エクセルは情報共有ツールとして使える?課題点とおすすめの移行先も解説
企業が生産性向上や業務効率化を実現するには、社内での情報共有をいかに効率化するのかが重要なポイントとなります。情報共有ツールとして、現在社内で利用しているエクセルの利用を検討している方もいるのではないでしょうか。
当記事では、情報共有の重要性から、エクセルで情報共有を行うメリット、エクセルで情報共有を行う際の課題点、専用ツールへ移行するメリット、おすすめの情報共有ツールまでを解説しています。
情報共有ツールの選択で失敗したくない方や、自社に最適な情報共有ツールを選択したい方は、ぜひ参考にしてみて下さい。
目次
情報共有の重要性
生産性向上や業務効率化のためには情報共有が重要であることは、企業で活動する多くの方が認識している事実です。ここでは、一歩踏み込んで、情報共有が重要である具体的な理由について解説します。
業務効率の向上
情報共有が停滞していては、業務の進行・正確性が損なわれるため、非効率化・トラブル発生の原因となる。スムーズかつ確実な業務を行い効率性を高めるためにも、情報共有は非常に重要。
意思決定の精度向上
情報共有が円滑に行われていれば、現場の状況に応じた的確な意思決定が可能。誤った判断が行われる可能性も低減できる。
トラブルの低減・迅速な対応
情報共有が十分に行われていれば、万が一トラブルが発生した際にも速やかに対処することが可能。初動で対処することで致命的リスクを回避できる。
コミュニケーションの円滑化・活性化
情報共有が円滑に行われていれば、社内のすみずみまで必要な情報が行き渡るため、社内コミュニケーションもスムーズに行うことが可能。業務に対する理解や社員同士の連帯感も強まり、モチベーション向上や新たなアイデア創出といった効果も期待できる。
人材育成の効率化
情報共有の体制が整っていれば、人材の育成に要する人的リソースの削減や新人の自己成長の促進を行うことができるため、人材育成を効率化することが可能。人材の早期戦力化やパフォーマンス発揮が期待できる。
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エクセルで情報共有をするメリット
エクセルは、どこの企業でも活用されている身近な表計算ソフトであることから、情報共有への活用においてもさまざまなメリットがあります。
ここでは、エクセルで情報共有を行う主なメリットについて解説します。
新たなコストが必要ない
情報共有を行うにあたって、新たな専用ツールを導入すれば、初期費用や月額費用といったコストが必要となります。一方で、エクセルは多くの企業が既に業務に活用しているツールであるため、エクセルを活用すればコストの負担なく情報共有をスタートできるのが大きなメリットです。
専用ツールには業務効率や利便性の面で劣りますが、小規模な情報共有や簡易的な情報共有で十分にニーズを満たせる場合においては、エクセルの活用は非常におすすめの選択肢となります。
テンプレートが使える
エクセルでは、さまざまな業務用テンプレートが企業・個人から公開されており、情報共有に適したテンプレートも数多くあります。種類が豊富であるため、自社の目的や用途に合ったテンプレートを選択することが可能です。レイアウトや関数をイチから記述してシートを作成する必要が無く、スムーズに実務に適用できることが大きなメリットです。
使い慣れている
エクセルは多くの企業で活用されているビジネスツールであるため、使い慣れているビジネスパーソンが非常に多いことも、エクセルで情報共有を活用するメリットです。
情報提供側は簡単に資料を作成することができますし、もちろん情報を活用する側も閲覧やデータの記入を簡単に行うことができます。ツールの使い方を新たに覚える必要が無いため、手軽に情報共有の仕組みを構築することができます。
エクセルを活用した普段の業務の延長上にあるかのような感覚で情報共有をスタートできるのは、エクセルで情報共有を行う大きなメリットでしょう。
関数やマクロが充実
エクセルには関数やマクロといった便利な機能が充実しているため、目的や用途に合わせて情報共有を行いやすいことも大きなメリットです。簡易的な情報入力を行うシートから、計算や集計を行うシートまで、自由自在に情報共有用のファイルを作成することが可能です。マクロを活用できるのであれば、さまざまな作業を自動化したシステムを開発することもできます。
身近なツールでありながら汎用的に活用できることも、エクセルで情報共有を行う大きなメリットとなります。
エクセルを使った情報共有の課題点
エクセルを使った情報共有は、上記のように複数のメリットがありますが、ツールの特性に起因する課題点もいくつか存在します。
以下に、エクセルを使った情報共有に伴う課題点について解説します。無意識に業務を行っていると気付かない場合もあるため、どのような課題点があるのかを確認しておきましょう。
複数人での共有が難しい
エクセルでの情報共有は、情報提供者がファイルの作成を行い、そのファイルをクラウド上の共有フォルダ等へアップロードすることで共有を行います。ファイル数が少ないうちはスムーズに共有を行うことができますが、ファイルが蓄積されてくると、新旧のファイルが入り混じり最新のファイルが分からなくなったり、編集や改善を加えたファイルの所在が分からなくなったりといった問題が生じます。その結果、実務に古い情報や誤った情報を活用してしまうというトラブルも発生しやすくなります。
情報共有を行う人数やファイル数が多いほど、スムーズな情報共有が難しくなってしまうのが、エクセルでファイル共有を行う際の最大の課題です。
リアルタイムで更新されない
エクセルでは、情報共有を行っているファイルにテキストや数字の変更を加えても、リアルタイムで更新されるわけではありません。一度保存を行い共有を行うまでは、最新の状態のファイルを共有できないことがデメリットです。
更新のタイミングと利用者がファイルを参照するタイミングがかみ合わずに古いファイルを参照されてしまったり、スピーディーな情報共有を行えなかったりといったケースも生じるため、バージョン管理を適切に行うことが重要となります。
権限管理が必要となる
エクセルでの情報共有においては、どのファイルも誰でも無制限に参照できると都合が悪いため、職域・役職等に合わせたアクセス権の設定が必要となります。エクセルでは、ファイルごとに閲覧権限・編集権限を設定することが可能ですが、ファイルの数や社員の人数が多い場合には多大な労力が必要となることがデメリットです。
また、詳細な権限設定を行う機能は搭載されていないため、高度な情報管理・セキュリティ管理を行う必要がある場合には不向きです。
ファイル破損のリスクがある
エクセルは、同じファイルに大量のデータや関数を入力すると、ファイルサイズが肥大化して処理が非常に重くなったり、最悪の場合はファイルが破損してしまう場合があります。
このような現象が起こると、スムーズな情報共有ができなくなるばかりか、最悪の場合は重要なデータや貴重なデータが失われてしまうケースも考えられます。
このように情報共有ツールとして致命的なリスクを抱える場合があることも、エクセルを活用した情報共有の大きな課題点です。
高度な関数やマクロは扱える人が限定される
エクセルの情報共有は、基本機能だけではできることに限界があるため、自社が求める情報共有の方式や体制を実現するには、関数やマクロの活用が必須となります。しかし、高度な関数やマクロを扱える人材は少なく、社内にそのような人材が都合よく在籍しているとも限りません。コストをかけて外部企業にマクロを活用したシステムを発注するのであれば、情報共有専用のツールを導入した方がスムーズに環境構築を行うことができます。
エクセルは使い方次第で有力なツールとなりますが、活用にあたってはさまざまなハードルがあることが課題です。
検索性が低い
エクセルで作成したシートでは、検索機能・ソート機能・並び替え機能等を駆使して必要なデータをスムーズに見つけることができます。しかし、シートの作成方法次第では、エクセルに備わっている検索機能を十分に活かせず、検索性を十分に発揮できなくなるケースも多くあります。
業務に最適なシートの設計や作成をピンポイントで作成するのは非常に難しいため、情報共有専用のツールと比較するとどうしても検索性が低くなってしまうこともエクセルを活用する際の課題です。
エクセルを使った情報共有のポイント
エクセルを使った情報共有は、上述の通りメリット・デメリットが極端である特性を持つため、情報共有に活用するのであればいくつか押さえておくべきポイントがあります。
ここでは、エクセルを使った情報共有のリスクを払拭して成功確度を高めるためのポイントについて解説します。
検索性を高めるための運用を行う
エクセルでの情報共有は、上述の通り検索性が低いことが大きな課題となります。そのため、エクセルでの運用を行うのであれば、以下のように検索性を少しでも高める工夫を行うことが重要となります。
- 階層化・カテゴライズ等を用いて検索を行いやすいようにフォルダ分けを行う
- 検索にヒットしやすいようにファイルにつけるタイトルを工夫する
- ファイル名にルールを設け、検索のポイントを終始しておく
いくら有用性の高いナレッジやノウハウを共有しても、検索にヒットしなければ活用することができません。エクセルの検索性の低さは不可避なデメリットであるため、少しでも払拭できるように工夫を行っておきましょう。
ナレッジを投稿しやすい仕組みを作る
情報共有を成功させるには、各メンバーが業務から得た知識や経験をコンテンツにまとめ、積極的な投稿を行う状況を作り出すことが重要です。エクセルを活用した情報共有においても、こちらの要件は当然当てはまります。しかし、ナレッジの投稿には多くの手間と時間が必要となるため、少しでも障壁を取り払い、投稿を活性化させるための仕組みを作っておくことが重要となります。
- ナレッジ・ノウハウのジャンル別にテンプレートを用意しておく
- ナレッジの作成・投稿の方法についてレクチャーを行っておく
また、ナレッジの投稿を行ったメンバーに対しては、評価やインセンティブを付与するなど、モチベーションを高めるための仕組み作りを行っておくことも重要となります。
定量的・定性的に効果を分析
情報共有においては、定期的に効果測定と分析を行い、PDCAを回して情報のブラッシュアップを行っていくことが重要なポイントです。もちろんエクセルを用いた情報共有においても同様です。
効果測定と分析を行う際には、改善に繋がるより有益な情報を得るため、以下2種類のデータを取得することがポイントとなります。
定量的データ
数値で計測可能なデータ。閲覧数・解決率等。
定性的データ
数値で捉えられないデータ。利用者からのフィードバック・意見・感想等。
定量的データをもとにPDCAを回すことが基本となりますが、定性的データも取り入れることで、情報共有の利便性や有用性を更に向上させることが期待できます。
情報共有をエクセルから専用ツールに移行するメリット
エクセルで情報共有を行う際のポイントについて解説しましたが、ツールの特性や性能の限界から、さまざまな工夫を行っても依然としてある程度の課題は残ってしまいます。
エクセルでの情報共有の課題を解決したい方や、より効率的な情報共有を行いたい方は、情報共有専用のツールを活用するという方法もあります。
ここでは、情報共有ツールを活用するメリットならびに情報共有をエクセルから専用ツールへ移行するメリットについて解説します。
情報共有がスムーズになる
エクセルから情報共有専用ツールへ移行する最大のメリットは、よりスムーズな情報共有が可能になることです。
情報共有専用のツールには、共有する情報を作成するための機能から、情報を蓄積・管理するための機能、必要な情報を探し出す機能など、情報共有に必要となる便利な機能が揃っています。エクセルのようにフォーマットを都度作成する必要も無く、煩雑な管理に煩わされることもありません。ミスや抜け漏れに悩まされるリスクも低減することができます。
専用ツールならではの的確で効率的な情報共有を実現できることが、エクセルから専用ツールへの移行がおすすめである理由です。
同時編集しやすい
エクセルによる情報共有を行う際の大きな課題が、複数名での同時編集を行うことでファイルのバージョンや情報の正誤が曖昧になってしまう点です。
情報共有の専用ツールであれば、リアルタイムで情報が一元管理されているため、変更や更新を行っても即座に反映され、誰もが最新の同じデータを参照することが可能となります。更新や変更が行われた日時も自動で保存されるため、履歴の確認やバージョン管理も容易に行うことが可能です。
このように複数人での同時編集を行っても、情報共有の正確性や効率性を担保できることも、エクセルから情報共有専用ツールへ移行する大きなメリットです。
検索性が向上
専用の情報共有ツールでは、情報の一元管理によりあらゆる情報が一カ所にまとめられており、検索機能も充実しています。そのため、エクセルから専用ツールへ乗り換えると、情報の検索性を飛躍的に向上させることができます。
情報共有においては、必要なタイミングで必要な情報を速やかに探し出せることが、実務に役立てる重要なポイントです。実用的で効率的な情報共有を実現できることは、情報共有専用ツールへ乗り換える大きなメリットであると言えるでしょう。
利用状況の分析ができる
専用の情報共有ツールは、情報が参照された回数・頻度といったさまざまな利用データを自動で蓄積することができるため、データを分析することで情報共有ならびに実際の業務の改善に活かせることが大きなメリットです。
エクセルによる情報共有でも、手動である程度の利用状況の把握はできますが、非常に手間がかかり正確性にも欠けるため、あまり現実的ではありません。
データを根拠にPDCAを回すことは、ビジネスの基本セオリーのひとつです。情報共有においてそれを容易に実現できることは、エクセルから専用ツールへ移行する大きなメリットとなります。
おすすめの情報共有ツールは?
エクセルから専用の情報共有ツールへ移行したいけれども、具体的にどのようなツールを選べばよいか分からない方もいるのではないでしょうか。
ここでは、多くの企業に活用されているおすすめの情報共有ツールについて解説します。ツールの移行を検討している方は、ぜひご参考下さい。
チャットボット
チャットボットとは、チャット形式の会話でユーザーからの問い合わせに自動で対応することができるツールです。
会話を通じて簡単な操作で必要な情報を探し出すことができるため、情報共有においては主にユーザー側の利便性や効率性を向上させることが可能です。利用データも自動で蓄積できるため、改善を重ねることで回答の質や解決率を高めていくことができます。
基本的に問い合わせ対応に活用されるツールであるため、単体で情報共有を行うのにはあまり適しませんが、他の情報共有ツールと連携させることで高いパフォーマンスを発揮できるためおすすめです。
ナレッジマネジメントツール
ナレッジマネジメントツールとは、企業が持つナレッジや社員一人ひとりが持つナレッジを社内で共有するためのツールです。ナレッジの作成・蓄積・管理・分析といった機能が充実しており、効率的なナレッジマネジメントを実現することが可能です。ツールの種類も豊富であるため、目的・用途・環境に合わせて最適な情報共有の体制を構築できるのが大きなメリットです。
ナレッジマネジメントツールは、効率的な情報共有のために開発されたツールであるため、社内での情報共有の推進を行う場合には、優先的に検討すべきツールとなります。
社内Wiki
Wikiとは、多数のユーザーが参加してブラウザからコンテンツの編集を行うことができるサイトやシステムのことです。インターネット百科事典のウィキペディアなどは、Wikiの代表的な例です。
社内Wikiとは、社内での利用に特化したWikiを提供するサービスのことです。操作が簡単で誰でも手軽にコンテンツの作成や編集を行うことができるため、情報共有ツールとしても非常に優秀。スムーズに情報共有の体制を整えたい場合や、情報の蓄積に重きを置きたい場合にはおすすめのツールとなります。
まとめ
情報共有ツールとしてエクセルを活用する場合のメリットや課題から、専用ツールへ移行する場合のメリットまでをご紹介してきました。
エクセルは汎用性が高く手軽に利用できるため、小規模であれば情報共有ツールとして有用性を発揮できるケースも多くあります。しかし、扱う情報の量や携わる人数が増えるほど多くの課題に直面することとなるため、本格的な情報共有を推進したい場合は専用ツールを活用することをおすすめします。
社内での情報共有の推進や体制構築を考えている方は、ぜひ当記事を参考にして自社に適したスタイルを検討してみて下さい。