顧客満足度(CS)を向上させる施策やそのポイントとは?
近年、多くの業界・業種で「顧客満足度の向上」が叫ばれています。現代では異業種参入やグローバル化によって市場の多様化が進んでおり、その中で売上が伸びずに成長が停滞してしまう企業も少なくありません。
以前に比べ、企業の数が増加している中で、自社の製品やサービスを選び取ってもらうためには顧客満足度の向上が欠かせないようになりました。
とはいえ、実際にどのようなアプローチをして、満足度の向上を図ればいいか分からないといったケースも少なくないでしょう。
そこで今回は顧客満足度の概要から、向上させる方法やポイントを解説します。
ご紹介する方法やポイントを参考に、顧客満足度の向上を図り、企業を成長へと導きましょう。
目次
顧客満足度(CS)とは
顧客満足度は、製品やサービスに対する満足度を示す指標です。顧客満足度は英語で「Customer Satisfaction」と表記され、略してCSとも呼ばれています。
日本生産性本部サービス産業生産性協議会では、顧客満足度を「顧客期待」「知覚品質」「知覚価値」「顧客満足」「推奨意向」「ロイヤルティ」の6つの項目で示しており、近年では顧客満足度をより正確に測定するため、「NPS(Net Promoter Score)」という指標が用いられることもあります。単に顧客満足度を測るだけではなく、顧客が自社に対してどれだけの愛着や興味関心を抱いているかを把握し、本質的な価値をあぶりだす取り組みもなされているのです。
顧客満足度(CS)が重要視されている背景
そもそも、どうして今顧客満足度が重要視されているのでしょうか。その背景には、技術発展に伴う市場環境の変化があります。時代の変遷により、顧客のニーズや市場の状況、企業を取り巻く環境は急速に変わりつつあるのです。
では、現代ビジネスにおいて顧客満足度が重要視されている3つの背景を詳しく確認していきましょう。
他社との競争激化
顧客満足度の向上が求められるようになった最大の要因は、他社との競争激化といえるでしょう。
今までは各国が国内を中心に事業を展開していましたが、グローバル化が進んだ現代においては、競合範囲がよりいっそう拡大しました。
また、昔は一つの事業に注力する経営モデルが一般的でしたが、今や多くの企業がさまざまな事業に乗り出し、多角経営が進んでいます。元々は小売業だけを行っていた企業が飲食や福祉、EC事業に乗り出すというケースも珍しくありません。また、昔は一つの事業に注力する経営モデルが一般的でしたが、今や多くの企業がさまざまな事業に乗り出し、多角経営が進んでいます。元々は小売業だけを行っていた企業が飲食や福祉、EC事業に乗り出すというケースも珍しくありません。
そのため、この数十年間で多くの業界で企業間競争が激化しました。そして、競争の激化によって製品・サービスの質に差異が生まれにくくなったことで、顧客満足度をはじめとした付加価値の重要性が高まったのです。
SNSの普及
ここ数十年間、インターネットの世界で猛威を振るっているのがSNSです。SNSを使えば、製品やサービスの情報を入手するだけでなく、自らが発信することも可能です。場合によっては商品を提供する事業者側よりも、利用ユーザーの方がより多くの情報を発信することもあり、その拡散性は非常に大きな影響を与えるようになりました。とりわけ、インターネットの発達によって多くの人は商品の購入前にレビュー・口コミを参考にすることが増えましたが、よりリアルな声としてSNSでの評判を事前にチェックする人も増えたのです。
多大影響を及ぼすSNSは良い側面もありますが、一方でリスクも抱えています。例えば、顧客対応が悪かったり、製品・サービスが良くなかったりすると悪い評判は一気に広まってしまいます。こうした要因から、企業は顧客満足度に注視する重要性が高まったのです。
コスト削減
企業の大小、業界業種を問わず、どの企業も直面することがコスト削減に関する問題です。特に、企業がサービスを売り出す際にかける広告宣伝費は、会社の予算の中でかなりの比重を占めます。また、従来の販促は新規顧客の獲得を目的にしたものがほとんどでした。しかし最近では、大々的に広告を打って新規顧客にアピールするよりも、既存顧客の満足感を満たしてリピート率を上げる方がコストパフォーマンスは高いといわれています。
先ほどご紹介したように、一般的に物やサービスを購入する際には、企業広告もさることながら、購入者の口コミに着目している方は少なくないでしょう。そして、実際のところユーザーや知人からのポジティブな口コミの方が、企業広告よりも遥かに説得力があります。つまり、莫大な広告費にコストを費やすより、ユーザーの口コミに気を配った方がコスト削減につながり、大きな宣伝効果を高められるのです。
例えば、国内最大級のアミューズメント施設である東京ディズニーランドは、年間来場者の約9割がリピーターといわれています。企業が提供するサービスや物品に高い評価を下した顧客が、再購買に至るのです。確かにディズ二―ランドは多大な広告費をかけていますが、来訪者の満足度を上げるきめ細かなサービスを提供することで、高いリピート率を誇っているのです。このように、より少ない金額で売上を拡大させていくために顧客満足度は欠かせない要素と言えるでしょう。
顧客満足度(CS)が向上すると?
顧客満足度が向上することで、具体的にどのような利点があるのでしょうか。売上拡大につながるメリットの内、大きなものとして「リピーターの創出」「企業イメージの向上」の2つがあります。それぞれ詳しく確認してみましょう。
リピーターが増える
顧客満足度の向上によって、リピーターの増加が見込めます。他にも、リピーターの増加によって、口コミやSNSでの拡散なども期待でき、予想以上の効果が表れるケースも珍しくありません。
ちなみに、売上の内の80%は優良顧客から創出されるとする研究結果もあり、いわゆる「ロイヤルカスタマー」の創出に力を入れている企業も少なくありません。既存顧客を引き上げて売上を伸ばすアプローチは、新規顧客を開拓するよりもコストが低く効率的な手法です。
また、常に新規顧客を開拓するためには社内のリソースを大きく割く必要もあるため、人員を最適配置する観点からも有用な手法なのです。
企業のイメージ向上につながる
顧客満足度は、ブランドイメージに影響します。そもそも、固定客が多い企業やお店に対して、いいイメージを持つ方は多いでしょう。加えて、経営が安定していたり、対応がよかったりすると、新規顧客の数はさらに増えていきます。
将来的に成長していくために、世間にポジティブなイメージを与えることは非常に大切です。また、企業のイメージが良くなり認知度が高くなれば、広告費にコストをかける必要がなくなるため、広告宣伝費を削減することができることもメリットのひとつでしょう。
LTVが伸びて収益が安定する
LTV(Life Time Value)とは、直訳すると「生涯顧客価値」という意味で、1人の顧客が生涯で自社にもたらしてくれる売上の合計のことを言います。簡単にLTVの概念を説明すると、数回しか購入してくれない顧客よりも、長期的に何度も何度も利用してくれる顧客の方が、より多くの利益をもたらしてくれる=LTVが高いということとなります。
顧客満足度を向上させることは、リピート率・継続率アップに繋がるため、LTVを伸ばすことに非常に効果的です。LTVが向上すると、新規集客や競合の動向に左右されず安定的に売上を確保することができるため、売上拡大だけでなく収益の安定化にも繋がります。
新規顧客の獲得コストは既存顧客の獲得コストよりも5倍大きいということはマーケティング界の定説です。近年ではLTVをいかに向上させるかが企業の成長・存続の鍵であるとされているため、顧客満足度向上に取り組む意義は非常に大きいと言えるでしょう。
関連記事はこちらLTVとは?計算方法とLTV向上方法を徹底解説
顧客満足度(CS)はどのように測定する?
顧客満足度を向上させる施策を実施する際は、施策実施の前後で顧客満足度を測定することが重要です。数値を用いて効果測定を行うことで、施策を実施した成果を計測することができます。一般的に顧客満足度の測定は、アンケート形式の調査を用いて集計・分析を行います。
ここでは、顧客満足度の具体的な測定方法ならびに測定に用いる指標についてご紹介します。顧客満足度の現状把握や的確な施策実施を行うためにも、ぜひ確認しておいて下さい。
NPS
NPS(Net Promoter Score)とは、企業ならびに商品・サービスに対する信頼度・愛着・忠誠心を測定する指標です。厳密には顧客満足度ではなく「顧客ロイヤリティ」を測定する指標となります。
NPSでは、「商品・サービスをどの程度家族や友人に推奨したいか」という質問に対して顧客に11段階の数値で評価を貰い、点数によって以下の3区分に分類を行います。
- 0~6点:批判者
- 7~8点:中立者
- 9~10点:推奨者
各区分を集計した後、推奨者の割合から批判者の割合を差し引くことでNPSの数値が求められます。
- NPS=推奨者の割合(%)-批判者の割合(%)
多くの場合は、批判者の割合のほうが大きくなり、NPSはマイナスの値を取ります。
CSI
CSI(Customer Satisfaction Index)とは、自社の商品・サービスと関連性が高い質問を複数用意して、各質問の平均値を以って顧客満足度を測定した指標です。
CSIでは、以下5つの質問を用意して0~100の点数で評価を貰い、平均値を集計して顧客満足度を測定します。
- 顧客期待値
- 顧客忠実度
- 顧客不満度
- 知覚品質
- 知覚値
データの母数が多ければ信頼性の高い測定結果を得やすくなるため、顧客数の多い大企業や政府機関などを中心に活用されています。
JCSI
JCSI(Japanese Customer Satisfaction Index)は、名称の通りCSIを日本国内の社会構造に合わせてカスタマイズした指標となります。JCSIでは、CSIで用いる5つの質問に推奨意向という1項目を加えた以下の内容で、顧客満足度の測定を行います。
- 顧客期待値
- 顧客忠実度
- 顧客不満度
- 知覚品質
- 知覚値
- 推奨意向
推奨意向とは、商品やサービスを他人に進めたいかを問う質問です。
JCSIでは、CSIと同じく平均値を算出した後、顧客が感じた価値から事前の期待値を差し引くことで顧客満足度を数値化します。
- 顧客満足度=顧客が感じた価値-事前期待値
事前期待値よりも顧客が価値を感じていなければ、当然顧客満足度はマイナスとなるため、非常に分かりやすい指標と言えます。
どの指標を使うべき?
顧客満足度調査には上記でご紹介した3つの指標がありますが、どの指標を使うべきか分からない方もいるでしょう。いずれも有用性・効果性が認められている指標となりますが、現代社会のビジネス事情においては顧客ロイヤリティを測定できるNPSが高い優位性を持つとされています。
理由としては、新規顧客獲得の難易度向上・コスト高騰により、企業が継続的に売上拡大・売上安定化を図るには、顧客ロイヤリティを高めてLTVを向上させることが重要であるためです。
もちろんCSI・JCSIも自社の商品・サービスに対する顧客満足度を測定できますが、現状の把握には適しているもののリピート・継続を判断するにはあまり適していません。
NPSでは、顧客満足度よりも広範の概念である顧客ロイヤリティを測定するため、商品・サービスの満足度だけでなく顧客体験まで測定できるため、リピート・継続に繋がる今後の戦略・施策に役立てることができます。
顧客満足度の調査方法
上記の指標を用いた顧客満足度調査は、アンケートを用いて顧客の評価を収集することは先に述べた通りです。具体的な調査方法・アンケート実施方法には、以下のような方法が用いられます。
- インターネット調査
- 郵送調査
- 電話調査
- 会場調査
- インタビュー調査
- モニタリング調査
- 覆面調査
コスト・時間・労力の面から最も手軽に顧客満足度調査を実施できるのは、冒頭のインターネット調査となります。インターネット上に設けたアンケートフォームから、顧客に情報を入力してもらうことで実施が可能です。
また、顧客満足度調査は自社リソースで行うだけでなく、調査会社・第三者機関に委任することでも実施可能です。
調査会社のノウハウ・リソースを活用したい場合や、第三者機関による公平性・信憑性が担保されたデータを集めたい場合は、アウトソースを視野に入れても良いでしょう。
顧客満足度は定期的に調査すべき
顧客満足度は、自社が提供している商品・サービスのトレンドやラインナップ・価格・品質・対応・アフターフォローや顧客のニーズ・ウォンツ・傾向などさまざまな要素によって常に変化します。そのため、顧客満足度調査は一度の結果で判断するのではなく、定期的に実施して常に顧客の動向変動をモニタリングして状況を把握しておくことが重要です。
特に、顧客満足度改善施策のフィードバックを得るためにも、施策の前後には必ず実施する必要があります。
顧客満足度を定期的に調査することで、状況に応じて都度的確な施策や改善を施すことができるため、顧客満足度を一定水準以上に保つことができます。
顧客満足度(CS)を向上させる方法
顧客満足度は自社が顧客に商品・サービスを提供する過程すべての結果であるため、顧客満足度を向上させる施策も多岐に渡ります。
ここでは、顧客満足度を向上させる具体的な方法について5つご紹介します。すべてを同時に実施することは困難であるため、現状と照らし合わせて改善できる点から着手することがおすすめです。
顧客満足度を向上させたい方は、各施策の概要・実施方法を把握して、施策の実施に取り組んでみて下さい。
良いサービスの提供
顧客はお金を払って期待感を抱きながら、自社の商品・サービスを購入してくれています。そのため、顧客満足度を向上させるには、良い商品・サービスを提供することが大前提となります。
商品そのものの品質が良いことはもちろん、受発注対応・問い合わせ対応の品質も含めて、顧客が満足するサービスを提供できているかを定期的にチェックしなければなりません。
また、満足度を追求するとともに、顧客の不満や不快感と言った負の解消に取り組むことも、良いサービスを提供するためには非常に重要です。
良い商品・サービスの提供は現代においては多くの企業が重視している点です。そのため、より効果的に顧客満足度向上に繋げるためには、顧客の期待・想像を上回る商品・サービスの提供を行うことが有効な打ち手となります。
顧客の声に耳を傾ける
顧客満足度を高めるためには、まずは顧客の声に耳を傾けるところから始めましょう。そもそも企業側が提供している商品やメッセージに対して、顧客とミスマッチを起こしているケースも少なくありません。「あるべき姿」と「現状」のギャップを分析し、差を埋めることが重要です。
顧客は何を意識していて、何に価値を感じているのか、企業側が商品を通じて伝えたメッセージをどのように感じるのか、これらの顧客の現状を知ることが、顧客満足度を向上させる足がかりになるでしょう。
顧客から意見を集めた後は、意見を元にして改善案を組み立てたり、商品・サービスのブラッシュアップに役立てたりして有効に活用してみてください。
最適なタイミングで情報を提供する
最適なタイミングで商品・サービスの情報を提供することも、顧客満足度に寄与します。例えば、ネット通販で、ある商品をカートに入れたまま購入せずにサイトから離脱したユーザーがいたとします。
一般的には、このまま顧客が商品を買わずに機会損失をしてしまうことがほとんどです。しかし、このような状況が発生した際に、ユーザーと親和性の高いチャネルからカートに入っている商品の割引クーポンが届いたらどうでしょう。最後の一押しによって、ユーザーが商品購入をする確率は一気に高まるはずです。
このように、適切なタイミングでアプローチを行うことは、顧客の購入を後押しするのと同時に、顧客満足度の向上にもつながります。
例として商品のレコメンドを挙げましたが、顧客からの問い合わせでも同じことがいえます。もちろん、ブランドイメージを高めて顧客をひきつけたり、商品・サービスの機能的価値を提供したりすることも重要ですが、最適なタイミングで情報を提供することが、より強固な関係を生むことは間違いないでしょう。
最適なタイミングで顧客に情報を届ける手段として、メルマガを活用するのがおすすめです。メルマガについては以下の記事をご参考ください。
関連記事はこちらメルマガとは?5分で基本知識から効果的な配信方法がわかる基礎講座
スピーディーに対応する
顧客の問い合わせに対するスピーディーなレスポンスも顧客満足度に大きく影響します。抱えている悩みをすぐに解決できるよう誰しもスピーディーな対応を求めるものです。また、すぐに解決することが困難な問題であったとしてもレスポンスが早いに越したことはないでしょう。
また、顧客満足度を高める方法の中でも、顧客対応の速度を高める方法は比較的取り組みやすいものでもあります。顧客からの問い合わせやクレームにはすぐに反応してメールを返したり、電話を返したりと意識を持つだけでも大きく改善できるケースも珍しくありません。素早い対応で顧客に付加価値を提供できるよう努めましょう。
ラクスが提供するメール共有・管理システム「メールディーラー」は、メールごとに担当者を振り分けたり、メールの対応状況をラベルやタブで見える化できます。どのメールが対応されていないかを誰でもひと目で確認できるので、対応スピードの向上にも寄与します。
また、メールだけでなくチャットやSNSにきた問い合わせの管理もできます。詳細を知りたい方は以下よりお問い合わせください。
スタッフ教育の徹底
顧客満足度を上げるためには、顧客にのみ焦点を当てるのではなく、社員などスタッフにも目を向ける必要があります。スタッフの満足度が上がれば、従業員全体のモチベーションが上がり、対外的な顧客満足度の向上につながるからです。スタッフの満足度が上がれば、業務への積極性も向上し、売上アップにも良い影響を及ぼすでしょう。
そのためには、入社時の新入社員教育のみならず、中堅社員に対してもセミナーやワークショップを実施するなど、全社的に会社への帰属意識を高めることが必要です。会社のビジョンへの共感、マネジメントへの納得感、参画・業績への充実度、企業風土の快適さ、就業環境の快適さなどの要素を充分に満たしていれば、従業員満足度を高められるはずです。
ちなみに、入社後3年以内に正社員が退職すると、トータルで1千万円以上のロスになるという話もあります。社員一人を育て上げるのにかかる費用を考えると、人材の定着は会社にとって重要な課題でしょう。
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顧客満足度(CS)を向上させるポイント
次に、顧客満足度を向上させるポイントとして、「顧客の満足を定義する」「顧客の求めていること以上を提供する」「顧客満足度の調査を行う」「うまくITツールを活用する」の4つのポイントが挙げられます。これらをひとつずつご紹介していきます。
顧客の満足を定義する
顧客の満足について定義することは、顧客満足度を向上させるうえで重要なポイントのひとつです。自社における「顧客満足」とは何か、どういった状態を理想とするのか、定義を明確にして組織全体で共有することはとても大切です。
共通認識を持っていないと、打ち出す施策に一貫性がなくなってしまったり、効果的な振り返りができなくなってしまったりする可能性があります。そのため、会社やチーム全体で話し合い、定義づけを忘れずに行いましょう。
顧客の求めていること以上を提供する
顧客が求めていること以上の体験を提供することも、顧客満足度を向上させるポイントです。
リッツカールトンを例に見てみましょう。リッツカールトンといえば、質の高いサービスが有名で、40~50%という高いリピーター率を誇るホテルです。 アメリカのフロリダ州のリッツカールトンでの出来事です。ある日、ホテルマンがビーチチェアを片づけているところに宿泊客の男性が来て、「今夜この場でプロポーズをするからイスをひとつ残しておいて欲しい」と頼まれます。ホテルマンは了承し、ビーチチェアをひとつ残しました。
一般的なホテルであればこれで対応を完了させるところですが、リッツカールトンのホテルマンはそれに加えて、純白のクロスを敷いたビーチテーブルやお花、シャンパンを飾り、砂汚れしないようタオルまでセッティングしたそうです。また、プロポーズの時間には正装して準備をし、カップルを出迎えました。
この例から分かるように顧客満足度を高めてリピーターを創出するためには、顧客の期待を超える体験を提供して、付加価値を生み出す必要があります。「利用してよかった」「購入してよかった」と顧客に実感してもらうことが一番の近道なのです。
顧客満足度(CS)の調査を行う
顧客満足度を向上させるためには、しっかりと調査を行って現状を把握することが重要です。定期的に顧客満足度の調査を行うことは、企業視点では気付けないような意見を発掘することができたり、新たなニーズを把握できたりするため重要な工程です。
実際に調査を行う場合には、調査対象の顧客をまんべんなく選ぶよう注意しましょう。なぜなら、既存の優良顧客だけに意見を募ってしまうと肯定的な意見が集まりやすく、改善につながるような鋭い示唆が得られない可能性が高まるためです。
より良いサービスを提供するためには、既存の優良顧客だけでなく、新規顧客や離脱率の高い顧客にも意見を募って改善の糸口を見出す必要があります。そのため、調査を行う場合には性別や年齢層、顧客の新規・既存を問わず幅広い層に対して実施するよう意識しましょう。
顧客との接点を増やす
これまで、接客やサービス業以外の業種が直接顧客と関りを持つことは、難しいものがありました。企業が展示会やセミナーを開催し、顧客に足を運んでもらうにも時間や費用がかかってしまうからです。
しかし今は、企業と顧客を直接結ぶ手段としてブログやSNSを活用できます。インターネットを通した顧客との交流や、プロモーションもできるようになったのです。最近ではオンラインでの就活やWebセミナーを取り入れる企業も増えました。潜在顧客にセミナー会場まで足を運んでもらわずとも、企業と顧客との距離が深められます。
このように、顧客と接する機会が増えることで、顧客体験の質と量を向上させ、結果的に顧客満足度を高めることができます。
顧客と定期的な接点を増やす施策として、メルマガ配信も活用できます。多くの顧客に対して一斉配信ができるので、稼働を抑えてアプローチができます。 メルマガについては以下の記事をご参考ください。
関連記事はこちらメルマガとは?5分で基本知識から効果的な配信方法がわかる基礎講座
うまくITツールを活用する
うまくITツールを活用することも、顧客満足度を向上させる有効な手段です。ITツールを活用すると顧客満足度の向上はもちろん、業務効率やスピードの改善が期待できます。
具体的なITツールの例として、CRMやメール配信ツール、チャットボットがあげられます。では、ITツールについてもう少し詳しくみていきましょう。
ITツールが顧客満足度(CS)の向上に一役買う?
近年は、顧客満足度を高めるITツールも多く提供されています。ここでは、CRMツール、メール配信ツールやチャットボットなどについて詳しく解説していきます。
なぜ、CRM(顧客管理システム)で顧客満足度を向上できるのか
CRMとは顧客の情報を管理するシステムのことで、うまく活用すれば顧客関係の強化に大きく貢献してくれます。システムによって搭載されている機能も異なりますが、顧客の基本情報や購買履歴、行動履歴などを追えるようになっているものが一般的です。顧客の行動履歴が可視化できるようになると、過去の対応履歴とあわせて顧客が求めているニーズを紐解きやすくなります。
例えば、商品ページの閲覧回数が多い顧客に対して、特定カテゴリの商品をレコメンドする商品を送ったり、フォローメールを送ったりなど、使い方によって購買率を高めることができます。CRMの機能についてさらに詳しく説明します。
細かな顧客情報を管理できる
CRMを利用することで顧客情報を詳細に管理することができます。顧客の氏名や年齢・性別・所属企業などはもちろんのこと、役職や購買履歴・閲覧履歴・対応履歴なども一括して管理することができます。従来の管理方法では顧客情報が項目別に分断されて管理されているケースも多く、確認に手間を取ったり、情報を取り違えたりするケースも少なくありませんでした。しかし、CRMシステムを活用することで目的の情報により素早くアクセスできるようになり、対応速度の向上が期待できます。
また、CRMシステムによっては顧客の行動履歴から自動でスコアリングをして、顧客の興味関心の度合いを数値化してくれる機能が搭載されたものもあります。さまざまな顧客データを俯瞰で見ることで、今まで気付くことのできなかった顧客の態度変容を把握し、先手を打てるようになるのです。
最適なタイミングで訴求できる
顧客に対して最適なタイミングでアプローチができるようになるのもCRMの強みです。ご紹介したように、顧客データを可視化することで顧客が今求めているニーズを把握できるようになります。そのためデータに基づいた、より確度の高いアプローチを行えるようになるのです。
また、CRMの中にはステップメールを自動配信するなどマーケティング機能が搭載されているものもあります。閲覧回数が一定水準を超えた顧客にメールやクーポンを自動配信することで、ホットな顧客を逃しません。自動化することで業務時間外でも対応できるようになるため、機会損失のリスクも減ります。
なぜ、メール配信ツールで顧客満足度(CS)を向上できるのか
メール配信ツールは、多くの宛先に対して同じ内容のメールを送る一斉配信や、性別や住所などの属性ごとにメールを分けて送るセグメント配信ができるツールです。
実は、前述で紹介した顧客満足度を向上させる方法の「最適なタイミングで情報を提供する」「顧客との接点を増やす」を効率的に行えるのがメールなのです。 なぜメールが使えるかをご紹介します。
稼働を抑えながら顧客と定期的な接点を持てる
メール配信ツールは、多くの宛先にメールを配信することに優れたツールです。メールを1通作成すれば、すべての顧客に対してアプローチができるため、稼働を抑えられます。作業負担がかからないので、運用が続けられるため、定期的に顧客にアプローチする手法として非常に便利です。
また、商品の購入などの特定のタイミングを起点として、あらかじめ作成したメールをスケジュール通りに自動配信する「ステップメール」という機能も多くのメール配信ツールに付帯しています。この機能を活用すれば、自動的にメール配信がされるので、稼働0でアプローチが可能です。
関連記事はこちらステップメールって何?メルマガとの違いと、成功の秘訣を徹底解説!!
顧客の興味関心に合わせた情報を提供できる
メール配信には、様々な配信手法があります。
年齢や性別といった属性ごとにメールを出し分けるセグメント配信、商品購入など特定の行動をとった人に対してメールを自動で送るステップメール配信などがあります。
基本的にメール配信ツールにはこれらの機能がついているため、機能を活用することで顧客の属性や行動履歴をもとに、顧客のニーズに合わせた情報を提供することができます。
また、メール本文にお客様の名前や特定の情報を差し込める「差し込み」機能を活用すれば、1対1のコミュニケーションを演出できます。
関連記事はこちらOne to Oneメールで成果の出るメルマガを!具体的な作り方と成功事例
メールマーケティングサービス「配配メール」で効果的・効率的にメールで顧客満足度を上げよう
株式会社ラクスが提供するメールマーケティング「配配メール」では、ご紹介した機能だけでなく、おしゃれなメールが簡単に作成できる「HTMLエディタ」や、メールの作り方がわかる「ガイド機能」、開封されやすい時間帯がわかる「ヒートマップ機能」などさまざまな機能を提供しています。
初めてメール配信をする方やツールを使う方にも安心してお使いいただけるよう、シンプルな機能と操作、手厚いサポートを用意しておりますので、ご興味のある方は以下より資料をダウンロードください。
なぜ、メール共有・管理システムで顧客満足度(CS)を向上できるのか
メール共有・管理システムは、顧客からの問い合わせに対して、対応漏れや二重対応を防止することができるツールのことです。
メールに特化しているものの、チャットやSNSなどさまざまなチャネルからの問い合わせを一元管理できるシステムも多く、1日に複数の問い合わせが発生する企業にはおすすめのツールです。
メール共有・管理システムを導入することで、顧客に対して漏れや重複なくスピーディーな対応ができるだけでなく、顧客対応マニュアルとしてノウハウやナレッジを共有する機能も付帯しているので、対応レベルの平準化にも寄与します。
対応漏れや二重対応を防止し、スピーディーに対応できる
問い合わせごとに担当者を振り分けることはもちろん、問い合わせの対応状況ををラベルやタブで管理できるので、誰がどの問い合わせを対応しているかといった対応状況をチーム全体で共有することができます。
これにより、問い合わせの漏れによる対応の遅れを防止し、スピーディーな顧客対応を実現します。
顧客対応レベルの平準化ができる
よく使うテンプレートを全員で共有できるメールテンプレート機能や、よくある質問やマニュアルを共有できるQ&A機能により、問い合わせ対応のレベルを平準化できます。また、新人教育の稼働削減にも寄与します。
ラクスが提供する「メールディーラー」では、対応状況がひと目でわかる機能や担当者が割り振れる機能により、対応漏れ・二重対応を防止し、スピーディーで漏れのない顧客対応を実現します。
また、顧客対応マニュアルとしてノウハウ・ナレッジを蓄積できる機能も実装されているので、顧客対応レベルの平準化や教育稼働の削減に貢献します。
詳細は以下よりご確認いただけます。
なぜ、チャットボットで顧客満足度(CS)を向上できるのか
チャットボットは、顧客からの質問に対して、適切な回答を自動的に選んで反応する対話型のプログラムのことです。
近年は取り入れている企業も多いため、利用したことがある方も多いのではないでしょうか?
チャットボットを導入することで、顧客に対してスピーディーな対応や、より多くの形で情報を提供することができます。
スピーディーに対応できる
チャットボットを導入することで、課題解決の迅速化が見込めます。従来の問い合わせ方法では、顧客側から逐一電話をかける必要があったり、オペレーターにつながるまで長いこと待ったりしなければいけませんでした。しかし、チャットボットであれば相手を待たせることなく、すぐに的確な返事をすることが可能です。
また、窓口の時間規定がなく24時間365日の対応も可能になるため、問合せるタイミングの制約もありません。このようにスピーディーな対応が可能になると、顧客の課題をすぐに解消できるようになり、顧客満足度が向上していくのです。
顧客のニーズに関する情報が蓄積される
チャットボットは、顧客対応・情報提供を行うと同時に、「ユーザーがどのような質問が行われたか」「どのような対応を行ったか」「ユーザー課題は解決したか」といった対応データを蓄積することができます。
顧客対応データを基にチャットボットにチューニングを施すことで、対応精度・対応品質を高めて更なる顧客満足度向上に繋げることができます。
また、チャットボットの対応データから顧客のニーズ・ウォンツといった貴重な情報が含まれているため、アンケートによる顧客満足度調査のデータと併せて分析することで、チャットボット対応以外の顧客満足度向上施策に役立てることが可能です。
なぜ、アンケート作成ツールで顧客満足度(CS)を向上できるのか
顧客満足度の向上のためには、施策の効果測定を行うためにアンケートを実施して、顧客満足度を数値化・可視化することが非常に重要です。そのための顧客満足度調査を行う際には、基本的にアンケート作成ツールを活用することがおすすめです。
アンケート作成ツールなら、スムーズに調査を行えるため施策に注力でき、効率的に顧客満足度向上へと繋げることができます。以下に、顧客満足度向上においてアンケート作成ツールを導入する、具体的なメリットについてご紹介します。
アンケートによる現状把握ができる
顧客満足度調査で使用するアンケートは、どのような質問を作成するかによって得られるデータの精度や有用性も異なります。そのため、調査実施前には自社が解決したい課題や目的を明らかにしたうえで、アンケート項目の設計・作成を行うことがポイントです。
アンケート作成ツールであれば、自社の意図を反映したアンケートを簡単に作成できるだけでなく、分析・集計機能により施策実施前後の状況把握も的確に行うことができます。
ツールを利用することでアンケートの精度・品質を高めることができるため、顧客満足度向上に役立つ顧客満足度調査の実施が可能となります。
アンケート作成ツールで作業効率アップ
顧客満足度調査のアンケートは、一度実施して終わりではなく、日々変化する顧客の状況を把握するために、定期的に何度も実施する必要があります。
しかし、顧客満足度調査の度にアンケートフォームを作成したり外注したりしていると、コスト・時間・労力の負担が大きくなってしまいます。アンケート作成にリソースを奪われて、肝心の調査や施策が疎かになってしまっては本末転倒です。
アンケートを誰でも簡単に素早く作成できるアンケート作成ツールであれば、コスト・時間・労力を低減していつでもスムーズにアンケートを作成できるため、顧客満足度調査の作業効率を大幅に高めることが可能です。
顧客満足度調査は繰り返し実施すべきであるからこそ、アンケートの作成はツールを導入して利便性・効率性の向上を図るのがおすすめです。
まとめ
今回は顧客満足度についてご紹介しました。顧客満足度を向上させる方法はいくつかありますが、大切なのは顧客の声に耳を傾けて、顧客に合ったタイミングで素早く対応する必要があります。そのためには、CRMやメール配信ツールなど、自社に適したITツールを導入して、効率化を測りましょう。
今回ご紹介した内容を参考に、ぜひみなさんも顧客満足度の向上を目指してみてください。