BtoCマーケティングの特徴と手法を解説
ビジネスはBtoCとBtoBに分けることができます。これは顧客の種類による分類で、顧客が異なればマーケティングの手法も異なります。そこで今回は特に一般消費者をターゲットにしたBtoCのマーケティングの特徴や、具体的な手法についてご紹介します。
目次
BtoCとは
BtoCとは「Business To Customer」の略で、日本語にすると「個人向けの商売」となります。その名の通り、個人・一般消費者を対象としたビジネスにあたります。
購入者と利用者が同一であるため意思決定のスピードが速く、衝動的に購入されるケースも少なくないという点が特徴です。
BtoCとBtoBが異なる点
BtoCに対して、企業や組織を相手にしたビジネスがBtoBです。続いてはBtoCとBtoBが異なる点をご紹介します。
判断基準
BtoCとBtoBでは、そもそも購入に至るまでの判断基準が異なっています。
BtoCの場合は個人で製品を購入しますので、判断要素は幅広くなります。もちろん合理的に検討して判断することもありますが、個人的な好みなどによっても判断されます。
たとえばスマホを購入する際に、できるだけ価格は安く、スペックの高いものが選ばれやすい傾向にあるでしょう。しかしデザインなどの好みを優先すると価格が高く、スペックが低いものが選ばれるケースもあります。
費用対効果よりも所有欲や満足感といった別の要素で判断し、購入に至るというケースも少なくありません。
それに対してBtoBの場合はより合理的な判断を行います。そもそもBtoBの場合は自社の問題や課題を解決するといった目的をもって購入判断が行われます。そのため、その商品で課題を解決できるのか、必要な条件を満たしているのかが大きな判断基準となるのです。
BtoBの場合は費用対効果が重要な要素ですので、コスト・価格の面についてもBtoCよりもシビアになります。
このように、BtoCとBtoBではそもそも判断基準が大きく異なります。この点はマーケティングを展開していく上でも大きなポイントになります。
意思決定者
BtoCの場合、意思決定者は個人で、使用者がそのまま購入者であり意思決定者となるケースが多いといえます。独断で購入を決定することができますので、検討にかかる期間もそれだけ短くなります。
BtoBの場合は組織ですので、複数で協議をして最終的に決裁者が購入を決定することになります。複数人で意思決定が行われるため、多岐にわたる関係者が納得できるような合理的な訴求が必要です。
リードタイム
前述の通り、BtoCの場合は個人で意思決定を行う上に、衝動的に購入されるケースも多いので一般的にリードタイムは短めです。
それに対してBtoBの場合は意思決定に時間がかかってしまうため、リードタイムは長くなってしまいがちです。
とはいえ、そもそもリードタイムに関しては全般的に長くなりがちです。
かつては売り手側が提供する情報のみが買い手の判断材料でしたが、インターネットが普及したことにより買い手側がさまざまな情報を得るようになりました。そのため、購買行動そのものが買い手主体になったのです。
当然、購入のタイミングも買い手次第になります。売り手側がアプローチをかけたとしてもその意図通りに売り上げには繋がらず、結果としてリードタイムが長くなっているのです。
詳しくは後ほど紹介しますが、マーケティングの手法も前提としてリードタイムが長いものが主流になりつつあります。
購買単価
BtoCの場合、相手が個人ですので単価は全体的に低めになります。BtoCは相手が個人だけに顧客候補の絶対数が多く、新規顧客の獲得がしやすい傾向にあります。
それに対してBtoBは相手が企業や組織なので、単価は高くなりますが、BtoCほど絶対数が多いとは言い切れません。
BtoCマーケティングの方法
ここでは具体的に、BtoCマーケティングの手法をご紹介します。
BtoBと比較するとBtoCは早い段階からマーケティングが行われていたこともあって、手法の選択肢が多いです。中でも代表的なものをピックアップしてご紹介します。
マーケティングオートメーション(MA)を使ったマーケティング
マーケティングの手法はますます複雑なものとなっていることから、人の手のみで行うのは困難になっています。
そこで近年多くの企業で導入されているのが、マーケティングオートメーションです。その名の通り、マーケティングに関するさまざまな業務を自動化することができるツールです。
データの蓄積や分析なども高精度で、かつ分析に基づいたマーケティング活動を自動で行うことができますので、マーケティングに必要な人員の削減やコストカットも可能です。
SNSマーケティング
インターネットの普及と同時に、SNSも多くのユーザーを集めるようになりました。特にスマホの普及が進んだことによって、TwitterやInstagramといったSNSが多くのユーザーに使用されるようになりました。SNSはひとつのメディアや広告媒体としても使われています。
相手が個人のBtoCマーケティングにおいてSNSの重要性はますます高まっており、導入する企業も増えています。
単に企業や組織のアカウントを作って情報を発信するだけでもある程度の効果が期待できますので、積極的に活用したいマーケティング手法です。
また、SNSは広告の出稿先としても魅力的な媒体となっています。
コンテンツマーケティング
さまざまなマーケティングの手法の中でも、近年特に高い注目を集めているのがコンテンツマーケティングです。その名の通りコンテンツを活用した手法ですが、重要となるのは「顧客が求めている情報を提供すること」です。
顧客にとって有益なコンテンツを継続的に提供することにより、信頼関係を築きながら優良顧客へと育成することができます。もちろん顧客候補の態度変容を促すこともできますので、新規顧客の獲得にも有効です。
メールマーケティング
メールマーケティングは、ウェブマーケティングが行われるようになった当初から定番のマーケティング方法です。
歴史の長い手法ですが現在でもその効果はとても高く、BtoCマーケティングにおいて多くの企業が採用しています。
BtoCにおける意思決定プロセスの変遷について
前述の通り、BtoCにおける意思決定のプロセスも変化しています。最後にその変遷をご紹介します。
AIDMA
AIDMAは顧客が商材を知ってから購入するまでの流れを5段階に分けてプロセス化したものです。
「注意(Attention)」「興味(Interest)」「欲求(Desire)」「記憶(Memory)」「購買(Action)」の5段階で、長年にわたってBtoCマーケティングの基本とされてきました。
しかし現在ではインターネットの普及などによって顧客の購買行動が大きく変化したことで、通用しにくくなっています。
AISAS
AIDMAが通用しなくなってきたことで、時代に合わせて新たに登場したのがAISASです。こちらも同じく5つの段階に分けられていますが、AIDMAとの違いは後半が「検索(Search)」「行動(Action)」「共有(Share)」に変わっていることです。
インターネット社会となった現代に、より合った意思決定プロセスといえます。
AISCEAS
AISASをさらに発展させたのがこのAISCEASです。さらに間に「比較(Comparison)」「検討(Examination)」が加えられました。顧客がさまざまな情報を得られるようになったことで、買い手側の意思で比較や検討が積極的に行われるようになったことを意味します。
DECAX
DECAXは、コンテンツマーケティングの考え方を説明する言葉です。それぞれ「発見(Discovery)」「関係(Engage)」「確認( Check)」「購買(Action)」「体験と共有( Experience)」という形の、現在のコンテンツマーケティングにおける消費行動を示しています。
それぞれのタイミングでの消費者の感情などを分析することによって、コンテンツマーケティングの精度をさらに高めることが可能です。
まとめ
BtoCマーケティングにはいくつもの手法が存在しており、さらに増え続けています。それだけにどのような手法を選べばいいのかわからず、企業としての悩みになってしまいがちです。
そこで今回ご紹介したBtoCマーケティングの手法を頭に入れた上で、どのように展開していくのかを検討してみてください。