インサイドセールスで成功するためのコツとは?
インサイドセールスはさまざまな顧客を相手にするため、臨機応変な対応が求められる仕事です。しかし、具体的にどのような能力を身に付ければ良いのか分からないという方もいるのではないでしょうか。インサイドセールスで成果をあげるためには、相手のニーズを的確に読み取って有用な情報を提供したり、興味を引く提案をしたりするスキルが必要です。そこで、今回はインサイドセールスに求められる力や、成功するためのコツをご紹介します。
目次
インサイドセールスのメリット
インサイドセールスには多くのメリットがあるため、うまく営業活動に取り入れていくことが大切です。ここでは、代表的な3つのメリットについて解説します。
成約率を高めやすい
インサイドセールスはマーケティング部門が獲得したリードとの関係構築を行い、十分に確度が高まってから営業部門へと引き渡す役割を担います。
さまざまなアプローチを駆使してリードの興味・関心を高めた上で、見込みのあるリードを厳選してから営業部門が商談に臨めるサイクルができれば、成約率の高い案件にリソースを集中できます。結果的に確度の低いリードにリソースを割り当てる必要がなくなり、組織全体の成約率アップが期待できます。
フォローできるリードの範囲が広がる
インサイドセールスはCRM(顧客管理システム)やMAツールなどを活用して、社内にいながら大量のリードをフォローすることができます。
従来では営業部門が顧客のもとに直接足を運んでフォローする営業活動は1日に訪問できるリードの数に限界がありました。一方インサイドセールスであればシステムによる自動化をうまく活用することによって少人数の組織であっても数百以上のリードを同時に管理することも可能です。
フォローできるリードの範囲が広がるため、受注のチャンスも増加し、売上向上につながります。
営業コストを削減できる
インサイドセールスがリードとの関係構築を行い、確度の高いリードだけを営業部門に引き渡す過程を経ることで、営業コストを削減できます。
営業部門が全てのリードをフォローする場合は、リードのもとを訪問するための交通費や出張費がかかるほか、営業回りの時間も長くなりがちになり、人件費も増大するという課題があります。インサイドセールスを活用することによって、営業活動を効率化してこの課題を解決できます。
インサイドセールスに求められる力
ここでは、インサイドセールスにはどのような力が求められているのかについて解説します。
ヒアリング力
インサイドセールスでは、音声通話やメール、チャット、オンライン商談ツールなどのツールを通してさまざまな情報をヒアリングし、顧客が何を求めているのか導き出す必要があります。
顧客との信頼関係を築き、成約率を高めるために、BANTCH情報をヒアリングしましょう。
BANTCH情報とは「Budget(予算)」「Authority(決裁権者)」「Needs(ニーズ)」「Timing(検討時期)」「Competitor(競合)」「Human resources(人的リソース)」の頭文字を取った営業活動における重要な情報です。
ヒアリングでは、顧客との会話を通してこれらの情報を収集します。顧客の悩みや困りごとを引き出し、ニーズを明確にすることが重要です。
関係構築が十分にできていない段階では、顧客は悩みや困りごとを相談しにくいものです。まずは顧客目線で提案を行い、信頼関係を築いていきましょう。
インサイドセールスで成果を上げるためには、BANTCH情報ヒアリングを積極的に行い、顧客との信頼関係を築きながら、最適な提案を行っていくことが重要です。
実行力
顧客と会話をする中で、厳しい言葉をぶつけられる時もあります。自分が直接受注の瞬間を迎えるわけではないので、日々の業務に起伏がなく、やりがいを感じられないと思う方も中にはいるかもしれません。
しかし、顧客との関係を温める存在は、営業・マーケティングの双方において非常に重要な役割を持っています。売上目標に到達するためには自分がどんな行動を取れば良いのかを明確にして、日々の業務の中で生まれる課題を一つひとつ解決していく実行力を身に付けることが大切です。
正確性
インサイドセールスは一件のリードに対して長期的にアプローチするケースが多く、次のアプローチを担当するのが自分以外という場合も少なくありません。そのため、数ヶ月や半年後にあらためて連絡を入れる際に前回の会話の内容が記録されていないと、担当者は次に取る適切な行動が分からなくなってしまいます。リードからのヒアリング内容を正確に記録する力は、部門全体でスムーズに業務を進める上で非常に重要です。
チームワーク
インサイドセールスは、マーケティングとフィールドセールスの間を取り持つ立場です。3つの部門がそれぞれの役割を正しく遂行できているかどうか定期的に確認することも、重要な役割のひとつと言えます。もし齟齬が出ている場合は、互いの認識のずれを正すために会議を開いたり、改善案を出したりするなどの対応を取る必要があります。
全ての部門がひとつのチームとなって協力しなければ、売上目標へ到達する道のりは険しいものとなります。チームワークを高め合い、お互いの協力体制を整える環境づくりを意識していきましょう。
インサイドセールスについてさらに知りたい方はこちらの記事もご覧ください。
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インサイドセールスを成功させるためのコツ
インサイドセールスを成功させるためには、次の7つのポイントに注意しながら導入を進めることが大切です。
カスタマージャーニーのフローを把握
インサイドセールスを進める上では、顧客が商品を購入したいと思うまでの思考の流れを表す「カスタマージャーニー」のフローを理解することが必要になります。
例えば、フローの作成方法として、横軸を「フェーズ(プロセス)」興味関心→情報収集→比較検討→購入→共有、拡散 などに設定し縦軸を「チャネル」「思考・感情」「施策」「時間軸」「自社アクション」等で設定し可視化することで顧客視点に立ったマーケティング戦略を立案できます。
お客様にヒアリングを行う際は、やみくもに質問をしても欲しい情報は得られません。的確な質問で引き出した情報をもとに次のアクションを起こさなければ、関係を深められないまま時間だけが過ぎてしまいます。
「顧客が抱えている悩みはどの点にあるのか」「その悩みに対してどんなアプローチをするとどういった反応が返ってくるのか」を明確に想定して行動することで、どんな情報をヒアリングする必要があるのか自然と導き出せるようになります。
コミュニケーション能力の向上
インサイドセールスで成約率を高めるため、顧客のニーズを把握し、信頼関係を築くコミュニケーションが重要です。
焦って押し売りをするようなコミュニケーションは逆効果。丁寧なコミュニケーションを通して、顧客のニーズを理解しましょう。
そのために役立つのがSPIN話法やヒアリング力の項目で記載をしたBANTCHフレームワークです。
SPIN話法は、顧客の潜在ニーズを引き出すのに役立ちます。
この手法には「相手の状況や課題を把握する(SituationQuestions)」「問題を明確にする(ProblemQuestions)」「問題の深刻さや影響を示唆する(ImplicationQuestions)」「解決策を提案する(Need-PayoffQuestions)」の4つの質問が含まれます。
SPIN法に従うことで、相手に課題の重要性や解決策のメリットを理解してもらいやすくなり、受注率の向上が期待できます。
また、BANTCHフレームワークとの併用も検討することで商談の成約に必要な情報を収集し、受注率を上げることができます。
この手法を組み合わせることで、より効果的な顧客対応が可能となります。SPIN話法で顧客のニーズを明確化しつつ、BANTCHフレームワークで商談の具体的な条件を把握することが重要です。
トークスクリプトを作成・活用する
トークスクリプトは、営業や対話に使用される文章や指針で、営業活動における会話の台本のようなものです。
活用することで効果的なコミュニケーションをインサイドセールスのコミュニケーション力を平準化できます。
インサイドセールスにおけるトークスクリプトの作成には、まず目的を明確にし、顧客のペルソナを設定します。
具体的には「アポイント獲得」「ニーズヒアリング」「提案資料送付」など、具体的な目標を設定することで、必要な情報を整理し、効果的な内容を構築できます。
また、ターゲットとなる顧客像を明確にするために、役職、業界、年齢層、課題、ニーズなどを具体的に設定したペルソナを作成しましょう。
顧客目線に立って話すことで、共感を得やすく、提案を受け入れられる可能性が高くなります。
その上で質問パターンを用意し、フローチャート形式で会話の流れを想定します。
具体的なデータや興味を引く内容を盛り込み、柔軟に対応できるよう工夫します。例文テンプレートを活用し、相手の反応に応じた提案を行います。
これらの手法を用いて、顧客に合わせた効果的なトークスクリプトを作成し、インサイドセールスの成果向上を目指しましょう。
デジタルデータの活用
日々の業務の中で蓄積していくデジタルデータを有効活用することも、成果をあげるために重要です。マーケティングツールで収集した情報や、メルマガの購読状況などを分析して今後のアプローチに活かすことで、顧客の興味や関心を引きやすくなります特定のカテゴリーのコンテンツに反響が大きいというデータが出ているなら、その分野の特集を組んでメルマガを配信するなど、顧客の反応を見ながら適切なアプローチを行うことが大切です。
リードデータの活用
顧客とより深い関係を構築するためには、相手にとって利益のある情報を提供しなければなりません。そのためにも、リードデータは効果的に活用する必要があります。どのような話題に興味を示していたか、悩み事や解決したい課題を話していなかったかなど、過去のやり取りを振り返り、次のステップに進むにはどんなアプローチをすれば良いのか検討しましょう。
素早く正確な記録を促すためには、社内で共通の入力様式を準備しておくことも大切です。誰が見ても分かりやすく、プルダウンメニューやコピペなどで簡単に入力できるようなフォーマットにすると、入力の手間を削減できるのでおすすめです。
キャリアパスの設定
業務へのモチベーションを保つためにも、キャリアパスを設定することは大切です。適切な給与を支給することも重要ではありますが、「自分の仕事は組織のために役立っている」と実感できる環境を整えることで、満足度は高まります。描いたキャリアパスを計画通り実践できているか確認するために、定期的に上長との面談の機会を設けるのも良いでしょう。
情報共有の徹底
インサイドセールスは単独で動くわけではありません。営業部門やマーケティング部門と連携して売上に結び付けることを目的としているため、情報共有の徹底は不可欠です。
基本的には、顧客とのコミュニケーションの履歴は全て残して共有すべきです。特に、顧客の今の運用状況や発生している課題、いつまでにどのようにしたいのかなど、ヒアリングできた内容や温度感など、対話のイメージできるよう詳細に記載しましょう。
対話履歴だけでなく、メールの開封履歴やWebサイトへの訪問履歴なども残しておくといいと思います。
そうすることで、セールスが事前に顧客状況を明確に把握することができますので顧客のニーズを満たす、より的確な提案をすることができるようになります。
情報共有を効率化するために営業管理システムのSFAや、顧客管理システムのCRM、事務作業を効率化するMAツールなどを取り入れて、詳細かつ正確な情報を記録して共有しましょう。
人材育成
インサイドセールス担当者の人材育成には「トークスクリプトの把握」や「ロールプレイング」「商談への同席」などの手法があります。
育成後は、「スキル評価の制度や指標の設計」「受注と失注の要因把握・改善洗い出し」「メンバーの活躍の可視化」「目標達成時に報奨することでモチベーションを維持する仕組み作り」などを行っていく必要があります。
成果継続、人員拡大していくためには時間やコストがかかるため、組織の許容範囲を考慮した設計が重要です。
インサイドセールス導入のポイントについてはこちらの記事もご覧ください。
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まとめ
インサイドセールスに求められる力や成功するためのコツについてご紹介しました。個人ではなくチームで連携を図る能力も重要視される業務であることから、相手とのコミュニケーションだけでなく、仲間との情報共有能力も重要です。
相手のニーズを把握するだけでなく、業務の中で得られるさまざまなデータを分析して活用するスキルも欠かせません。一つひとつのスキルが身に付いているかどうか定期的に確認しながら、日々の業務に取り組むと良いでしょう。