社内でナレッジ共有を成功させる秘訣とは?
少子高齢化が進み、労働力不足が懸念されるなか、終身雇用制度が崩れたことで人材の流動化に拍車がかかっています。少ない人員でも、また経験と優れた技能を持ったベテランを失う中でも安定して経営を行っていくためには、社内に蓄積されている優れた「ナレッジ」を活かして生産性を向上させていく必要があります。
ただ、ナレッジは相手に伝えづらいものであるため、一部の優秀な社員にとどまっていることが少なくありません。そこで、各社員が保有している知識を社内で共有して、業務効率化に活かす「ナレッジ共有」という考え方が生まれました。
今回は、社内でナレッジ共有を成功させるための秘訣と、この取り組みを効率化するツールの紹介も交えてご説明していきます。
目次
ナレッジの種類
ナレッジは、大きく2種類の形に分けることができます。この2種類のナレッジは、それぞれが無関係に用いられるわけではありません。両者の関係を正しく把握しておくことがこれから解説していく話を理解するための出発点になるため、しっかりおさえておきましょう。
暗黙知
「暗黙知」とは、やって見せることはできるものの、言葉にして説明するのが難しい知識や経験のことをいいます。職人の勘や、トップセールスの営業スキルを思い浮かべると分かりやすいでしょう。
暗黙知は、個人の元々のスキルや経験から培われることが多いことが特徴です。したがって、そのままでは他人に伝授することが難しい、つまり属人化しやすいため、いくら優れたスキル・ノウハウであっても広く組織で活用することは困難でしょう。
形式知
そのままでは共有が難しい暗黙知を言語化・マニュアル化し、組織全体で活用できる形に変換したものが「形式知」と呼ばれます。
現代のビジネス環境は、ベテランの持つ暗黙知を新人が時間をかけて身につけていくといったこれまでのスキル・ノウハウの継承手法をとりづらいといえます。企業が生き残りをかけて業績の維持・拡大を図っていくには、新人社員に効率よくベテランのナレッジを共有する必要があるのです。
ナレッジ共有とは、この形式知化の仕組みのことです。次章からは、ナレッジ共有について詳しく解説していきます。
ナレッジ共有とは?
ナレッジ共有とは、上述の通り社内に蓄積された知見・情報・スキル・ノウハウのナレッジ(知識)を組織内で共有することを言います。ナレッジ共有を行うことで、企業全体の生産性向上・業務効率化・業務標準化(属人化防止)が期待できます。
ナレッジ共有とひとことに言ってもその領域は幅広く、大きく分けると以下のように分類されます。
社内成功事例の共有
自社内の成功事例を共有することで、社内メンバーや他部署の生産性・戦力向上を図る。
社内失敗事例・事故事例の共有
成功事例だけではなく、失敗事例・事故事例を共有することで、同じようなリスクを未然に防ぐ能力やリスク発生時への対処能力といったリスクマネジメント能力の向上を図る。
専門的知識の共有
経験豊富な社員や特定部署の社員の専門的なナレッジを共有することで、属人化を防ぎ効率的な業務推進・課題解決を目指す。
知的資産の共有
社内で活用できる汎用的な知見や情報を共有することで、生産性の向上・業務効率化を図る。
顧客情報の共有
顧客情報を共有することで、人に依らず一定の成績を上げられる状況を作り出したり、チームでの営業活動をスムーズに行ったりできることを目指す。
ナレッジ共有は経営戦略の一環として多くの企業が注目していますが、なぜ現代社会の企業がナレッジ共有の推進に取り組む必要があるのか、その目的について見て行きましょう。
社内でナレッジ共有をする目的
社内でナレッジ共有をする目的は、企業が置かれた環境や抱える経営資源によりさまざまでしょう。ここでは、多くの企業で挙げられる目的3つをご紹介します。
社員のスキルアップ
人材の入れ替わりが激しい昨今、企業はできるだけ育成期間を短縮して社員をスキルアップさせ、即戦力として人材を活用していく必要があります。
優秀な社員が持つ優れた知恵やスキルを形式知化(ナレッジ化)して、社内で共有できれば、新人はもちろんスキルアップを図りたい中堅社員など、社内の誰もが業務に役立てることができるようになります。このようなナレッジ共有が繰り返されることにより、人材育成が社内でスピーディーに進んでいきます。新入社員の早期の独り立ちや、伸び悩んでいた社員の成長が見込めるため、社員間の能力差が埋まり、社内全体の業務レベルの底上げが期待できるでしょう。
さらに、ナレッジは、暗黙知のときについて回った属人化を克服することができるため、業務の担当者を急に変更することになったとしても、他の者が質を損なうことなく引き継ぐことも可能になります。
顧客対応レベルの平準化を図りたい方、必見
メールディーラーは、チーム全員のメールの対応状況を見える化し、返信漏れや
二重返信を防止するメール共有管理システムです。
顧客からのよくある質問や対応マニュアルを共有できる「Q&A機能」により、
顧客対応レベルの平準化を実現します。
ナレッジが失われないようにする
ナレッジ共有には、社内の有益なナレッジが失われないようにするという目的もあります。
ナレッジ共有の仕組みを構築していないと、業務上のナレッジやノウハウを保有している特定の人物しか業務の推進や進捗の把握ができなくなる「属人化」が生じやすくなります。属人化が生じたままだと、ナレッジを有する人材の退職・異動などにより、社内の有益なナレッジが失われてしまうリスクがあります。
特に近年では働き方の多様化が進み人の流動性が高くなっているため、意識してナレッジを蓄積しておかなければ、あっという間に社内のナレッジは消失してしまうでしょう。実務の面においても人材育成の面においても大きなマイナスとなります。このような状況に対処するためにも、ナレッジの共有の推進を行い、属人化を防ぐことが必要となってきます。
社内の状況・環境の変化に関わらず、貴重なナレッジを維持し続けるためにも、ナレッジ共有の仕組みを構築しておくことが重要です。
他部署との連携強化
組織は、大きくなるほど他部署との連携が取りにくくなるものです。しかし、社内でナレッジを共有することで、部署間の連携が取りやすくなるだけでなく、さらに連携の強化を目指すことができます。
ナレッジを共有することで、他部署が保有していた知識を社内のどこからでもリアルタイムで確認できるようになります。すると、他部署間の社員同士でも同じ目線で会話ができるようになり、スムーズなコミュニケーションが実現するでしょう。
さまざまな部署・社員の間で情報交換意欲が高まることにより、ナレッジの質をチームとして向上させていこうという連帯意識が社内に醸成され、連携の強化を図ることができます。
ナレッジの共有により連携が強化されると、部署の垣根を越えた協働により新たなアイデアが生まれやすくなるので、企業の競争力が高まるでしょう。
業務効率化
ナレッジ共有では、社内の誰かが編み出した優れたスキルやノウハウを形式知化することにより、業務における確度の高い成功法則、いわば「黄金律」を組織として手に入れることができます。形式知化により再現性が高められたこの黄金律を組織として活用すれば、社員の経験やスキルレベルに関係なく業務の効率化が実現できます。
これまでのように、一握りの優秀な人材がもたらす成果に頼った組織運営から脱却し、少ない人員や流動性の激しい職場であっても、成果を生み出し続けていくことが期待できるでしょう。
また、業務効率化をもたらすのは、成果につながるナレッジだけではありません。「失敗を積み重ねることでしか成功は得られない」といわれますが、顧客のクレーム事例やシステム障害をもたらした事例など、多くの失敗事例を類型化し、失敗・トラブルを防ぐ観点からのナレッジ共有に取り組むことも大切です。
関連記事はこちら業務効率化の成功事例を紹介!業務効率化を進めるメリットやポイントも解説
人材の流動性が高まっているため
近年の雇用情勢は、終身雇用が事実上崩壊しつつあり、多くの業界で転職が当たり前となるなど、人材の流動性が高まってきています。また、一般的なフルタイム正社員に限らず、契約社員・フレックス制・リモートワーク・在宅勤務等、働き方にも多様化が見られるようになりました。
このような状況下では、ナレッジが個人にのみ蓄積されて、組織内に資産として残すことができません。結果として組織内の業務効率や生産性の低下を招いてしまいます。
そのため、人材の入れ替わりが頻繁に起ってもナレッジを組織内で活用できるように、多くの企業がナレッジ共有を目指していることが実状です。
引き継ぎコスト削減のため
近年はビジネス状況の変化や事業寿命の短命化が激化しており、同じ企業内でも人材の異動・転勤が行われる頻度が増えつつあります。異動や転勤の際には業務の引き継ぎを行わなければなりませんが、大きな時間・労力・コストが必要となります。
ナレッジ共有がスムーズに行われていると、引き継ぎの際に必要な情報伝達量や指導すべき項目も低減できるため、引き継ぎにかかる時間・労力・コストを大幅に削減することが可能です。
頻繁に異動や転勤が発生する状況は避けられない企業も少なくないため、引き継ぎの負担を減らしてスムーズに事業を操縦することを目的として、ナレッジ共有に尽力している企業は多くあります。
ナレッジ共有に失敗するケースとは?
ナレッジ共有は、失敗してしまうケースもあります。社内へスムーズにナレッジ共有を浸透させるには、失敗に繋がるパターンを把握しておき、事前に回避することが重要です。
ここでは、ナレッジ共有に失敗する主なケースについて解説します。
ナレッジの記録がされない
ナレッジ共有を実現するには、まずは有益なナレッジを持つ人材がナレッジを記録する必要があります。しかし、ナレッジの記録がされないことで、いつまでたってもナレッジの共有・活用が進まずに失敗してしまうケースは多くあります。
ナレッジの記録は社内メンバーのメイン業務から外れたタスクとなるため、多くのビジネスパーソンは自身の業務を優先するのが一般的です。単にナレッジの記録を命じても社内文化として定着し難い傾向にあるため、ナレッジ共有のメリットを伝えたり記録者にはインセンティブを設けたりといった工夫を行うことも重要となります。
ナレッジの記録が難しい
ナレッジを記録するには、記録者が自身の知識・スキルをドキュメント化する必要がありますが、情報のまとめ方や書き方が分からない・難しいといった意見が多く見られます。
社内メンバーにナレッジを記録する意欲があったとしても、ナレッジを記録する難易度の高さが障壁となり、ナレッジ共有が進まないケースも多くあるため注意が必要です。
高度で複雑なナレッジであるほど記録は難しくなる傾向にあります。ナレッジ共有を促進するためには、テンプレートを活用したり記入例を共有したりするなど、記録者がスムーズにナレッジの記録を行える仕組みを構築しておくことも重要となります。
ナレッジが検索しにくい
ナレッジが蓄積された状態まで実現できても、ナレッジの検索性に問題がある場合は、ナレッジの共有が促進されずに失敗してしまう原因となります。特に、Word・Excel等で作成したナレッジを共有するなどアナログな手法で管理している場合や、使い勝手の悪いツールを利用している場合において多く見られます。
ナレッジの積極的な活用を促進するには、検索性・利便性に優れたナレッジ共有ツールを導入して、メンバーがナレッジを活用する障壁を取り除いておくことも重要です。
ナレッジ共有が定着しない
ナレッジ共有のためのツールを導入したり仕組み・環境を整えたりしても、ナレッジ共有が社内に定着しなければ取り組みは失敗してしまいます。
ナレッジ共有は、実際に社員がナレッジの蓄積・共有・活用に取り組んでこそ、その恩恵を受けることができます。誰もナレッジ共有を実践・継続してくれなければ、仕組みや環境を整えたとしても元の状態と何も変わらないでしょう。
そのため、このような失敗を避けるためには、仕組みや環境の構築だけでなく、ナレッジ共有の必要性や重要性を社員に認識させたり、ある程度のアクションを義務付けたりするなど、ナレッジ共有の文化を社内に定着させる努力も必要となります。
ナレッジ共有を成功させる秘訣
ナレッジ共有という新しい取り組みを首尾よく進めていくためには、その仕組みを的確に現場に定着させることが重要です。ここでは、ナレッジ共有を成功させる秘訣を3つご紹介します。
ナレッジの管理者を決めておく
多くの企業にとってナレッジ共有の仕組みは馴染みのないものでしょう。したがって、ナレッジ共有の仕組みと導入の意義を正しく理解したうえで、定着に向けて現場を統率していけるだけの資質のある社員を選抜して、ナレッジの管理者として育成することが大切です。
こうした管理者チームのメンバーのことをナレッジマネージャーと呼びます。ナレッジマネージャーらは、各部署で仕組みを正しく伝えながら現場を統率していくだけでなく、定期的に振り返りの機会を設け、課題とその解決策を探っていきます。
また、仕組みの定着と課題解決に向けては、ナレッジマネージャーがナレッジ共有の効果を検証することも必要です。ナレッジ共有は一般に即効性は期待できず、また効果の定量把握が難しい面もあります。これに対しては、ナレッジ共有により何を改善したいのかという導入目的を明確に定め、その目的にふさわしい指標を見出し、絶えず検証していくことで道が拓けます。
検証により明らかになった課題や成果を社内に広く周知することで、ナレッジ共有の仕組みを社内に根付かせていくことが期待できるでしょう。
共有するナレッジの範囲を決めておく
社内でナレッジを管理する主体が決まったら、共有するナレッジをあらかじめ決めておくことが大切です。社内全体の業務のレベルを上げ、生産性を向上させるという観点からナレッジ共有する範囲を決めます。
まずは、現場目線で「本当に活用が期待できる情報か」を見極めていくことが大切です。ナレッジマネージャーが中心となって、対象となる情報の必要性や現場での使いやすさなどをよく検討し、優先順位をつけながら、ナレッジ化すべき情報の範囲を確定していくのがおすすめです。
社員にナレッジ共有の目的を理解してもらう
ナレッジ共有は、社内で属人化されている優れたスキルやノウハウを標準化し、広く組織に伝えて活用させることを目指すものです。したがって、特定の部署や社員だけが取り組むのではなく、全社を挙げて実施しないと目指す効果は期待できません。
ナレッジ共有の効果を最大化するためには、トップをはじめとする経営陣が先頭に立って取り組む姿勢を示し、組織としての「本気度」を伝えることが大切です。そのうえで、ナレッジを共有することでこんなメリットがあるということを明確に語り、社員にナレッジ共有の目的を理解してもらうことも欠かせません。
ナレッジ共有に限らず、新しい仕組みというものはとかく心理的な抵抗感を与えがちです。導入の意図が分からなければ、日々の業務に忙しい社員たちが面倒に感じるのも無理はありません。理解を得るためには、現場のニーズや課題を汲み取る姿勢を貫くと同時に扱いやすいシステムの構築を目指すなど、社員がナレッジ共有に積極的になれる環境を整備していくのが効果的です。
そして、努力してスキル・ノウハウを身につけた有能な社員にナレッジ共有への理解を得るためには、知恵が社内で広く活用されることで企業が成長できるだけでなく、社内環境の改善や顧客満足度の向上にもつながるのだということを丁寧に説明していくことが重要です。また、ナレッジ提供者への表彰や報奨金の授与、成果に偏った評価制度の見直しによる協力姿勢の引き出しも検討に値するでしょう。
ナレッジ共有にかかる手間を減らす
ナレッジの共有は、ナレッジを記録するのにも必要なナレッジを探して活用するのにも、大きな手間と時間がかかります。手間と時間を多く要するほどナレッジ共有が進まない原因となるため、ナレッジ共有を成功させたいのであればできるだけ時間・手間を省いておくことが重要です。
ナレッジ共有ツールの導入・テンプレートの活用等により、社内のメンバーができるだけ短い時間で簡単にナレッジを共有できる環境を構築しておきましょう。
ナレッジ共有を促進する文化を作る
ナレッジ共有を成功させるには、ツールの導入・ルールの作成といった仕組み作りも重要ですが、社内にナレッジ共有を促進する文化を作ることも非常に重要です。
ナレッジ共有が必要性・義務感に駆られて行われるのではなく、文化として社内に定着すれば、ナレッジ共有が積極化されて得られるメリットもより大きなものとなります。
ナレッジ共有を文化として定着させるには、「いいね!」機能などの感謝を伝える機能を搭載したツールを活用したり、ナレッジ共有の具体的なメリットをメンバーに提示したりといった方法が効果的です。
また、ナレッジの投稿が少ない状態では、社内メンバーにナレッジの投稿を促すのは難しいため、初期の段階ではナレッジ管理者が積極的に投稿を行い、他のメンバーをリードしていくことも重要なポイントです。ある程度投稿数が蓄積されれば、ナレッジ共有の有用性や利便性も社内に認知されてくるため、自然と社内文化も形成されてきます。
社内文化として定着する状況まで実現してこそ、本当の意味でのナレッジ共有の成功とも言えるため、仕組み作りだけでなく文化作りにも注力しましょう。
ナレッジ共有ツールの活用が効果的?
ナレッジの共有は特定のツールが必須ではないため、身近なドキュメント作成ツールであるWord・Excelといった汎用ツールで行うことも可能です。手軽にナレッジ共有をスタートできることから、実際に汎用ツールを活用している企業は多くあります。
ところが、汎用ツールは都度手作業で情報を更新して再配布する必要があるため、「ナレッジ共有の手間がかかる」「リアルタイムで情報を共有できない」「情報の更新・配布が手間」といった課題がある点は否めません。
このような課題を解決して、効率的・合理的でスムーズなナレッジ共有を可能とするさまざまな機能を搭載したツールが「ナレッジ共有ツール」です。以下に、ナレッジ共有ツールの概要と導入メリットをご紹介します。
ナレッジ共有ツールとは?
ナレッジ共有ツールとは、ナレッジ共有・ナレッジ蓄積・一元管理・コンテンツ作成支援・テンプレートといった、スムーズなナレッジ共有を実現するためのさまざまな機能が搭載されたツールです。
ナレッジ共有ツールは、目的・用途に合わせたさまざまなツールがリリースされており、自社が求めるナレッジ共有に適したツールを導入することで、さまざまなメリットを得ることが可能です。複合的なナレッジ共有を可能とする汎用的なツールもあります。
ナレッジ共有ツールを導入する具体的なメリットについて、続けて以下にご紹介します。
ナレッジ共有ツールを導入するメリット
ナレッジ共有ツールには、ナレッジ共有の効率化・合理化をはじめとしたさまざまなメリットがあります。以下にご紹介しているため、ぜひ参考にしてみて下さい。
業務効率・パフォーマンスの向上
ナレッジ共有ツール導入によりスムーズにナレッジの共有・活用が行われることにより、企業内全体の業務効率・パフォーマンス向上が期待できます。また、ナレッジの属人化を防ぐことで、特定の人物に業務や問い合わせが集中することを防ぐことが可能です。
ナレッジ作成・活用のハードルが下がる
ナレッジ共有の推進が難しい理由は、コンテンツ作成・参照が困難であるためです。ナレッジ共有ツールには、コンテンツ作成支援機能やデータベース一元管理によるナレッジの参照・検索機能が搭載されており、ナレッジ作成・閲覧のハードルを大きく下げることができます。
浸透・定着
ナレッジ共有ツール導入によりナレッジ共有のハードルが下がると、社内メンバーは積極的にナレッジを作成・活用しはじめます。結果としてナレッジ共有において最も重要な目標である、ナレッジ共有の社内浸透・定着を促進することが可能です。
人材育成・業務引き継ぎコストの削減
ナレッジ共有ツールによりスムーズなナレッジ共有が可能となることで、従来は人力で行っていた人材育成や業務引き継ぎの労力や時間を大幅に削減することができます。また、これらに要したコストも削減することが可能です。
おすすめのナレッジ共有ができるツール
メール共有・管理システム
メール共有・管理システムとは、info@~で始まる代表アドレスなど1つのメールアドレスを複数人で共有し、寄せられた問い合わせを一元管理できるシステムです。
主に問い合わせ対応状況を可視化することで、対応漏れや二重対応を防ぐツールですが、QA機能などを実装しており、顧客対応のノウハウやナレッジをマニュアル化することが可能です。
クレームへの対応方法やお客様からの質問に対する回答を蓄積しておくことで、顧客対応レベルの平準化にも寄与します。さらに教育稼働の削減にもつながります。
ラクスが提供するメール共有・管理システム「メールディーラー」では、よく使うメールのテンプレートを全員で共有できる「テンプレート機能」や、よくある質問やマニュアルを共有できる「Q&A機能」により、ノウハウやナレッジの共有が可能です。これにより、顧客対応のレベルを平準化することができます。ご教示のある方は以下より詳細をご確認ください。
チャットボット
「チャットボット」といえば、顧客対応を行うイメージが強いですが、社内ヘルプデスク業務に使われているケースも多くあります。日々ありとあらゆる質問が寄せられる社内ヘルプデスクの担当者は、自身のコア業務を抱える中で、兼任して対応しているケースが多いでしょう。
当然多忙なため、多くの企業では業務の効率化と負担軽減のためにマニュアルや社内FAQを作り、質問者にまずは自己解決させる方法をとっています。ただ、当初想定したようには利用が進まない場合もあるでしょう。
「チャットボット」を使えば、事前に設定したシナリオに沿って質問者とのやりとりを自動で進めていくことができます。したがって、FAQに盛り込んだ内容をそのままチャットボットに組み込んでおくことにより、自動で与えられる回答を参考に自己解決を図ることが可能です。
また、検索のしやすさもFAQに比べて格段に高いため、知りたい情報にすばやくアクセスできるメリットもあります。ヘルプデスク担当者にしても、FAQをチャットボットに任せることでメイン業務に専念できる時間を得ることが可能になるでしょう。
この仕組みを転用すれば、社内でのナレッジ共有をスムーズに行うことができます。チャットボットにナレッジ情報を登録して共有することで、社員はいつでも、素早く業務で役に立つ知恵やノウハウを確認できるようになります。
まとめ
この記事では、社内でナレッジ共有を成功させる秘訣について解説してきました。
市場や組織を取り巻く環境が激変する今、企業の生産性を高めることは最重要課題です。そのため、社内で保有する知識・ノウハウといった目に見えない資産を可視化・標準化することにより、会社全体で生産性の向上を図ることができるナレッジ共有が、必須の取り組みになりつつあります。
この取り組みをシステムとして的確に社内に定着させるために、さまざまなツールがあります。ナレッジ共有の効果的活用を目指し、自社に合ったツールの導入をおすすめします。