メールサーバーの仕組みと役割|エラーメッセージごとの対処法もご紹介

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メールサーバーの仕組みと役割|エラーメッセージごとの対処法もご紹介

SNSなどさまざまな連絡手段が普及した現在においても、やはり業務上の連絡手段としてはメールがよく利用されています。しかし、普段から何気なく利用しているツールですが、メールサーバーの仕組みやなぜメールが送られるのかなど、詳しい内容はわからないという方が多いのではないでしょうか。そこで今回は、毎日のように利用しているメールサーバーの仕組みと、よくあるメール不達時のトラブルについて、その際に発生しやすいエラーメッセージをご紹介します。この仕組みを理解しておくことで、メールに関するトラブルが発生した際にも慌てず対処できるようになるでしょう。

目次

    メールサーバーの仕組み

    メールサーバーの仕組み

    メールサーバーとは文字通り、メールを送信、受信する役割を担っているサーバーのことを指しています。しかしメールサーバーと一言で表されていても、実際にはひとつのサーバーだけで全ての役割を果たしているというわけではありません。複数のサーバーがそれぞれの働きをすることで、ようやくメールが送信、受信できるようになります。具体的には、メールを送信する役割を持ったサーバー、受信する役割を持ったサーバー、そして宛先を特定するためのサーバーが関わりあって機能しています。メールサーバーの仕組みを理解するためには、1通のメールが無事に届けられるまでに、これらのサーバーがどのように連携しているのかを知っておく必要があります。

    プロトコルとは?

    メールの送受信は、コンピューター同士のネットワーク上のデータ通信によって実現します。これを可能にするためには規格に従うことが必要です。その規格を「プロトコル」といい、「通信プロトコル」とも呼ばれます。

    プロトコルには「通信の規約・約束ごと」という意味があり、この約束ごとによってデバイスやパソコンの機種、ハードのOSなどが違うコンピューター同士でもデータのやりとりが成立します。人間社会でいうと、日本語や英語のような「言語」のポジションと捉えられます。互いの言語が違えば情報が伝わらず、逆に言語が同じであれば正確に意思疎通ができるというイメージと似ています。

    プロトコルは通信の種類ごとにあり、例えばインターネットを利用するときのプロトコルとしては「TCP(Transmission Control Protocol)」および「IP(Internet Protocol)」の2つで構成されています。

    さらに「TCP/IP」に所属するプロトコルを細分化してみていくと、ファイル転送に使われる「FTP」、Webのブラウザのサーバーの間で使われる「HTTP」、暗号化通信にて使われる「SSL」などが存在します。

    メールの送信、受信ごとに定められたプロトコルも「TCP/IP」に所属します。メールの送信サーバーが使うプロトコルは「SMTP」といい、受信サーバーは「POP」または「IMAP」と呼ばれるプロトコルを使っています。

    「TCP/IP」を使用した通信では、「ポート番号」というパソコン同士が判別するためのプロトコルの目印となる番号が振り分けられています。メールの送信時に使われるポート番号はSMTPは「25」または「587」で、受信時のPOPは「110」となっています。

    それぞれのサーバーの役割

    メールサーバーの仕組みと構成をご紹介したところで、次にそれぞれのサーバーが担っている役割について、より詳しくみていきます。普段何気なくクリックしている送信ボタンの裏で、それぞれのサーバーがどのような役割を担っているのかを確認してみましょう。

    それぞれのサーバーの役割

    SMTPサーバー

    SMTPサーバーは、先ほどの紹介で言うと「メールを送信する役割を持ったサーバー」です。メールソフトなどで作成されたメールは、まずこのSMTPサーバーに送られます。そして後述のDNSサーバーによって送信先のメールサーバーを特定し、そこにメールを転送するまでの流れを受け持っています。

    メールサーバーそれぞれの仕組みの中で、SMTPサーバーをわかりやすく表現する例として、郵便局のような役割を担っていると例えることがあります。私たちは手紙を書くと、ポストに投函します。ポストに投函された手紙は郵便局が受け取り、宛先の住所に近い郵便局へと送られます。このように、メールサーバーの中でも送信の部分に関わっているのが、このSMTPサーバーです。

    また、メールを1通2通、個別で配信する際には問題にはなりませんが、数千・数万などの大量なメールの件数を配信する場合に、非常に重要になってくるのもこのSMTPサーバーとなります。大量のメールを処理できるスペックがSMTPサーバーに求められます。

    さらに、メールの大量配信は、何の対策も講じていないと、迷惑メールと間違われてしまい宛先に正確に届きません。なぜなら、迷惑メールと判定する理由のひとつに”単一のIPアドレスからの大量なメール配信”というものがあるからです。そのためにも、このSMTPサーバーを強化して、配信メールを複数のIPアドレスに分散させて配信させる仕組みを持たせるなどの対策が必要になってきます。

    このように、メール配信には欠かせないSMTPサーバーですが、大量配信時には特に重要となります。そのため、大量配信に特化したSMTPサーバーを提供するサービスも存在します。

    こういったサービスを利用すれば、既存のシステムからメール送信をする際に接続するSMTPサーバーを切り替えるだけで、既存システムを簡単に大量配信に対応させることも可能となります。

    DNSサーバー

    先ほども少しご紹介しましたが、DNSサーバーは「送信先を特定する役割を持ったサーバー」です。そもそもDNSは「Domain Name System」の頭文字をとったもので、ドメイン名を管理するために開発されたシステムです。そのため、メールアドレス内の@より後ろの部分(ドメイン部分)から情報を得て、送信先のIPアドレスを割り出すことができます。IPアドレスは、先ほどの郵便局に関連して例えるなら住所のようなものです。SMTPサーバーはメールを送る役割を持っていますが、肝心の住所を割り出すのがこのDNSサーバーです。

    流れとしては、ユーザーがメールを作成して送信ボタンを押すと、まずSMTPサーバーに送られます。メールを受け取ったSMTPサーバーは、DNSサーバーに対して「相手のSMTPサーバーのIPアドレスを割り出す」ことを依頼します。この情報をSMTPサーバーが受け取ることで、メールを正確に間違いなく相手へ送信することができます。

    POPサーバー

    POPサーバーは、「メールを受信する役割を持ったサーバー」です。SMTPサーバーによって送られたメールは、最後はPOPサーバーに届きます。POPサーバー内にはメールアドレスごとにメールボックスがあり、受信するたびにそれぞれのボックスに保管されていきます。ユーザーはメールソフトなどからメールボックスにアクセスし、自分に届いたメールを受け取ることができます。POPの特徴としては、メールのデータを端末にダウンロードするという点が挙げられます。データをダウンロードすることによって、もしオフラインであったとしてもメールを読むことができます。

    SMTPサーバーが郵便局だとすれば、POPサーバーは私書箱のようなイメージです。私書箱にはメールが届くたびに蓄積されていき、ユーザーは任意のタイミングでそれを取り出すことができます。また、メールを自室に持ち帰ることによって、私書箱に行くことができないときでも、持ち帰ったメールは内容を読むことができます。

    IMAPサーバー

    IMAPサーバーもPOPサーバーと同じく「メールを受信する役割を持ったサーバー」ですが、POPサーバーとは違った特徴を持っています。POPサーバーはローカルでメールが管理されるため、受信したメールソフトなどでしか内容を確認することができません。例えば職場のPCで受信したメールは、職場の環境下でないと確認が不可能という状況になります。これに対してIMAPサーバーは、ローカルではなくサーバー上でメールを保管します。そのため、例えば職場のPCでダウンロードしたメールであっても、外出先でスマートフォンから確認する、自宅でタブレットから確認するといったことが可能となります。この例のように、スマートフォンやタブレットの普及によって、IMAPサーバーもよく利用されるようになっています。

    IMAPサーバーのメリットとしては他にも、端末を切り替えるときでもメールの転送が非常に楽であることが挙げられます。最新の機種がハイペースで発表される中で、このメリットによる恩恵は非常に大きいと言うことができます。

    POPサーバーとIMAPサーバーの違いと注意点

    POPサーバーもIMAPサーバーも、共に「メールの受信」という役割を担っています。そのため混同されてしまいがちですが、違いをしっかりと理解できていなければうまく使い分けることはできませんし、思わぬトラブルの原因となります。

    まずPOPサーバーはローカルで管理することから、一度メールを受信するとそのメールソフトや端末などでしか開くことができません。例えば職場のPCでメールを受信すると、個人の端末やメールソフトでは確認することができないのです。

    それに対してIMAPサーバーの場合、ローカルではなくサーバー上でメールを管理・保管します。そのためユーザーIDとパスワードがあればさまざまな端末やメールソフトなどからアクセスし、内容を確認することができます。

    前述しましたが、スマホやタブレットなどの端末の普及が進み、特定の端末のみでメールを管理することはあまりなくなっています。そのため、どの端末からでもすぐにメールの確認ができるIMAPサーバーが利用されることが多くなりました。

    エラーメッセージ

    エラーメッセージ

    メールサーバーの仕組みをご説明したところで、次はメール送信時のエラーメッセージについてご紹介します。

    送信したメールが何らかの理由によって相手に届けられなかったときに、メールサーバーから自動で送信されるメールがエラーメッセージです。「MAILER-DAEMON」や「Mail Delivery Subsystem」から送られてくる英語のメールに、心当たりがあるという方も多いのではないでしょうか。ここにはエラーとなった原因が書かれているのですが、「英語で書かれているために、内容がよくわからない」という場合があるかもしれません。

    そこで、代表的なエラーメッセージとその対策をいくつかご紹介します。サーバーの仕組みとともにエラーメッセージの内容を確認しておくことで、メール関連での不具合に対処しやすくなります。

    User unknown

    エラーメッセージの中に「User unknown」という言葉があるときは、宛先のメールアドレスのうち「@より前の部分」が間違っている、あるいはアドレス変更などによって既に使われていない可能性があります。対策としては、再度宛先のアドレスを確認しましょう。単純な入力ミスかもしれません。特に間違いやすいのが、数字の「1」と大文字の「I(アイ)」、小文字の「l(エル)」です。「-(ハイフン)」と「_(アンダーバー)」、小文字の「y(ワイ)」と小文字の「u(ユー)」なども見間違えやすいのでご注意ください。

    受信メールに返信したにも関わらず、「Use unknown」エラーが表示されることもあります。この場合、相手が利用する返信用アドレスが間違っている可能性があります。メール以外の手段によって、正しいアドレスを相手に確認してください。

    Host unknown

    「Host unknown」あるいは「host not found」という言葉がある場合は、宛先のメールアドレスのうち「@より後ろの部分」が間違っている可能性があります。「User unknown」のときと同様、アドレスを確認しなおしましょう。こちらもメール以外の手段で相手に確認を取ることになります。

    Message exceeds maximum fixed size

    「Message exceeds maximum fixed size」は、送信したメールの容量が大きすぎる可能性があります。多くの場合は、添付したファイルのサイズが大きすぎることが原因でしょう。データの分割や圧縮などを試みてみましょう。

    また、送信相手のメールボックスの容量が超えた場合もこのエラーが表示されます。相手にメールボックスの容量を増やしてもらうか、不要なメールの消去を依頼してください。

    メール配信サービスの中には、送信時のエラーメッセージを日本語でわかりやすく表示してくれるものもあります。これにより、エラーの内容がアドレス間違いや不正などの永続的な問題なのか、それとも容量不足などの宛先側の一時的な問題なのかを簡単に切り分けることができます。サーバー上のメッセージを読み解くことが大変な場合には、こういったサービスの力を借りるのも手でしょう。

    配配メール」では、配信したメールがエラーとなった場合、エラーとなったメールの数とその要因が一目でわかるエラー解析レポート機能があります。また、これにより複数回エラーとなったメールアドレスは自動で配信停止処理もしてくれるため、リストのクリーニングも楽にできます。

    関連記事はこちら配配メールの「配信エラー解析・自動停止」機能

    Name server timeout

    「Name server timeout」は、名前解決を行うネームサーバーに何らかの問題が生じており、名前解決ができないためにサーバーがタイムアウトして接続に失敗するエラーのことです。ネームサーバーは「DNSサーバー」とも呼ばれています。

    ネームサーバーに関するエラーの原因はさまざまですが、プロバイダー側に障害が発生しているなどの原因であれば時間とともに解決する可能性が高いでしょう。他にも接続先のサーバーがダウンしているケースなどがあります。

    Name server timeout

    「Name server timeout」は、名前解決を行うネームサーバーに何らかの問題が生じており、名前解決ができないためにサーバーがタイムアウトして接続に失敗するエラーのことです。ネームサーバーは「DNSサーバー」とも呼ばれています。

    ネームサーバーに関するエラーの原因はさまざまですが、プロバイダー側に障害が発生しているなどの原因であれば時間とともに解決する可能性が高いでしょう。他にも接続先のサーバーがダウンしているケースなどがあります。

    Access denied

    「Access denied」は送信先が有効ではなかったために、接続を試みたもののアクセスが拒否されてしまったときに表示されるエラーです。特に、ブラウザが接続先のWebサイトの情報を取得できなかった場合に表示されるケースが多いといえます。

    もし「Access denied」のエラーが特定のWebサイトのみ出現するのであれば、キャッシュの関係で表示エラーが起こっている可能性があるため、該当のWebサイトのキャッシュを削除するとうまく表示されることもあります。

    Unbalanced

    Unbalancedは、サーバーから認証を受けていないユーザーがメールを送ろうとしたときに表示されるエラーです。
    そのままの状態では何度送りなおしてもメールの送信はできないため、送信者のメールアドレスの認証状況を確認しましょう。

    Service unavailable

    「Service unavailable」は送信先との通信が何らかの原因でうまくいかなかった場合に表示されるエラーです。
    このエラーの場合は原因がひとつとは限らないため、一概に原因を特定することは困難であり、表示されているエラーメールの内容を参照して状況に応じた解決をはかる必要があります。

    主なメールシステム用語

    ここでは、メールサーバーに関係する主なメールシステム用語をご紹介します。

    APOP

    APOPとは、メールサーバーから電子メールを取得する際に用いる通信プロトコルのことです。通常のPOP3とは違い、パスワード(認証情報)をMD5というハッシュ関数で暗号化し、セキュアな通信を実現します。POP3に変わる新たな通信プロトコルとして注目されていましたが、2007年に脆弱性が発見されました。今日では、より安全な通信が可能なPOP3sの利用が推奨されています。

    NDR

    NDRとは、送信メールが不達した場合にメールサーバーが自動送信する配信不能レポートのことです。エラーメールまたはリターンメールと呼ばれ、先述したエラーメッセージはNDRによって報告されます。またNDRの中には、エラーメッセージと送信メッセージを同時に報告するバウンスメールと呼ばれるものもあります。これを第三者が悪用し、スパムメールにして送る手口をNDRスパムといいます。

    MUA

    MUAとは、メールの作成や閲覧などをするためのツールのことを指します。Windowsに備えられているOutlookやGmailなどもMUAにあたります。一昔前は端末にメールソフトをインストールして使用するという形が一般的でしたが、現在ではクラウド上のMUAでメールを管理するというケースも増えています。

    MTA

    MTAは宛先のメールアドレス情報から送信先を割り出し、転送を行うツールのことを指します。基本的に、送信者と送信先が同じサーバーの場合はそのまま受信者のメールボックスに保存されます。サーバーが異なる場合は外部MTAに送信されてから、受信者に届けられるという仕組みです。

    MRA

    サーバーからメールを受信するためのプログラムがMRAで、一般的にはサーバー側に組まれています。ユーザーからの要求に対してメールを引き渡す役割を担っています。

    まとめ

    今回は、メールサーバーの仕組みとエラーメッセージの内容をご紹介しました。メールサーバーを構成するそれぞれのサーバーを理解しておくこと、また主なエラーメッセージの内容を把握しておくことで、メール関係のトラブルが発生したときにも、ある程度の原因が推測できるようになります。メールは日々の業務に欠かすことのできないものですから、正確に理解しておきましょう。

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    記事執筆者紹介

    記事執筆者 大塚 陽生紹介
    大塚 陽生著者大塚 陽生のXへのリンク
    株式会社ラクス ラクスクラウド企画部 オンラインプロモーション課

    広告代理店の営業&ウェブ広告の運用担当として6年間従事し、2019年4月ラクス入社。オンラインマーケティングチームに所属し広告運用や営業メールの運用を担当。メルラボでは、主に自身のメール配信実績をもとにした記事を作成。

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