「顧客」とは?「客」との違いや種類・使い分け方を解説
普段何気なく使っている「顧客」という言葉ですが、実際のところはどのような意味をもつ言葉なのか、深く考えてみたことはあるでしょうか。今回は、「顧客」という言葉の意味や、「客」との違い、種類などについて解説します。
目次
顧客とは
「顧客」とは、一般的に「自社の商品やサービスを購入してくれている、または購入したいと考えている人」のことを指します。このなかには、過去に購入してくれた経験があり繰り返し商品を購入してくれるリピーターも含まれます。
「顧客」と「客」の使い分け方
一般的に、「顧客」は既に自社の商品やサービスを購入した経験がある既存顧客やリピーターを指し、「客」はまだ自社の顧客ではない見込み客のことを指します。
ただし、マーケティング分野では「客」という表現が使われるケースが多く、サービス業では「顧客」という表現が使われやすい傾向にあります。日常的に取引相手と接する機会が多い場合は「顧客」を使用し、マーケティング部門などの直接的に取引相手と接する機会が少ない場合は「客」と表現するケースが比較的多いようです。
顧客の種類
顧客という言葉は、さらに細かくいくつかの種類にわかれます。ここでは、代表的な5種類の「顧客」について解説します。
潜在顧客
潜在顧客とは「自社の商品やサービスを購入したことがなく、認知もしていない顧客」のことを指し、認知しているものの購入を検討するような段階にない場合も潜在顧客に含むことがあります。
潜在顧客はまだ自社の商品やサービスを認知していないケースがほとんどであり、広告戦略をはじめとしたマーケティングによって認知度を拡大し、購入を検討してもらえる「見込み客」に引き上げることが重要になります。
市場で表面化している顕在層にばかりアプローチしていると顧客が尽きてしまう可能性があるため、継続的に潜在顧客を開拓することは大切です。
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新規顧客
新規顧客とは、過去自社の商品やサービスを一度も購入したことがなかった顧客のことです。「新規ユーザー」と呼ばれることもあります。
新規顧客を獲得するためには、営業やインサイドセールスなどを通じて電話やメール、展示会、セミナーなどのさまざまな方法で顧客とコミュニケーションをはかり、自社の商品やサービスを購入してもらうためのアプローチを行う必要があります。このとき接する顧客のことを「新規顧客」と呼びます。
既存顧客
既存顧客とは、自社の商品やサービスを一度以上購入したことがある顧客のことです。
将来的にリピーターへつなげるためにも、まずは自社の商品やサービスを購入してくれる顧客を獲得しなければ始まりません。したがって、自社の商品やサービスを認知してもらい、「購入したい」と思ってもらえるような魅力的な施策を打ち出していく必要があります。
とはいえ、既存顧客が必ずしもリピーターとして継続的に購入を続けてくれるとは限らないのが実情です。
「商品を購入してみたものの思っていた効果が発揮されなかった」「自分にとって魅力的なブランドではなかった」「リピートしても良いと思っているものの継続的に購入するほどの動機がない」など、さまざまな理由で一度きりの購入に顧客にとどまっている顧客をリピーターへとつなげることが求められます。
見込み客
見込み客とは、潜在顧客よりも検討段階が一段階進んだ状態にある顧客のことです。
見込み客は自社の商品やサービスを既に認知しており、購入を検討していることから、具体的なきっかけがあると実際に購入が成立する可能性は高いといえます。
見込み客を購入につなげるためには、自社の商品やサービスが見込み客にとってどのような価値があるのかを伝え、購入することでどういったメリットがあるかを感じてもらえるような施策が必要です。
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リピーター
リピーターとは、自社の商品やサービスを繰り返し購入してくれる顧客のことです。
ビジネスにおいて、最終的に目指す「顧客」の姿はリピーターである場合がほとんどです。リピーターの存在は企業の売上を継続的に支え、経営を安定化させるためには欠かせません。
リピーターは自社のブランドそのものに好感を抱いてくれている可能性が高く、知人や家族にすすめたりインターネット上でレビューを発信したりして、リピーター自身が広告塔となってくれることも期待できます。そのため、リピーターをどれだけ獲得できるかどうかが、ビジネスを成功に導くポイントともいえるでしょう。
「顧客」と「マーケティング」との関係性とは
ここまでお伝えしてきた「顧客」を踏まえた上で、マーケティングとの関係性についてみていきます。
企業が自社の商品やサービスを購入してもらうためには、「市場に商品を購入してもらえる可能性がある顧客はどの程度いるのか」をあらかじめ調査しておく必要があります。自社の商品がどれほど素晴らしいものであっても、必要としている顧客の数が少なければ、売上にはつながらないためです。
そこでまずは顧客が属する「市場」について十分な調査と分析を行い、自社の商品やサービスを市場に投入して売れる見込みがあるのかどうかを判断しなければなりません。市場の規模やそこにいる「顧客」を明らかにして自社の商品やサービスを提供する環境を整えるためには、市場にいる「顧客」がどのようなニーズをもち、どのような動機で商品を購入するのかを丁寧に分析することが求められます。
また、市場調査の際は、市場の範囲を導き出してそこにいる顧客の属性情報の分析や実際の顧客の声を収集すること(Customer)、競合他社の存在や強み/弱み(Competitor)、自社の商品やサービスのメリット(Company)といった3C分析を行うなど、様々な角度から調査を進めることも大切です。
顧客と似ている言葉
「顧客」と似ている言葉に、「消費者」「生活者」「ユーザー」があります。ここでは、3つの言葉の違いについてそれぞれ解説します。
消費者
消費者とは、「商品やサービスを消費する人のこと」です。
マーケティング分野においては、自社の顧客であるかどうかにかかわらず、商品やサービスに金銭を支払う意思がある人のことを総称して表現するときに使われることが多い言葉です。
「消費者」という言葉はあくまでも総称であるため、自社の売上には直接的に関連がありません。例えば「消費者の支出は減少傾向にあるものの、自社の顧客は積極的に商品を購入しており売上は増加した」という現象は成立します。
「消費者」は世間の一般消費者を指しており、「顧客」は自社の商品やサービスを購入する人、と考えるとわかりやすいでしょう。
生活者
生活者とは、「ある特定の思想のもとに生活する人のこと」を指す言葉です。例えば「サステナブルな暮らし」を営む人や、余計なものをもたない「ミニマリスト」などは生活者に該当します。
主に個々のライフスタイルや価値観など、その人の人間性そのものを反映した考え方をあらわしたいときに使われます。
ユーザー
ユーザーとは「利用者」のことであり、商品やサービスを実際に利用している人のことをあらわします。インターネット上で提供されるWebサービスやアプリケーション、ゲームなどの分野では「ユーザー」という言葉が特によく使われる傾向にあります。
ユーザーという言葉が使われる場面は幅広く、「無料プランを利用しており有料プランへの移行は未定」といった見込み客から、「既に有料プランを継続利用している」リピーターまで、さまざまな背景の顧客を含みます。
まとめ
「顧客」と「客」は、自社にとって既にリピーターになっているかどうかで使い分けることが多いといえます。ただし、必ずしもこの限りではなく、顧客に接する機会が多い職種では「顧客」を使い、そうでない職種では「客」とあらわす場合もあります。
新規市場に参入する際は市場の調査・分析が重要になりますが、市場に属する顧客をよく知ることも参入を成功させるための重要なポイントです。市場と顧客は深く関連していることを念頭に置きながら、顧客へのアプローチ方法を検討しましょう。