「パーソナライゼーション」を考慮したメールマーケティングを解説
インターネット上では、ユーザーの姓名から、生年月日、性別、出身地など、事業者が実に多様なデータを収集しています。今回は、解析ツールの進化により近年のマーケティングトレンドの一つとなった「パーソナライゼーション」について解説します。
目次
「パーソナライゼーション」とは
パーソナライゼーションとは、「Personalize(パーソナライズ)」という動詞の名詞形であり、モノゴトを個々人に最適な形でカスタマイズするコミュニケーションを指します。
マーケティング的な観点では、顧客に最適な情報を届けるための戦略や技術を指すことが多いです。
スマートフォンを所持するユーザーのページ閲覧状況、商品/サービスの購買履歴、デバイスなどをデータとして分析し、利用状況にあわせて最適な打ち手を講じることを「パーソナライゼーション施策」と表現する場合があります。
パーソナライゼーション施策を行うことで、ユーザーが求めている情報を、正しいタイミングに、ユーザーが検討しやすい見た目で届けることができます。
個々人の興味関心、行動様式に即したアプローチを行うことは、企業のマーケティング活動においては欠かせない考え方となりつつあります。
「マスへのアプローチ」から「個別最適化されたアプローチ」へ
従来のマーケティング活動においては、「いかに大衆の共通した興味関心を見出し、注目されるコンテンツを生成するか?」という観点が重要視されていました。そのため、テレビCMや新聞広告など、数十万円〜数十億円に及ぶ予算を組み、クリエイティブ活動を通して、世間全体へ共通の訴求を行うことが一般的でした。
しかし、1995年に「Windows95」が販売されてからは、一般家庭にもパソコンが普及するようになり、インターネットを活用して購買活動を行う人たちが増えました。また、携帯電話やスマートフォンの台頭により、個々人が常に手元からインターネット環境へアクセスできるようになり、マーケティングの在り方にも大きな変化が訪れました。
次第にパソコンやスマートフォンで個々人のアクセスログが積み重なり、顧客のサービス利用状況、購買履歴が可視化されるようになったのです。
結果的に、個々人に最適化されたアプローチを行う企業が増え、「パーソナライゼーション」をユーザーコミュニケーションに取り入れるようになりました。
総務省のデータでも、iPhoneやAndroidを始めとしたスマートフォンを所持する人が2010年代に急増し、2015年にはスマートフォンの世帯保有率が70%を超えるなど、国内世帯の3分の2以上でスマートフォンが存在する現在、この傾向には年々拍車がかかっている状態です。
日々の生活の中でも溢れている「パーソナライゼーション」
個人のデバイスやサービスの利用状況にあわせて企業がユーザーコミュニケーションを設計する例は、年々増えてきています。そういった中で、顧客側からも「パーソナライゼーション」の恩恵を受ける例が年々増えつつあります。以下にて、企業が「パーソナライゼーション」を活用している事例を、一例ずつ見ていきましょう。
Googleのパーソナライズ検索
Googleのパーソナライズ検索機能は、「パーソナライゼーション」の代表例とされています。利用者が以前検索したことのあるキーワードや現在地情報を加味して検索結果を変化させ、コンテクストに即したWebページの表示を促したり、近隣の店舗を紹介したりといった具合に、個々人のアクセス状況に応じたコンテンツの出し分けを行っているのです。
そのため、マーケティングに携わる人は自社のWebマーケティング施策にて流入を強化したい検索キーワードを調査する際、Googleのパーソナライズ検索に気をつける必要があります。
GoogleChromeを例にすると、通常の検索画面ではなく、「シークレットモード」のブラウザにて検索を行うことで、パーソナライズされていない画面での表示確認が可能となります。
Facebookのパーソナライズ表示
Facebookをご利用の人であれば、タイムラインを閲覧している際に「知り合いかも?」で共通の友人が表示されたことがあるかもしれません。Facebookでは、登録されたユーザー情報、インポートした連絡先情報などに基づき、個々人ごとに別々の情報が表示される仕様となっています。
普段からインターネットを活用している人にとっては便利な機能である一方、生年月日や出身地、家族構成なども閲覧可能な状態に不安を抱くユーザーがいるのも事実です。
こうしたサービスを利用する際には、ユーザー自身で個人情報の公開範囲をこまめにカスタマイズし、プライバシーに細心の注意を払う必要が出てきます。
Amazon Personalize(アマゾン・パーソナライズ)
EC(電子商取引)の分野でも、同様に「パーソナライゼーション」を駆使したシステム構築が行われています。
世界最大級のインターネット通販サイト「Amazon(アマゾン)」では、機械学習を活用し、顧客の利用状況に応じた商品紹介をタイムリーに行うレコメンド機能を実装しています。商品購入時に、「あなたにおすすめの商品」という項目で表示される内容がこちらに当たります。
また、Amazon Personalize(アマゾン・パーソナライズ)と呼ばれる上記の機能はAmazon内での活用に止まらず、2018年11月にはAPI経由で外部パートナーが利用できるツールを提供する概要が発表されました。これまで「Amazon(アマゾン)」が20年以上かけて収集してきた技術や情報を解放することになるため、多くの企業において「パーソナライゼーション」が促進され、消費者にとってみればより個々人の好みや行動様式に即した情報がレコメンドされるようになるでしょう。
参照:アマゾン、自社で使ってきたAI機能をサービス化--レコメンドと時系列予測機能を提供 - ZDNet Japan
Eメールのパーソナライズ施策
上記は世界を代表する企業を例としてご紹介しましたが、「パーソナライゼーション」は日本の中小企業でも取り入れることが可能な概念です。
Eメールを活用することは、その一例とも言えるでしょう。ユーザーのページ訪問において、任意のページ閲覧や購買活動を分析し、適切な情報をタイムリーに提供するメールを送付したいニーズが年々高まりつつあります。
メール施策に止まらず、ユーザーの任意の行動を収集し、ユーザーが求めている情報を分析し、適切なタイミングでユーザーを惹きつける導線やコンテンツを案内することは「パーソナライゼーション」の本質的なアプローチ方法です。
顧客にとって「自分ゴト化」を促す上記の施策は「パーソナライゼーション」の最大のメリットであり、顧客の次の行動を促すために日々進化が進んでいる領域です。
現在のメールマーケティングでは上記のような配信タイミングや訴求内容を臨機応変に変更していくニーズが高まっており、「ユーザーが欲しい時に欲しい情報が手に入る状態」を用意することが、今後の事業成長における必要な打ち手となり得ます。
ユーザー情報を適切に取り扱うことで効果的なマーケティングを
「パーソナライゼーション」を理解することで、かつては企業目線でのみ実施されていたマーケティング活動から脱却し、ユーザーが真に欲している情報提供を与えられるようになりました。
繰り返しになりますが、企業としてはユーザーのサービス利用状況を見極め、タイミングよくアプローチをすることが、今後のマーケティング活動における生命線となります。
そういったマーケティング活動を行うためにも、ユーザーが求めている情報を求めているタイミングで配信するメールマーケティングは重要になっていきます。
従来型の一斉配信メール(メールマガジン)のみならず、任意のトリガーを起点として設計される「ステップメール」は、パーソナライゼーションの考え方に即した施策のひとつです。
ステップメールでは、ユーザーのアクションを起点としてあらかじめ組み立てられたストーリーのメールを、事前に決められたスケジュールにしたがって送信します。そのため、ユーザーが商品やサービスなどへの関心度が高いタイミングで情報を届けることができるのです。
個人情報はセキュリティで保護することも重要ではありますが、情報を適切に扱うための組織体制、コミュニケーション設計に取り組み、一段進化したメールマーケティングを実施できるようにしていきましょう。
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