【徹底解説】ターゲティングの考え方とは?重要な「6R」も解説

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【徹底解説】ターゲティングの考え方とは?重要な「6R」も解説

ターゲティングは、自社の商品やサービスをニーズのある場所に届けるために重要なプロセスです。ターゲティングを実施する際は「6R」の考え方に基づいて、自社と顧客の双方に利益が出るターゲットを選定することが重要になります。今回は、ターゲティングの基本的な考え方についてご紹介します。

目次

    ターゲティングとは

    ターゲティングとは、「顧客をさまざまなセグメントに切り分けて、マーケティング対象となるターゲットを絞り込むこと」を指します。
    事前に自社の商品やサービスを売り込む市場をリサーチした上で、どのターゲットに訴求していくかを決める作業を行います。ターゲティングを行う際のセグメント項目は年齢や性別、役職、趣味、家族構成などさまざまであり、商品やサービスの性質によって異なります。
    ターゲティングは「自社の商品やサービスが戦っていく市場を選ぶ作業」であるともいえるでしょう。

    関連記事はこちら潜在顧客と見込み顧客の違いを解説!見つけ方やアプローチ方法も紹介

    なぜターゲティングが重要なのか

    ターゲティングを行う目的は「自社と顧客の利益を最大化すること」です。
    ターゲティングが不十分な場合、自社の商品やサービスを本当に必要としている人に認知させることは難しいでしょう。その結果、ニーズに合わない市場に商品を売り込むことになってしまい、期待している売上につながらない可能性があります。

    極端な例ですが、「20代会社員女性向けの、オフィスで着用できるオフィスカジュアルな製品」を中心としたアパレル製品を販売している企業が「スーツを中心に着用する40代男性」に自社の商品を宣伝したとしても、高い売上は期待できないでしょう。
    このようにターゲットを自社の商材に合致した層に設定しなければ、企業と顧客双方のニーズがかみ合わず、お互いにとっての利益は高まりません。

    市場を十分にリサーチし、「自社の商品を必要としているターゲットは誰なのか」「そのターゲットはどこにいるのか」を明確にした上でマーケティング活動を行うことによって、「コストと時間だけが浪費されて売上につながらない」といった悪循環を避けられます。
    高精度なターゲティングを行うことで企業は商品やサービスをより多くの顧客に販売して売上を増加させることができ、顧客は自分が必要としている商品を見つけやすくなるという、双方にとってのメリットが生まれます。

    ターゲティングが果たす役割

    ターゲティングが果たす役割

    ターゲティングは、企業と顧客のニーズを合致させるためにも重要であるということをお伝えしました。ここでは、ターゲティングが果たす具体的な4つの役割についてご紹介します。

    1.新規顧客獲得

    広大な市場の中から適切なターゲティングを行うことによって、まだ自社がアプローチできずにいる成約の可能性が高い潜在層にリーチしやすくなります。

    マーケティング活動によって購買意欲が高まりやすい潜在層にアプローチできれば、ターゲティングを行わない場合に比べて新規顧客の獲得数が向上することも考えられます。
    あらかじめターゲットを絞り込むことによって、最小限の手間とコストで高い成約率を実現できるでしょう。

    2.既存顧客の単価アップ

    既存顧客の顧客単価をアップさせる上でも、ターゲティングは効果的です。
    既存顧客は自社の商品のほかに競合他社の商品も使用している可能性があり、それらの商品から自社のものに乗り換えてもらうことで、さらに自社の売上を高められます。

    加えて、現在契約中のサービスを上位プランに切り替えてもらうことも、既存顧客の単価をアップさせる手段のひとつです。
    競合他社からの乗り換えや上位プランへの変更による単価アップを実現するためには、ヒアリングによって既存顧客の現状の課題を把握することが重要になります。ターゲティングによってヒアリングを行う顧客を絞り込むことにより、見込みの低い顧客をフォローする必要がなくなり、営業にかかる工数を削減できるでしょう。

    3.サービス品質の改善

    ターゲティングを行うプロセスによって市場のニーズが明確になるため、自社の商品やサービスにニーズを反映させやすくなります。

    ターゲティングをサービス品質の改善に活用することで、売上や顧客満足度の向上につながるでしょう。しかし見当違いのターゲティングを行ってしまうと市場が求めていない方向に自社のサービスを改善させてしまい、顧客満足度の低下を招く可能性もあります。
    そのため精度の高いターゲティングを行うことは、その後のマーケティング戦略の成否を分けるといっても過言ではありません。

    4.マーケティング活動の効率化

    ターゲティングによってアプローチするターゲット層を限定できれば、工数を最小限に抑えてマーケティング活動の効率化が可能になると同時に、マーケティングにかかるコストも削減できます。

    ターゲティングを行わずにマーケティングに突入すると、成約する可能性が低いターゲット層にまでアプローチしてしまうことになります。本来は不要な広告を出稿してコストが増えたり、コンテンツを作成する工数が嵩んだりする原因になるため、対象を絞り込むターゲティングは重要だといえるでしょう。

    ターゲティングに重要なSTP分析

    ターゲティングを行う際に、「STP分析」という考え方がよく用いられます。ここでは、STP分析について詳しくご紹介します。

    セグメンテーション

    「S=セグメンテーション(Segmentation)」は、マーケティングの対象を絞り込む前にユーザーを特定の条件でいくつかのセグメントに切り分ける作業を指します。例えば性別や年齢、興味・関心、ビジネスであれば役職や所属部門などがセグメントの代表例です。

    セグメンテーションの精度が低いと、ターゲティングを行っても「本来はターゲットから外れているユーザー」が「アプローチするターゲット層」の中に混じってしまうため、マーケティングの効率が低下しやすくなります。
    マーケティングにおいてセグメンテーションは基礎の部分に相当するため、慎重かつ正確に行うことが大切です。

    ターゲティング

    「T=ターゲティング(Targeting)」は、前述のとおりアプローチするターゲット層を設定する作業のことです。セグメンテーションで切り分けたセグメントをもとに、アプローチする対象を決定します。

    ターゲティングにおいては、自社の商品やサービスがもつ特徴やメリットを考慮した上で「どのターゲット層にマーケティングを行うのか」を検討する必要があります。自社が最大の売上を得られて、顧客にとっても「使いたいと考えている商品」を容易に探しやすくなるような状態が理想的です。
    本来のターゲット層から外れたセグメントにマーケティング戦略を仕掛けてしまうと、期待どおりの成果が現れずに工数だけを浪費してしまいかねないため注意が必要です。

    ポジショニング

    「P=ポジショニング(Positioning)」は、ターゲティングで設定したターゲット層に対して、「自社の商品やサービスの特徴、メリットをどのような方法で伝えるか」を決める作業です。

    企業がマーケティングを行う際は、市場に存在する競合他社と差別化したり優れている点をアピールしたりといった手法がよくとられます。しかしポジショニングにおいては、自社の商品やサービスがターゲット層にとって唯一無二の存在になることが重要です。

    「ほかにはない自社製品ならではの魅力」がユーザーに伝われば、競合他社が存在していても自社を選んでもらうことは十分に可能です。独自性を押し出して、ブランド力を高められるようなポジショニングを行いましょう。

    ターゲティングは「6R」がポイント

    ターゲティングは「6R」がポイント

    ターゲティングを行う際は、「6R」と呼ばれる6つの要素を考慮してターゲットの選定を進めることが大切です。ここでは、6Rの要素についてご紹介します。

    1.有効な市場規模

    有効な市場規模は「Realistic Scale」とも表されます。ターゲットを選定する前に、まずは自社の商品やサービスが十分な売上を上げられるだけの市場規模を有しているかどうかを調査する必要があります。

    どれだけ魅力的な商品をもっていても、購入する可能性があるユーザーの絶対数が少なければビジネスとして成立させることは難しいでしょう。将来的にビジネスを安定的に続けられそうかどうかも含めて、市場規模を確認しておくことが重要です。
    しかし広大すぎる市場に参入すると競合他社に埋もれてしまうリスクもあるため、さまざまな観点からの慎重な検討が求められます。

    2.波及効果

    波及効果は英語で「Ripple Effect」と称されます。ターゲティングにおいては、商品を販売した際にその商品が周囲に影響を及ぼす可能性や「自社の商品を広めてくれそうなターゲット層はどこなのか」を考慮することも重要です。
    例えば取り扱う商品がSNSやメディアで話題になりやすい場合、自社が宣伝を行わなくても市場に存在するユーザーが商品を宣伝してくれる可能性は高いでしょう。このように波及効果が高ければ、マーケティングにかかるコストの削減にもつながります。

    SNSにおいては、インフルエンサーが多くいる市場を選択するのも手段のひとつです。インフルエンサーは多くのファンを有しているため、高い波及効果が期待できます。

    3.成長性

    成長性は「Rate of Growth」とも呼ばれており、市場が将来的に成長していくかどうかは重要なポイントだといえます。
    衰退していくことが想定される市場は、現在はビジネスが成り立っていても売上の拡大を見込めずに撤退しなければならなくなる可能性があるため、参入の段階で避けたほうが良いでしょう。

    一方で、成長性が高ければ今後も安定的に売上を拡大していける公算が高いといえます。技術が進歩することで新しい需要が生まれる可能性もあるため、成長性が高い市場を見極め、積極的な参入を検討することが大切です。

    4.競合他社

    競合他社は「Rival」と表されます。参入する市場を選択する際は、一般的にはブルーオーシャン(競合他社が存在しない市場)が理想的です。

    まだ開拓されていない市場なら他社との差別化をせずともシェアを獲得しやすく、競合他社が参入してきても先駆けとして確固たる地位を築ける可能性が高くなります。しかしライバルが存在しない市場を探し出すことは難しく、できるだけ競合他社が少なく他社との差別化が容易な市場を選ぶことも選択肢のひとつです。

    5.到達可能性

    到達可能性は「Reach」と表されます。
    ブルーオーシャンで競合を気にせずに参入できたとしても、マーケティングを行うことが難しいセグメントをターゲットに選定してしまうと、ビジネスとして成り立たなくなるでしょう。そのため、立地などの観点から商品やサービスを提供できないセグメントはターゲティングの際に避ける必要があります。

    例えば東京都内にカフェをオープンするとして、北海道に住む人にカフェの新規オープンを宣伝しても日常的な来店にはつながりにくいといえます。自社の商品やサービスを到達させられるかどうかも鑑みて、ターゲットを選定することが重要です。

    6.測定可能性

    測定可能性は「Response」とも称されます。ターゲットを選定して何らかのマーケティング活動を行った際にそのマーケティング活動の効果測定を実施して、定量的な数値として把握することが望ましいといえます。

    効果測定を行わない場合、実施したマーケティング活動の成果を把握しづらいでしょう。広告の出稿によってどの程度の集客効果があったのか、顧客ロイヤリティは向上できたのかなどを正確に把握できれば、不足している部分を改善してより効果の高いマーケティング活動につなげられます。

    ターゲティングを利用した戦略

    ターゲティングにおいては、自社の商品やサービスに興味をもってくれそうなユーザーに絞り込み、自社と相手の双方に利益をもたらすターゲットを選定することが重要です。
    ここでは、ターゲティングの具体的な戦略についてご紹介します。

    最小投資/最大リターン

    ビジネスにおいてマーケティングを行う理由は、「利益を増やすため」といえます。
    企業の利益を増やすためには、「商品の販売数を増やすこと」も大切ですが、「商品が売れるためにかかるコストを削減すること」も考慮する必要があります。つまり、「最小投資で最大のリターンを求めること」が重要であるといえるでしょう。

    ターゲティングを行う際は、常に「どのようなターゲットを選定すれば最も少ないコストで利益を最大化できるか」を検討することが大切です。わかりやすく言い換えると、「自社の商品やサービスを販売したときに、最も売上が高くなるセグメントはどこなのか」を判断することが重要だといえます。
    このように選んだターゲットに対してマーケティング活動を行えば、少ない予算で最大のリターンを期待できるでしょう。

    アプローチ対象の顧客を選別する

    ターゲティングは、「ユーザーがどのような基準で商品やサービスの購入を判断しているかを見極めて、その基準をもっているユーザーに対して商品やサービスを売り込むこと」ともいえます。そのため自社の商品やサービスのメリットと、ユーザーのニーズが合致している相手をターゲットに選定することが重要です。

    マーケティング戦略を立案するにあたり、「できるだけ多くのターゲット層にマーケティング活動を行えば、より多くのユーザーにアプローチできて広告効果も高まるのではないか」と考える方も多いのではないでしょうか。しかし自社の商品やサービスを求めていないターゲット層にアプローチしたとしても、実際には「興味をもたれずにコストだけがかかってしまう」ケースが多いといえます。
    あくまでも自社の商品やサービスを求めているターゲット層はどこなのかを見極めて、絞り込んだ特定のターゲット層に対して集中的にアプローチすることを意識しましょう。

    競合他社との住み分け

    競合他社よりもターゲット層を絞り込んで、より限定的にアプローチすることもターゲティングにおける戦略のひとつです。

    競合他社と同じようなターゲット層に対してアプローチしていると、見込み客が競合他社を選んだり、一度は自社と契約した既存顧客が競合他社に流れたりする可能性も生じます。
    あらかじめ競合他社よりも限定的なターゲット層に対して予算を注ぎ込み、手厚くアプローチして宣伝効果を高めることで、ユーザーの注目度が自社に集まりやすくなり成約に結びつく確率は高まるといえるでしょう。

    ターゲティングそのものが目的にならないように注意

    ターゲティングによって適切なターゲット層を設定することはマーケティング活動を効率化し、コストを最小限に抑えるためにも重要です。しかしターゲティングを行ううちに、いつしかターゲティング自体が目的になってしまうケースがある点には注意しましょう。

    ターゲティングの目的はあくまでも自社と顧客の双方にとっての利益を最大化することにあり、「ターゲット外のユーザーを切り捨てること」ではありません。
    ターゲティングは、ニーズが細分化している近年の市場において、自社の商品やサービスを売り込む市場やターゲット層を選定する作業です。自社の商品やサービスを求めるさまざまなユーザーに対して、状況に応じた柔軟なマーケティング活動を行うことが大切です。

    まとめ

    ターゲティングは、自社が商品やサービスを売り込むターゲット層を決めるための重要なプロセスのひとつです。自社と顧客の利益を最大化するためにも、STP分析に基づき自社にとってベストなターゲットを選定しましょう。

    ターゲティングを実施する際は、6Rを意識すると自社に合った選定に近づきます。今回ご紹介した戦略も参考にしながら、利益を上げやすい市場を見つけてください。

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    この記事の執筆者

    大塚 陽生執筆者のXへのリンク
    株式会社ラクス
    ラクスクラウド企画部 オンラインプロモーション課
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    大塚 陽生

    広告代理店の営業&ウェブ広告の運用担当として6年間従事し、2019年4月ラクス入社。

    オンラインマーケティングチームに所属し広告運用や営業メールの運用を担当。

    メルラボでは、主に自身のメール配信実績をもとにした記事を作成。