キャズム理論とは何か?キャズムを超えるためのポイントを詳しく解説

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キャズム理論とは何か?キャズムを超えるためのポイントを詳しく解説

マーケティングを実施する上で、「キャズム」と呼ばれる「市場に自社製品を普及させる上で待ち構えるハードル」が発生することがあります。今回はキャズムの具体的な考え方や、超えるためのポイントについて解説します。

目次

    キャズム理論とは何か

    キャズム理論とは、「新商品を市場に発表した後で、その商品がシェアを獲得するにあたって超えなければならないハードルがある」という考え方のことを指します。

    後述する「イノベーター理論」に基づくと、「イノベーター」「アーリーアダプター」という初期市場と、「アーリーマジョリティ」「ラガード」というメイン市場の間には「キャズム」というシェア獲得におけるハードルがあるとされています。このハードルをこえることによって市場開拓が進み、シェアを獲得できるといわれています。

    キャズム理論を理解するための「イノベーター理論」

    キャズム理論を理解するための「イノベーター理論」

    キャズム理論を理解するためには、「イノベーター理論」を理解しておく必要があります。
    イノベーター理論では次の5つのユーザー層があり、このユーザー層は商品のシェア率によって分類されています。ここでは、5つのユーザー層についてわかりやすく解説します。

    イノベーター

    イノベーターとは「先進的な商品や流行の目新しさに価値を見出す層」のことで、商品そのものの姿かたちよりも、その商品がもたらす新しい体験や価値観に対して関心をもつユーザー層のことです。
    イノベーター理論のなかでは最初のハードルであり、市場の2.5%程度を占めているといわれています。

    イノベーターは情報に敏感で、リスクがあっても新しい商品を体験してみたいと考える傾向にあります。商品に粗削りな部分があっても技術に関心を抱いて購入することが比較的多く、新商品はイノベーターによって初めて市場で注目され、世間に広く浸透し始めることが多いといえます。

    アーリーアダプター

    アーリーアダプターは、流行に敏感であり新商品や新技術を積極的に自分の生活に取り入れようとするユーザー層のことです。
    イノベーターよりも多く、市場の13.5%程度を占めるといわれています。

    アーリーアダプターとイノベーターとの違いは「技術そのものに関心を抱いているわけではない」という点にあります。イノベーターは革新的な技術自体に興味をもって商品を購入しますが、アーリーアダプターは新商品を活用して自分の目的を達成したいと考えるユーザー層です。

    アーリーアダプターと次にご紹介するアーリーマジョリティに壁があり、これを「キャズム」と呼びます。

    アーリーマジョリティ

    アーリーマジョリティは「既に流行している新商品を乗り遅れずに購入したい」と考えている層のことで、市場全体の34%程度を占めるといわれています。後述するレイトマジョリティと並んで最も多くの割合を占めていることから、アーリーマジョリティが中心となって利益を生み出す層であるといえるでしょう。

    イノベーターやアーリーアダプターに比べると商品のリスクを受け入れにくい部分があり、「購入したからには具体的な効果を感じたい」と考えている人々であるといえます。流行に乗り遅れずに具体的な効果も実感したいという点で、前述のアーリーアダプターとアーリーマジョリティの間には溝があり、キャズムが発生します。

    レイトマジョリティ

    レイトマジョリティは、新技術や新商品に対して保守的であり、疑いの目を向けるユーザー層のことです。市場全体の34%を占めるといわれており、アーリーマジョリティと並んで割合が大きい層にあたります。

    レイトマジョリティは、新技術や新商品が市場全体に受け入れられ、間違いなく多数派に属する商品であると確信できてから購入したいと考えます。そのため、一般的には市場に商品が浸透し始めてからでなければレイトマジョリティからの利益は期待しにくいといえます。

    ラガード

    ラガードとは、「新しさ」よりも「文化的」「伝統的」なものを好む最も保守的なユーザー層のことです。新しい技術や新しい商品が市場に商品が浸透したと判断できるまでは「商品を購入する」ことはありません。

    イノベーター理論では、イノベーターとアーリーアダプターが新技術や新商品にいち早く購入の意思を示し、アーリーマジョリティが流行に乗り遅れまいと取り入れて、レイトマジョリティがアーリーマジョリティに続いて商品を購入します。しかしラガードはレイトマジョリティよりもさらに新技術や新商品に懐疑的で、市場において定番となるまで購入しない可能性も高いといえます。

    キャズムはなぜ生まれるのか?

    前述のとおり、「イノベーター」「アーリーアダプター」と「アーリーマジョリティ」「レイトマジョリティ」の間にはキャズムが発生します。
    キャズムが発生する理由として考えられることのひとつに、「それぞれのユーザー層が価値を感じる部分が異なる」ことが挙げられます。

    イノベーターやアーリーアダプターは「先進性」に価値を見出しており、ある程度のリスクを許容した上で商品を購入します。一方でアーリーマジョリティやレイトマジョリティは「安心感」も重視しており、リスクへの許容性が低いという特徴があります。

    さらに、イノベーターとアーリーアダプターは市場全体の16%を占めますが、アーリーマジョリティとレイトマジョリティは市場全体の68%を占めます。前者の16%のユーザー層が新商品を好意的に評価しても、後者の68%の購買層を安心させる材料としては弱いといえるでしょう。これがキャズムが生まれてしまう原因であるといわれています。

    キャズムを超えるためのポイント

    キャズムを超えるためのポイント

    キャズムを超えるためには、次の5つのポイントを意識しながら商品を展開していく必要があります。

    ユーザビリティを重視する

    ユーザビリティを重視し、ユーザーの利用しやすい商品を提供することでアーリーマジョリティやレイトマジョリティの関心を惹きつけるきっかけになります。

    イノベーターやアーリーアダプターはユーザビリティに欠けた商品であってもアイディアを評価して商品を購入することがありますが、アーリーマジョリティやレイトマジョリティはそうではありません。
    「誰にとっても扱いやすい商品」を心がけることで、市場の多数を占めるユーザー層を獲得できる可能性が高まるでしょう。

    自社の現在地を把握する

    自社の商品やサービスが市場においてどの位置にいるのかを把握することは、今後の戦略を立てる上でも重要です。まだイノベーターやアーリーアダプターの段階にいるのか、既にアーリーマジョリティやレイトマジョリティにも受け入れられているのかによって、実行する戦略も異なるためです。

    イノベーター理論に基づいて自社の現在地がどこにあるのかを客観的に把握し、「次の段階に移行するためにはどのような戦略を取らなければならないのか」を理解することが大切です。

    アーリーマジョリティを意識した戦略を立てる

    キャズムを超えるには、最も多くの割合を抱えるアーリーマジョリティに「自社の商品を購入したい」と思ってもらうためのアプローチを行う必要があります。

    アーリーマジョリティやレイトマジョリティはリスクを嫌うため、「〇%の人が効果を実感しています」などの形で数値をアピールすることも効果があるといわれています。加えて、「累計〇万個完売」などの実績アピールも効果的と考えられるでしょう。

    狭い市場に絞る

    商品そのものの魅力も大切ではありますが、市場の選定も重要なポイントのひとつです。商品を売り込む市場をできるだけ狭い範囲に絞り込んで、そのなかで高いシェアを獲得することがキャズムを超えるきっかけになります。

    加えて「ある狭い市場で高いシェアを獲得したら、別の狭い市場に進出してそこでも高いシェアを獲得する」といったことを繰り返していくと、やがてキャズムを超えることが可能になるでしょう。

    先進的な製品であることを強調する

    多くのユーザー層に自社の商品を売り込むためには、まず流行に敏感なイノベーターやアーリーアダプターに商品を見つけてもらうことが重要です。そのため新商品を発表した直後は先進的な製品であることを強調し、先進的な商品に関心が高いユーザー層を取り込むことを意識しましょう。

    まずはイノベーターやアーリーアダプターにアピールして初期市場に商品を浸透させていき、アーリーマジョリティやレイトマジョリティに対して「みんなが知っていて利用している商品」という方向性のアピールができる状態にしていくことが大切です。

    まとめ

    キャズムを乗り越えるためには、自社の現状を正しく理解した上で、アーリーマジョリティやレイトマジョリティなどの市場で大きな割合を占めるユーザー層を取り込めるような対策を立てることが重要になります。

    さらに、ユーザー層による意識の違いから発生するキャズムは、「なぜ発生するのか」を理解した上で乗り越え方を考えていくことが大切です。
    今回ご紹介したイノベーター理論はキャズムの発生する原因を理解する糸口になりやすいと考えられているため、ぜひ参考にしてみてください。

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    この記事の執筆者

    大塚 陽生執筆者のXへのリンク
    株式会社ラクス
    ラクスクラウド企画部 オンラインプロモーション課
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    大塚 陽生

    広告代理店の営業&ウェブ広告の運用担当として6年間従事し、2019年4月ラクス入社。

    オンラインマーケティングチームに所属し広告運用や営業メールの運用を担当。

    メルラボでは、主に自身のメール配信実績をもとにした記事を作成。