営業支援とは?メリットや改善方法・SFAなどツールの内容に関しても解説
営業支援とは、営業担当者が核となる業務に集中できる環境を整えるために実施する施策のことです。関連業務にかかっていた時間を省略できるため、業績の改善効果も期待できます。営業支援の手順やツールの紹介、選び方のポイントなどをご紹介します。
目次
「営業支援」とは?
営業支援とは、営業活動をスムーズに実施できるように支援する取り組み全般を指します。一部業務を外注、営業事務を担当する社員を採用して業務を分担したり、営業支援ツールを導入して作業効率を上げたりする方法があります。
一般的に営業担当者は、ターゲットの選定から実際のアプローチ、契約、アフターフォローに至るまでさまざまな業務をこなさなければなりません。営業支援によって付随する業務を任せられるようになれば、営業のなかでもコアな業務に集中できるのがメリットです。
売上拡大の要となる営業活動にいかに専念できるかに、ビジネスの成功がかかっているといっても過言ではありません。営業支援は営業活動に集中できる環境を整えることで、最終的な利益を伸ばすのが目的です。
営業支援を行うメリット
新たに営業支援策やツールを導入する場合、どのような効果を得られるのかを知っておくとよいでしょう。営業支援を行う主なメリットは、次の3つです。
- 営業担当者がアプローチできる時間を増やせる
- 営業の効率化を図れる
- 業績の向上を図れる
営業支援にかけられるコストや労力にも限りがあるのが一般的です。得られるメリットを正しく把握し、自社に合った営業支援のやり方を見つけるようにしましょう。
営業担当者がアプローチできる時間を増やせる
営業支援を行うことで、関連業務は他の従業員やツールに任せることができ、営業担当者の負担が減らせるのが1つ目のメリットです。
訪問する企業のリストアップや報告書の記載、顧客情報の整理、見積もりや資料の作成などは、より良い営業活動を行うために必要な業務ではありますが、アポイントの獲得や商談のように直接的に利益をうむものではありません。
営業担当者が営業活動にまつわるすべての業務を任せられている場合、事務処理などに時間を取られてしまい、充分に客先へアプローチする時間を確保できない可能性があります。こうした業務に関しては、営業支援を取り入れて、その分空いた時間をアポイント獲得や商談などの時間に活用するのがよいでしょう。
営業の効率化を図れる
業務支援の実施によってメリットを得られるのは、営業担当者だけではありません。営業支援ツールの導入や支援体制を整えることで、部門を越えた情報共有が可能になり、全体の業務効率化が図れるのがメリットです。
営業活動を行う際には、あらゆる情報やノウハウを駆使して客先にアプローチする必要があります。客先のリストアップは市場リサーチに長けたマーケティング部門が担当し、ミスの許されない原価計算や見積書の作成は営業事務が担う体制を取れば、営業担当者はより確度の高い見込み客への営業に集中できます。
営業支援ツールを利用すれば、いちいち報告をしなくても、関連する部門が直接データを確認できる環境を整えることもできるでしょう。
業績の向上を図れる
3つ目のメリットは、業務支援によって業績向上が期待できる点です。営業支援を行い営業担当者の負担が減ることで、空いた時間を取引先の新規開拓や既存顧客のフォローに充てられます。
営業活動に集中できれば、より確実に案件を成約までつなげられるようになり、業績アップにプラスに働くでしょう。また、営業部門だけではなく社内全体としての業務効率化が図れるため、必要経費の削減につながる場合もあります。
さまざまな情報を集計・分析し、ビジネスに必要なマーケティング施策のヒントを与えてくれるような営業支援ツールも登場しています。
手付かずになっていたデータから、新たなビジネスチャンスを見つけるきっかけとなる可能性もあるのが営業支援実施のメリットです。
営業支援を行うための手順・流れ
メリットが大きい営業支援を検討している場合は、実施の手順を確認しておきましょう。大まかな流れは、次の3ステップです。
- 営業プロセスを明確にする
- 営業活動における課題・ボトルネックを探す
- 課題の改善策を策定・実行する
ご紹介したとおり、営業支援にはさまざまな方法があります。それぞれの特徴を理解し適切な方法を選択するためにも、まずは基本的な導入の手順を押さえておきましょう。
営業プロセスを明確にする
営業支援を行うためには、まず自社の営業活動について理解を深める必要があります。とくに重要となるのが、営業の各プロセスとそれらに不随する業務を洗い出し整理することです。
具体的には、営業担当者が直接行うべき業務とそれ以外の業務の線引きを行います。営業担当者でなくても対応可能な業務に関しては、営業支援ツールの利用などを検討しましょう。
また、この段階で営業プロセスをしっかりと整理しておけば、不必要な業務や修正しなければいけない点が見えてきます。営業支援を実施する準備をしながら、現状のチェックと軌道修正もあわせて行うのがポイントです。
営業活動における課題・ボトルネックを探す
営業プロセスを整理することで、自社の成長を妨げている課題やボトルネックに気づきやすくなります。業務支援の導入を効果的に進めるためにも、自社の問題点を正しく把握しておく必要があるのです。
見積書の作成に時間がかかって成約のチャンスを逃してしまっている場合と、アポイントの獲得率が悪い場合では、解決策が大きく異なります。各プロセスにおける課題を見つけ出し、どの業務を優先して改善するかを検討しましょう。
見つかる課題・ボトルネックは1つとは限りません。状況によっては、その業務自体を省略したり効率的なやり方に変更したりする必要がある場合もあるでしょう。
関連記事はこちら営業を効率化する重要性やメリット、達成のための4ステップを解説
課題の改善策を策定・実行する
優先して改善すべき課題が見つかったら、実際に対策を練って実行する段階です。課題を効果的に改善できる対処法を検討し、一定期間実施したうえで結果を分析します。
たとえば見積書の作成に時間が取られている場合は、専用の書類作成ツールや営業支援システムの導入が解決策として有効です。問題点がアポイントの獲得率であれば、顧客管理システムや企業情報データベースの利用を検討するとよいでしょう。
営業支援の実施によって、営業効率・成果にどのような変化があったかを分析します。課題が改善に向かったのが確認できれば、効果的な施策が実施できた証拠となります。
効果のあった営業支援策については、関係者に共有して新たな営業プロセスとして取り入れる流れです。
導入を検討するべき営業支援ツール
営業支援ツールの導入を検討している場合は、自社が抱えている課題に適したツールを選ぶことが重要です。不必要なツールを選んでしまうと、せっかくコストをかけたのにも関わらず、思ったような成果がでない可能性もあるでしょう。
知っておきたい基本的な営業支援ツールは、次の3つです。
- MA(マーケティングの自動化支援ツール)
- SFA(営業活動の効率化支援ツール)
- CRM(顧客管理ツール)
それぞれのツールの使用目的や特徴などを解説します。
MA(マーケティングの自動化支援ツール)
MAはMarketing Automationの略称で、その名の通りマーケティングにまつわるさまざまな業務の自動化を目的としているツールです。一見営業活動の範囲外だと思われがちなマーケティングですが、マーケティングの知識は営業の成功に大きな影響を与えています。
MAの導入で効率化できる具体的な業務を確認しておきましょう。
- 見込み客の獲得
- 見込み客の購買意欲向上
- 見込み客の管理
MAでは見込み客への情報発信や管理が行えるため、営業担当者はより商品やサービスに関心がある見込み客に絞ってアプローチできます。数多くの見込み客の情報を選別・管理する必要がなくなり、営業の質を上げられる効果が期待できるでしょう。
関連記事はこちら【2023年最新】無料のMAツール(マーケティングオートメーションツール)おすすめ6選
SFA(営業活動の効率化支援ツール)
SFA(Sales Force Automation)は、営業活動に関連するスケジュール管理や顧客情報管理、タスク管理などを効率的に行えるようサポートするツールです。先にご紹介した、営業プロセスの可視化をする際にも役立ちます。
SFAによって、以下のような業務の効率化が図れます。
- 顧客情報管理
- スケジュール管理
- タスク管理
- 営業行動管理
- 営業日報の作成
- 見積書の作成
営業に関する一連のプロセスを整理できるようになるため、営業担当者が次にどのような行動をとるべきかの判断材料となります。また、実務者だけではなく営業部門を取りまとめるマネージャーや経営層にとっても、SFAで営業の進捗情報を簡単に確認できるのがメリットです。
関連記事はこちら営業支援ツールのメリットやおすすめツール10選を紹介
CRM(顧客管理ツール)
CRM(Customer Relationship Management)は、顧客の情報を一元管理できるツールを指します。顧客管理を通して、企業やサービスのファンを増やしていくために役立つでしょう。
セグメント別に適切なアプローチをするためには、顧客情報をうまく活かすことが欠かせません。CRMは、顧客情報一括管理するのはもちろん、さまざまな条件でデータの抽出ができるのがポイントです。
顧客情報と購買・利用データと紐づければ、搭載されているプロモーション機能を利用し、顧客が必要とする情報をピンポイントで発信することも可能です。
関連記事はこちらMA・CRM・SFAの違いとそれぞれの役割とは?
営業支援ツールの選ぶ際のポイント
近年では、目的に応じたさまざまな営業支援ツールが登場しています。せっかく費用をかけて営業支援ツールを導入しようと考えているのであれば、自社にとって使いやすいものを選ぶ必要があるでしょう。
営業支援ツールを選ぶ際のポイントは、次の5つです。
- 目的に対して適切なツールか
- 社内のシステムと連携できるか
- 高い費用対効果を期待できるか
- 使用感が良いか
- サポートが手厚いか
ポイントを網羅しているツールであれば、営業活動の改善に役立つはずです。
目的に対して適切なツールか
1つ目のポイントは、自社の改善課題とツールがマッチしているかという点です。いくら性能が良い最新のツールでも、使用する目的が一致していないとツール本来の力が発揮されずに終わってしまうでしょう。
導入するツールに合わせた営業支援を行うのではなく、事前に改善したい課題を設定してから適切なツールを選ぶようにするのが大切です。たとえば営業担当者の負担が大きすぎるという点が課題である場合でも、どの業務に焦点を当てるかで導入すべきツールが異なります。
顧客情報管理が複雑でデータをうまく活かせていない場合はCRM、関連する書類の作成に時間が取られている場合はSFAを検討します。具体的なツールを選ぶ前に、自社の今の状態を確認することを忘れないようにしましょう。
社内のシステムと連携できるか
営業支援ツールの導入で見落としがちなポイントが、既存システムとの連携可否です。自社のシステムをそのまま活かせるツールであれば、導入の際の手間を大幅に省くことができます。
これまで蓄積してきた情報をいちいち移行する必要がなくなるため、すぐにツールの利用を始められるのが大きなメリットです。連携ができないツールの場合は、ツールそのものの費用だけではなく、移行作業にかかる稼働や人件費もあらかじめ想定しておくとよいでしょう。
既存のデータをこれからの営業活動に有効利用するためにも、社内システムとの相性をチェックしておくことをおすすめします。
高い費用対効果を期待できるか
便利な機能が多く搭載されているツールであるほど、費用の面で高くついてしまうのも事実です。ツールを選ぶ際には、投資する費用と期待できる効果のバランスを確認しておきましょう。
もちろんツールの性能が良ければ良いほど、営業担当者の負担が減り業績が改善できる期待が高まります。しかし、費用の面で無理をしてツールを導入してしまうと、会社経営の負担になってしまう可能性があります。
反対に安さにつられてツールを選ぶと、結局大きな改善につながらないかもしれません。まずは自社の目的を達成できるツールであることを優先し、その後で費用対効果のバランスを検討するようにしましょう。
使用感が良いか
シンプルで誰にでも使いやすい設計がされていることも、営業支援ツールの重要なポイントです。実際に業務にあたる従業員が使いやすいと感じるツールでなければ、搭載されている機能を活かしきることができないでしょう。
営業支援ツールは、部門を越えてさまざまな立場の人々が利用すると想定できます。誰にとってもわかりやすく、使いやすいツールを選ぶことが大切です。
関連部門の意見も取り入れながら、営業支援ツールを検討するのもよいでしょう。
サポートが手厚いか
営業支援ツールに問題が出てしまうと、営業活動に支障をきたす恐れもあります。導入後にどのようなサポートを受けられるかを、必ず確認しておくようにしましょう。
さまざまな業務を効率化できる営業ツールであるほど、トラブルが発生した際の迅速な対応が必須です。実際に電話で相談できる体制が整っているツールであれば、いざという際にも安心して対処できるでしょう。
また、多機能であればあるほど、使いこなすまでに時間を要します。導入や運用の際に丁寧なサポートを提供しているサービスがおすすめです。
無料提供されているツールや安価なツールの場合は、問い合わせ窓口がなかったりメールでの問い合わせのみ可能であったりします。非常時の対応も考慮して、営業支援ツールを選ぶ姿勢が欠かせません。
まとめ
営業支援とは、営業活動にまつわるさまざまな業務をサポートする仕組みや取り組みのことです。客先へのアプローチの他にも、顧客情報の管理や各種書類の作成、営業日報の記載など営業担当者が担う多くの業務があります。
営業担当者が核となる営業活動に集中できる環境を整えるためにも、適切な営業支援を実施することが大切です。営業支援の実施には、まず自社の現状把握と問題点の洗い出しが欠かせません。
改善すべき点が明確になったうえで、営業支援施策やツールの導入を検討するようにしましょう。ひとえに営業支援ツールといっても、目的や特徴に応じたさまざまなツールが登場しています。
自社の改善目標や費用と照らし合わせながら、適切な営業支援ツールを選ぶ必要があります。営業支援ツールの導入でこれまでのやり方が大きく変わってしまう場合は、導入に反対する意見がみられるかもしれません。
営業支援ツールの導入目的をしっかりと共有し、同意を得たうえで業務効率化に取り組めるようにしましょう。営業支援策の実施後は、忘れずに効果を分析し施策の有効性を確認するのがポイントです。