ウェビナーとは?メリットやデメリット、配信方法を徹底解説
リアル会場を用意せずに、インターネット経由でセミナー配信ができる「ウェビナー」が注目されています。そこで今回は、ウェビナーのメリットやデメリット、配信方法など、ウェビナーを活用するための基礎知識を徹底解説します。
目次
ウェビナーとは
ウェビナーは「ウェブ+セミナー」を略した造語で、インターネットのWeb会議システムなどのツールを活用して開催されるオンラインセミナーや、ツールそのものを指す言葉です。
従来のようにリアル会場を借りてセミナーを開くのではなく、主催者がホストとなってWeb上の空間にセミナー会場を設置し、参加者を募ります。
ウェビナーのメリット
ウェビナーには、リアル会場にはないさまざまなメリットがあります。ここでは、代表的な4つのメリットをご紹介します。
1.好きな場所から配信できる
リアル会場とは異なり、ウェビナーはインターネット環境さえあればどこからでも配信できるというメリットがあります。会議室の一角や自宅など、ウェビナーの登壇者の都合が良い場所を選べるので、会場の空き具合に左右されないのは強みといえます。
リアル会場に参加者を収容しなければならない場合は参加者数に見合った会場を用意する必要がありますが、ウェビナーは参加者も各々の好きな場所から参加するため、会場の予約も不要です。
2.タイミングを選ばない
ウェビナーは会場の準備や受付の設置が不要でインターネットに接続するだけで好きな場所から配信できるという特徴から、配信の場所やタイミングを選ばないというメリットもあります。
リアル会場を借りると会場が空いている日程に合わせなければならないなど会場側の都合が発生しやすくなりますが、ウェビナーは配信のタイミングをある程度柔軟に設定できます。
加えて、参加者に直接足を運んでもらう必要があるリアル会場は、遠方から参加する参加者の都合もある程度考慮しなければなりません。一方、ウェビナーであれば参加者も自宅や会社にいながら参加できるため、参加者側もタイミングを合わせやすくなります。
3.コストを削減できる
会場を借りる必要がないため、会場となる施設のレンタル費用などのコストを削減することができます。
大規模な開催になるほど広い会場を借りなければならずレンタル費用も高額になっていくことから、参加者が多いセミナーほどリアル会場からウェビナーに切り替えることによるコスト削減効果は高いといえるでしょう。
さらに、会場に足を運ぶための交通費・出張費もかからないため、主催者側だけでなく参加者側にとってもコスト負担の軽減が期待できます。
4.収容人数に制限がない
リアル会場でセミナーを開催する場合、収容できる人数には限界があります。しかし、ウェビナーは開催規模に合わせてWeb会議システムのプランを選べるため収容人数に制限がなく、大人数を相手にしたセミナーの開催も可能です。
ウェビナーのデメリット
ウェビナーには多くのメリットがありますが、いくつかのデメリットも存在します。ここでは、ウェビナーのデメリットを解説します。
1.不慣れだと準備に時間がかかる
ウェビナーは比較的新しいセミナーの開催方法であるため、社内にノウハウをもった人材がいないと準備や設営に苦労することがあり、時間がかかる可能性があります。当日の運営方法もリアル会場とは勝手が違うため、スムーズに進行しにくいと感じる場面もあるでしょう。
最初のうちは時間がかかるかもしれませんが、何度か準備を重ねるうちに自社のサイクルを確立できるようになってきます。当日の運営については、事前のリハーサルを入念に行って進行方法を確認しておくことをおすすめします。
2.通信環境に左右されやすい
主催者や参加者の通信環境によって、配信の画質や音質が大きく低下する可能性がある点はウェビナーのデメリットのひとつです。
主催者側はあらかじめ高性能なマイクやカメラを用意することである程度解決できますが、参加者の通信環境は主催者側ではコントロールできない部分であり、すべてのトラブルを防ぐことは難しいのが実情です。
そのため、配信を録画しておきウェビナー終了後に再視聴できるようにするなど、通信トラブルによってうまく視聴できなかった参加者へフォローする方法を検討しておく必要があるといえます。
3.参加者の集中力を保つのが難しい
リアル会場のように対面しながら講演を行うセミナーとは異なり、ウェビナーは参加者一人ひとりの表情をつぶさに確認しながら進めることが難しく、意欲をもって参加してもらえているのかどうかを把握しにくいというデメリットがあります。
会場に足を運ぶセミナーは参加者もある程度緊張感をもって臨んでもらいやすいといえますが、ウェビナーは自宅など比較的リラックスできる空間から参加するケースも多いため、参加者の集中力を保つのが難しくなります。
ウェビナーの最中にチャット機能で参加者から質問を募集したり、アンケートを募ったりするなど、一方的に発信するのではなく双方向のコミュニケーションをはかり、意欲をもって参加できるような工夫を施すことが大切です。
ウェビナーの開催方法
効果的なウェビナーを開催するためには、しっかりとした準備と計画が必要です。以下に、ウェビナーの準備と計画、そして効果的なプレゼンテーションの作り方について詳しく解説します。
1.ウェビナーの準備と計画
ウェビナーを成功させるためには、準備と計画が鍵となります。まず、ウェビナーの開催目的とターゲットを明確にすることが重要です。これにより、ウェビナーの内容や形式を決定しやすくなります。以下のポイントを考慮して準備を進めましょう。
1.テーマの決定:ウェビナーのテーマはターゲットの興味を引くものである必要があります。調査データや見込み客のニーズ、営業など顧客とよくコミュニケーションをとっているメンバーへのヒアリング内容に基づいてターゲットにとってニーズのあるテーマを設定しましょう。よくある失敗例は、自社サービスの営業を意識しすぎて、サービスの説明会を実施しようとして、集客できないことです。ターゲットのニーズに基づいたコンテンツ設計を心がけましょう。
2.スケジュールの設定:ウェビナーの日程と時間を決定します。ターゲットが参加しやすい時間帯を選びましょう。BtoBであれば平日の日中がおすすめです。経営者をターゲットとする場合は早朝や夜間の開催も選択肢に入ります。
3.プラットフォームの選定:使用するウェビナーツールを選びます。回線の安定性、配信者・参加者にとっての使いやすさ、サポート体制などを考慮して選びましょう。
4.リハーサルの実施:実際のウェビナー開催前にリハーサルを行い、技術的な問題が無いかやプレゼンテーションの内容を確認します。
5.プロモーション:ウェビナーの告知を行い、参加者を集めます。ハウスリストへのメール配信やSNSアカウントでの発信、各種Web広告の出稿、プレスリリースの配信、ウェビナー情報掲載サービスなどを活用して広く告知しましょう。
2.効果的なプレゼンテーションの作り方
プレゼンテーションはウェビナーの中心的な要素です。効果的なプレゼンテーションを作成するためのポイントを以下に紹介します。
1.視覚的な魅力:スライド作成の際には図表や写真などを活用し、視覚的にわかりやすい講演資料を意識しましょう。ただし、あくまでも音声の説明の補助として利用する資料ですので、シンプルでわかりやすいデザインを心がけましょう。
2.ストーリーテリング:内容をストーリー仕立てにすることで、参加者の興味を引き続けることができます。導入部分で引きつけ、中盤で具体的な情報を提供し、最後にまとめと呼びかけを行う構成が効果的です。
3.インタラクティブな要素:参加者との双方向のコミュニケーションを促すために、質疑応答の時間を設けたり、投票機能やチャット、リアクション機能を活用しましょう。
4.リハーサルとフィードバック:プレゼンテーションの内容を事前に練習し、同僚からフィードバックを受けることで、改善点を見つけ出します。
5.適切なペース:話す速度やテンポに注意し、聞き取りやすく理解しやすいペースで進めます。また、重要なポイントでは一時停止して強調することも効果的です。
これらのポイントを押さえて、ウェビナーを成功に導きましょう。しっかりとした準備と計画、そして効果的なプレゼンテーションがあれば、ウェビナーは必ず成功します。
ウェビナーを活用できる場面
ウェビナーを活用しやすい場面として、次の3つが挙げられます。
1.新規顧客への営業活動
新規顧客への営業活動において、ウェビナーは大きな効果を発揮します。
新たなリードを獲得するためにセミナーを主催する企業は数多くあるものの、リアル会場で開催するセミナーは会場のレンタル費用などコスト面の問題から開催できる回数には限度があります。
一方、ウェビナーならインターネットに接続できる環境と配信に必要な機器、ウェビナー用のツールがあればコストを気にせず何度でも配信できるため、新規顧客開拓のためのウェビナーを頻繁に開催できます。自社の新製品を紹介するセミナーやノウハウを伝えるセミナーなど、さまざまな切り口からリードの獲得をはかれます。
2.既存顧客のフォロー
既存顧客のフォローにもウェビナーが活躍します。
リアル会場で開催するセミナーを通じて既存顧客のフォローを行うには、既存顧客側がスケジュールを合わせて会場に足を運ばなければならなりません。そのため繁忙期などは参加してもらいにくい傾向があり、商談のチャンスを逃してしまいがちです。
しかし、ウェビナーなら会社にいながらでも気軽に参加してもらえるため、コミュニケーションをはかれるタイミングが増えて既存顧客のフォローを行いやすくなります。
特に自社の拠点と離れた地域の既存顧客など、こまめに訪問するのが難しい顧客の場合はウェビナーが効果的です。
3.採用活動・説明会
セミナー以外にも、採用活動や説明会などにウェビナーを活用する方法があります。
特に新卒採用にはウェビナーが積極的に活用され始めており、会社説明会や選考過程をオンラインで行うことによって企業側の出張費用や会場レンタル費用のほか、学生側の交通費や宿泊費も削減できます。これにより遠方に住む学生が応募しやすくなり、優秀な人材が集まりやすくなるというメリットもあります。
加えて、最近ではテレワークが広まってきていることもあり、決算説明会などの行事を社員が一箇所に集まって行うのではなく、オンライン配信で実施する企業も増えています。
ウェビナーの種類
ウェビナーにはリアルタイム配信と録画配信の2つの方法があります。それぞれの特徴やメリットについてご紹介します。
リアルタイム配信
リアルタイム配信は「現在進行形でセミナーが行われている」という臨場感を与えられるため、参加者の集中を保ちやすいというメリットがあります。また、アンケートや質疑応答を行うことも可能です。
加えて、Web会議システムなどのウェビナー用ツールには、あらかじめ配信時間を設定するスケジューリング機能が搭載されているものが多くあります。この機能を使うことで事前に設定した開催日時になった時点で自動的に配信を開始できます。
録画配信
事前に配信したい動画を録画しておき、編集済みの配信データを指定日時に配信するのが録画配信です。
録画配信は配信する前に録画した映像に編集できるため、スライドやテキストによる説明、音声など、説明を分かりやすくしたりインパクトを与えたりする効果を加えてコンテンツを充実させられるのがメリットです。
ウェビナーの配信方法
ウェビナーを配信する方法には、一方向配信と双方向配信の2種類があります。ここでは、それぞれの特徴やメリットについて解説します。
一方向配信
一方向配信とは、リアルタイム配信の際に、参加者に対して映像を一方的に配信する方法のことです。参加者はモニターに映る映像を一方的に視聴する以外の行動を取ることはできず、質問を投げかけるなどのアクションはできません。
双方向配信
双方向配信は、リアルタイム配信の最中に参加者が主催者側とコミュニケーションをはかれる状態で配信する方法のことです。チャットや音声などを通して双方向にコミュニケーションを取ることで、質問をリアルタイムに受け付けたり、アンケートによる意識調査を行ったりできます。
双方向配信は参加者の反応を確認しながら配信できるため、参加者側の集中を保ちやすいのがメリットです。疑問点をその場で解決できるため、参加者の理解を深めるためにも役立ちます。
ウェビナー開催時の注意点
ウェビナーを開催する際は、次の3つのポイントを意識して準備を進めることが大切です。
1.通信環境を整備する
ウェビナーはインターネットに接続して配信するため、通信環境が不安定だと配信が途中で途切れるなどのトラブルが起こる可能性が高くなります。したがって、通信環境を整備することは、ウェビナーを成功させるために非常に重要です。
まずは回線速度が安定的に出ているかどうかを確認しておき、遅いようなら回線の変更を検討しましょう。Wi-Fiなどの無線環境で接続すると回線が不安定になりやすいため、できるだけ有線LANで接続された環境から配信することをおすすめします。
ただし配信側の通信環境が良好であっても、参加者側の通信環境が良くなければ配信の画質や音質は向上しません。参加者側には事前に通信環境を確認してもらい、安定している場所での受講を促すことが大切です。
2.参加者の興味を惹きつけるコンテンツを作る
前述したように、ウェビナーにはどこにいても参加できるというメリットがありますが、一方で、気軽に参加しやすいがゆえに集中を保ちにくく、離脱率が高いというデメリットも抱えています。そのため、参加者が最後まで集中して受講し続けられるような、参加者の興味を惹きつける充実したコンテンツを提供することが大切です。
時間にメリハリを付けて冗長になりすぎないようにしたり、アンケートや質疑応答などのコミュニケーションの時間を設けたりして飽きにくくなるような工夫をしましょう。
3.高品質な周辺機器を用意する
できるだけ高品質な周辺機器を用意することも、良質なウェビナーを開催するためには重要です。周辺機器にはどのようなものがあるのか、項目別にご紹介します。
配信・視聴用の端末
配信に使用するのはパソコンが主流です。
スマートフォンやタブレット端末からの配信も不可能ではありませんが、機能不足だったり音声や映像の品質が悪かったりするため、ごく短い配信などを除けば基本的にはパソコンを使用するのが望ましいといえます。配信の際は、メインの端末のほかにトラブル対応に備えて予備のパソコンも用意しておくと安心です。
参加者の視聴用の端末は、スマートフォンやタブレット端末もよく使われています。しかし、資料などを頻繁に提示するようなウェビナーにおいては、大きめのディスプレイが搭載されている端末の使用をすすめると親切です。
マイクやスピーカー
配信者はマイクやスピーカーを用意しておくと、参加者に対してクリアな音声を届けられます。そのため必要に応じてヘッドセットなどを使用するという方法もあります。
ウェビナーを開催する前にテストを行い、配信を妨げるノイズなどが発生しないかどうかもチェックしておきましょう。
Webカメラ
ウェビナーを開催する際は、Webカメラが必要になります。画質にこだわりがなく、映像さえ表示されていれば問題がないウェビナーであれば、パソコンに内蔵されているカメラでも問題ありません。しかし、高画質を求めるなら別途Webカメラを購入することをおすすめします。
ウェビナーツール
ウェビナーを配信するためには、あらかじめ配信ツールをインストールしておく必要があります。無償から有償までさまざまなツールがありますので、自社に合ったものを選択しましょう。
双方向配信の場合は、参加者にもパソコンやスマートフォン、タブレット端末などにツールをインストールしてもらう必要があるケースもあります。そのためウェビナー開始前までに必ず指示を出しておくようにしましょう。
ウェビナーツールを選ぶ際のポイント
ウェビナーツールを選ぶ際は、次の3つのポイントに注意すると自社に合ったものを選定しやすくなります。
1.機能
現在ではさまざまなウェビナーツールが登場しており、搭載されている機能も多種多様です。基本的な映像配信機能のほかにもチャット機能やアンケート機能など、双方向配信をさらに便利にするツールなどが搭載されているか確認しておくと良いでしょう。
自社が必要としている機能をあらかじめ洗い出して、条件と合致するものを選ぶとスムーズです。録画配信を行う場合は、録画機能が備わっているかどうかも重要です。
2.料金プラン
ウェビナーツールは無料のものもありますが、多くは有料ツールとなっています。有料ツールを選ぶ場合は、料金プランの内容をよく確認しましょう。
大きく分けて「月額固定制」と「従量課金制」の2種類が存在します。
月額固定制は固定料金を支払えばどれだけ使っても追加料金がかからないので、ウェビナーを頻繁に開催する企業に適しています。従量課金制は使った分だけ課金されるため、ウェビナーをたまにしか開催しない、もしくは不定期になりがちな企業向きといえます。
3.サポート体制
ウェビナーツールにトラブルが起こった際に、スムーズにサポート対応を行ってくれるかどうかは重要なポイントです。疑問点があってもスムーズに解決できなければ、せっかくウェビナーを導入しても使いこなせずにすぐに使わなくなってしまう可能性もあります。
加えて、開催直前にトラブルが起こった場合にサポート対応が行われないと、開催中止になってしまう可能性も否定できません。そのためツールがどのようなサポートを行っているかも、必ずチェックしておきたい部分だといえます。
まとめ
ウェビナーを利用することで、どこでも好きな場所から自由なタイミングで配信できるようになります。自社の会議室などで済ませることができるため、レンタル費用をかけずにコストを抑えてセミナーを開催できるというメリットがあります。
ウェビナーを配信する際は、配信の種類や配信方法に合わせて必要な機能が備わったツールを選ぶことが大切です。配信環境を整えることもウェビナーの成功には重要なポイントのひとつなので、必要に応じて高品質な周辺機器の導入も検討すると良いでしょう。