LTVとは?計算方法とLTV向上方法を徹底解説
業種を問わず市場のグローバル化が進んだことによって、新規顧客の獲得は多くの企業にとって大きな課題となっています。新規顧客を獲得するためには多くのコストや時間、労力がかかります。そこで、考えなければならないのが顧客の「価値」です。せっかく顧客を獲得できたとしても、売り上げや利益に繋がらなければ意味がありません。そんな顧客の「価値」を数値化するのがLTVです。今回はLTVの概要や計算方法についてご紹介します。
目次
LTVとは?
LTVとは「ライフタイムバリュー」のことを指し、日本語では「顧客生涯価値」と訳します。これは顧客から生涯にわたって得られる利益のことで、中長期的なビジネス戦略を立てる上でとても重要な指標です。
前述の通り、今日では市場のグローバル化によって新規顧客の獲得が難しくなり、より多くのコストや労力がかかるようになりました。そのため新規顧客を獲得することができたとしても、得られる利益以上のコストがかかってしまい、マイナスになるケースも少なくありません。
逆に将来的に優良顧客となる見込みがある顧客がいれば、多くのコストをかけてでも獲得する価値があります。
これからのビジネスにおいて中長期的なマーケティング戦略を立てる上ではLTVは決して無視することのできない要素です。
LTVの計算方法
LTVの計算方法はいくつかありますので、その中でも代表的なものをピックアップしてご紹介します。
LTV=平均顧客単価×平均購買頻度×平均継続期間
LTVの計算方法の中でももっともシンプルなのが「平均顧客単価×平均購買頻度×平均継続期間」です。
平均顧客単価は「一度の購買で使われる金額」です。平均購買頻度は「年に何度購買されるのか」、平均継続期間は「何年程度継続して利用されるのか」です。
たとえば一度の利用で平均5,000円が使われ、年に10回利用され、5年にわたって継続されるというケースの場合、5,000円×10回×5年でLTVは250,000円ということになります。
この計算式ではコストなどが考慮されていませんのでざっくりとした数字ですが、基本的な顧客データがあれば計算できます。
LTV=顧客の年間取引額×収益率×顧客の継続年数
BtoBなどでよく使われる計算方法が「顧客の年間取引額×収益率×顧客の継続年数」で、一社あたりの取引額と収益率を計算する方法です。
たとえば年間の取引額が100万円で、収益率が70%、10年にわたって取引を継続している場合、100万円×70%×10年でLTVは700万円になります。
LTV=(平均購買単価×購買頻度×継続購買期間)-(新規獲得費用+顧客維持費用)
こちらは最初にご紹介したもっともシンプルな方法で計算されたLTVの数値から、顧客獲得や維持にかかったコストを引いたものです。LTVを顧客から得られる利益として考える場合、もっとも正確な数値になります。
主にBtoBにおいて使われる計算方法ですが、BtoCでも長期的なマーケティング戦略を立てる際には使用されます。
たとえば、一度の利用における平均単価が5,000円、年に10回利用され、5年にわたって継続した場合で、新規獲得費用に2,000円、顧客維持に年1,000円かかっているとすると、計算式は以下の通りになります。
(5,000円×10回×5年)-(2,000円+1000円×5年)=250,000-7,000
つまり、LTVは243,000円になります。
LTVを向上させるには
企業の利益を増やすために、新規顧客の獲得を重視している企業は多々あります。しかし新規顧客を獲得できてもそこから得られる利益が少なければ、全体としては利益が下がってしまう恐れがあります。そこで重要となるのが、LTVを向上させることです。
ここではLTVを向上させる方法をご紹介します。
顧客単価を上げる
LTVの向上を目指す上で最初に考えるべきなのが、顧客単価を上げることです。上記の計算式からもわかる通り、顧客単価はLTVに大きく影響します。
より高額な商品を購入してもらえるように誘導することはもちろんのこと、複数の商品を同時に購入してもらうことでも顧客単価を上げることができます。
セット販売
顧客単価を上げる方法として、セット販売も有効な方法です。メインとなる商品と一緒に購入したくなるオプションなどをいくつか用意し、セットにすることで単価は上がります。
普段なら購入しないオプションや関連商品も、セットになっているとつい買ってしまうというケースも少なくありません。
ただし、すべてをセット販売にしてしまうと、単品購入をしたい顧客をロスしてしまう可能性があります。そのため、セット販売はひとつの選択肢として提供することをおすすめします。
購入頻度を上げる
顧客単価に次いで重要となるのが、購入頻度です。単価が変わらなくても購入頻度が高くなればその分だけLTVは高くなります。
小売業などにおけるセールなども、購入頻度を上げるための戦略のひとつです。
メルマガ
メルマガは購入頻度を上げるための有効な方法です。定期的にユーザーの求めている情報を含んだコンテンツをメルマガとして提供すると同時に、ニーズのある商品を紹介できればその都度購入の機会を増やせます。結果として、購入頻度を上げることに繋がるのです。
加えてメルマガは顧客の育成にも有効です。顧客候補を顧客へと転換できますので、同時に新規顧客の獲得も目指せます。
リマインドメール
多くのECショップなどで採用されているリマインドメールも、購入頻度を上げるのに有効な手法のひとつです。過去に顧客が興味を持った商品やすでに一度購入した商品などを改めてメールで案内することによって、新たな購入やリピート購入へ誘導できる可能性があります。
メール配信システムなどを導入すれば自動で適切なタイミングでリマインドメールを送信できますので、それほど手間もかかりません。
継続率を上げる
継続率もLTVを上げるための重要な要素です。短期的な利益にはそれほど影響はしませんが、長期的なマーケティング戦略を考えると重要な要素となります。
ただし継続率を上げるためには、顧客維持にもコストがかかります。当然コストがかかれば今度はLTVを下げてしまう可能性もありますので、バランスを考えることが重要です。
メルマガ
メルマガは継続率を上げるのにも有効です。継続して顧客に接触し続けることができますので、強い信頼関係を生むことに繋がります。
顧客の属性のみでなく状況などに合わせて適切なコンテンツを提供し続けることができれば、継続率と同時に購入頻度アップ、新規顧客の獲得も可能です。
カスタマーサクセスを充実させる
継続率が特に重要になるサブスクリプション型の商品・サービスの場合、カスタマーサクセスの設置は欠かせません。自社の商品やサービスによって顧客を成功に導くことで、継続率をより高めることができます。
まとめ
企業としてビジネスを展開していく上で、利益を増やし続けていく必要があります。そこで重要となるのが顧客の「価値」であるLTVです。まずは現在のLTVをしっかりと確認し、把握した上で増やしていくことを考えるのが大切です。
今回ご紹介した通りLTVにはいくつかの計算方法がありますので、その中から自社に合ったものを選んでまずは計算してみましょう。