リード獲得につながる効果的なマーケティングオートメーション(MA)活用のポイントを解説
旧来のマーケティング施策や営業活動が効果を上げにくくなっている今、顧客情報(リード)の獲得、検討伺い、検討度による選別の業務プロセスを自動・効率化する「マーケティングオートメーション(通称:MA)」が注目されています。この動向は、従来なら企業間の担当者同士が交渉を重ねて取引するイメージのあるBtoB企業においても例外ではありません。今回はマーケティングオートメーションの役割やリード獲得について、そしてよくある失敗事例などをご紹介します。
目次
マーケティングオートメーションとは?
マーケティングオートメーション(通称:MA)とは、マーケティング業務を自動化(オートメーション)・可視化するツールです。
2000年代から米国で広まったマーケティングオートメーションですが、日本では2015年ごろから導入が本格化し始めました。
マーケティングオートメーションではさまざまな経路からの顧客情報(リード)の獲得と管理、その後の検討タイミング伺い、検討度による選別を行います。案件化する確度の高い見込み客を選別して、営業スタッフに引き継ぐところまでを一連で行うことができます。
通常の新規顧客獲得のプロセスでは、見込み客ごとにこまめなアプローチをはかり、個々の興味・関心をくすぐる情報を提供し、商機を逃さず交渉に持ち込む必要があります。
従来、1つの契約を得るまでにはたくさんの時間やコストがかかり、アプローチできる数には限界がありました。
しかしマーケティングオートメーションを導入すれば、精度・速度ともに高いデータ分析が可能になります。その結果これまで手の届かなかった見込み客にもリーチできるため、より高い成果を期待できるようになります。さらに、これらの顧客獲得のプロセスを自動化できるので、関係者の負担を軽くできることもメリットです。
関連記事はこちらなぜMAが必要なのか?導入の際の注意点も解説!
リード獲得において大切なこと
マーケティングオートメーションを実践するかどうかに関わらず、マーケティングにおける重要な考え方のひとつに「リード獲得」があります。
リード獲得とはマーケティング用語で「リードジェネレーション」とも呼ばれます。見込み客(リード)の情報をさまざまな方法で獲得・一元管理し、企業の営業活動を強化していくプロセスです。顧客や市場の動向が変化している中、効率的にリード獲得を進めるには大切なことがいくつかあります。
より多くのリードをより確実に獲得
インターネットの普及に伴い、ユーザーの消費行動は大きく変化しています。
企業同士がつながるBtoBでも例外ではなく、より良い取引先を常にインターネットで検索し情報収集するようになっています。そのため、営業スタッフがFace to Faceでお得意先との関係を構築したり、見込みの浅い顧客も含めて手当たり次第にアポイントを入れたりといった、旧来の属人的な営業スタイルは、現代においては効率的とは言えないでしょう。
こうしたことからオンライン上での顧客接点を増やしたり、行動履歴を把握して意欲の高い顧客を抽出したりといった作業を自動的に実施できるマーケティングオートメーションが注目されているのです。
リード獲得の進化系「One to Oneマーケティング」
新聞やテレビCM、折込チラシといったマスメディア上の営業活動もかつてほどの効果を発揮しなくなりました。市場に類似品があふれる中、自社の商材がいかにピンポイントのニーズに応えられるかが重要です。
そのため大勢に向けて訴求するマスマーケテイングよりも、顧客一人ひとりの興味・関心の内容や熱量に基づく最適なアプローチを行う「One to Oneマーケティング」を重視して施策を立てることが大切です。
顧客ごとのアプローチで成果を上げるには、正確な分析と煩雑な作業が必要になります。これも、マーケティングオートメーションによる自動化の普及が進んでいる要因です。
効果的にリード獲得するマーケティングオートメーション活用のポイント
マーケティングオートメーションを活用してリード獲得を効率的に行うには、いくつかのポイントがあります。
1.登録フォームから得た見込み客情報をデータベース化
マーケティングオートメーションツールを使えば、Webサイト制作のスキルのない担当者でも簡単にWebページを作成できます。管理画面からランディングページや登録フォームを必要なタイミングで作成できるので、見込み客との接点づくりに活かすことができます。
ここで得た見込み客の情報は、自動処理でデータベースに保存されます。例えば、登録フォームに届いた顧客情報をひとつずつ手作業で入力し整理する手間が省ける上に、その瞬間からマーケティング施策に活用できます。
2.ユーザー行動履歴機能により顧客ニーズを見える化
自社のWebサイト上での顧客の行動履歴を蓄積する機能です。これらの蓄積された行動履歴情報の中の、よく見ているページや、クリックしてもらえるメールのコンテンツ内容などから、顧客の興味・関心の内容を知ることができます。見込み客のニーズを内容によってセグメント分したり、スコアリングしたりすることも可能です。
これらの情報をもとに反応のよさそうなコンテンツのメールやセミナー、展示会情報を案内するなどのアプローチを直接行うこともできます。データベースが大きくなると閲覧企業の業種や規模といった傾向もつかめるので、自社のリアルなターゲット企業の姿が浮かび上がります。マーケティング活動のさらなる効率化をはかることができるでしょう。
3.見込み顧客を一元管理
オフラインで獲得した顧客情報をマーケティングオートメーションに連携すれば、一元管理できて顧客データが埋もれてしまう心配がなくなります。
営業スタッフ一人ひとりが抱え込んでいる新旧のお得意先もデータベースとして企業全体で共有すれば、担当者のキャパオーバーでアプローチできていない顧客にも自動でフォローすることができるので、担当者の能力に関わらず最適なアプローチが行き届くでしょう。
4.見込み顧客の育成
上記のリード獲得施策により得た顧客情報は、すべてがすぐに案件化するわけではありません。顧客の関心度や内容に合わせた情報を最適なタイミングで提供することで顧客の検討度を引き上げ、商機をつかむ必要があります。
マーケティングオートメーションでは、顧客属性に応じたメール配信とその開封・クリックといったリアクション、各Webページの訪問履歴を蓄積するユーザー行動履歴の機能があります。これらの顧客の行動履歴データが集積するほどに、新しいリード獲得のヒントもつかめます。
マーケティングオートメーション運用時のよくある失敗
マーケティングオートメーションは導入することがゴールではありません。システム運用時のよくある失敗を事前に知っておくことで、プロジェクトの効率化を目指しましょう。
ケース1.組織内連携の問題による失敗
特によく見られる失敗の一つは、「マーケティング」という名称から「マーケティング部門だけのためのシステム」と捉えてしまうケースです。他部門が自分ごとと思えず、組織全体が連携できていないという問題があります。
例えば、企業全体のデータ管理に関わる情報システムのエンジニアが主体的に関わらなければ、運用までの時間が長引くでしょう。マーケティングオートメーションによって確度の高い見込み客データを絞り込めたとしても、営業部門にうまく引き継げなければ成約につながりません。
マーケティングオートメーションが売上に関わる全社的なプロジェクトであることを周知し、各部門が主体的に活用することが重要です。
ケース2.データの問題による失敗
企業には営業スタッフ一人ひとりが保有するものや、外部企業に依頼したマーケティング結果といったさまざまな接点で収集した顧客データが存在します。これらの顧客データの仕様がMAツールの設定と違う場合、自動化のためのデータベースとして機能せず、失敗してしまうことがあります。
こうしたバラバラなデータベースをあらかじめ決めたルールに則り統合していくことで、自動化に乗せるデータとして整えることができます。
ケース3.運用の問題による失敗
多機能が故に、簡単なメール配信程度にしか活用できていないというケースもあるようです。
マーケティングオートメーションはあらかじめ設定したシナリオ通りに運用するため、「どの機能をどう使うか」などの運用設計が必要です。この設計は自動でできるものではないので、自社で難しい場合はアウトソーシングの検討も必要でしょう。
また、運用開始時から複雑なシナリオを組んでしまうと分析時にどこが原因で上手くいっていないのかが分からないので、まずは、少ないシナリオ数からPDCAを回していくことがオススメです。
まとめ
市場の変化や顧客動向の多様化でマーケティングは複雑になり、営業活動も旧来の方法では立ち行かなくなってきています。
注目を集めるマーケティングオートメーションは、これからのリード獲得だけでなく、眠っている顧客の案件化を支援してくれる頼もしいツールです。さまざまなミッションを自動化してくれるマーケティングオートメーションのメリットを最大限に活かし、効率的な顧客獲得を目指してください。