にとって迷惑にならない時間を考えて訪問するのはもちろんのこと、忙しそうなときはすぐに切り上げるようにしましょう。