クラウドメールって何?仕組みやメリットをわかりやすく解説
クラウドコンピューティングの登場以降、企業向けメールシステムのクラウド化が進んでいます。これは「クラウドメール」と呼ばれ、インターネットブラウザ上でメールの閲覧、送受信を行うサービスを指します。今回は、クラウドメールの基礎知識や導入するメリットとデメリット、適切なサービスの選び方を解説します。
目次
クラウドメールとは
クラウドメールとは、クラウド環境にあるメールサーバーにアクセスしメールの送受信を行うサービスの総称です。近年はプライベート、ビジネスシーンシーンともに「Gmail」のシェアが拡大していますが、これもクラウドメールの一種となります。
クラウドメールは、従来のメールソフトやメールシステムとは異なる仕組みを採用しています。例えばメールソフトは、パソコンからメールサーバーに直接アクセスしメールの送受信を行います。その際、中継サーバーとなる「SMTP」、受信用サーバーの「POP」あるいは「IMAP」を経由し、ログイン認証が行われます。
一方のクラウドメールは、インターネットブラウザから各ベンダーのWebメールサーバーにアクセスします。ログイン認証も同時に済ませるため、「SMTP」や「POP」を経由しません。これらのサーバーにアクセスするのは各ベンダーのWebメールサーバーであり、パソコンからは直接アクセスしないのが特徴です。仕組みの違いこそあるものの、基本機能はメールソフト同様です。利用形態に大きな違いがあることを覚えておきましょう。
クラウドメールの仕組み
クラウドメールは「送信者のPC→送信者のサーバー→DNSサーバー→受信者のサーバー→受信者のPC」の流れで送信されます。送信者が作成したメールは送信者側のサーバーを経由して、受信者のインターネット上の住所(IPアドレス)を確かめるDNSサーバーを通り、受信者側のサーバーにたどり着いてから受信者のPCに届けられます。日頃、私たちがメールアドレスを扱う際は、IPアドレスを「ドメイン」という文字列に変換することで認識しやすい形になっています。
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クラウドメールのメリット
「Gmail」をはじめとするクラウドメールは、今日のビジネスシーンに欠かせないコミュニケーションツールとなっています。ここでは、クラウドメールをビジネスに活用するメリットをご紹介します。
大容量のメールボックス
受信メールは、ベンダーが保有するWebメールサーバーに保管されます。それにともない、ユーザーひとりあたり数GB~数十GBのメールボックス容量が与えられます。例えば「Gmail」ならば、無料アカウントでも15GBのストレージ容量がもらえます。これには「Googleドライブ」といった各種サービスのストレージも含まれますが、メールボックスには十分です。
「Google」が提供する「Google Worksplace」という有料クラウドサービスでは、プラン毎に追加容量がもらえます。「Business Starter」ならば30GB、「Business Starndard」は2TB、「Business Plus」であれば5TBのクラウドストレージがもらえます。これにより、利用端末や自社サーバーのハードディスク容量を圧迫しなくなります。メールボックスの容量を気にせず使えるのはクラウドメールの大きな魅力です。
場所や端末を問わずメール対応可能
メールの閲覧や送受信がインターネットブラウザ上で完結するため、インターネット環境さえあれば場所を問わずメール対応が可能です。従来のメールソフトおよびメールシステムは、専用のクライアントソフトをインストールした端末でしか使えませんでした。一方のクラウドメールは、各ベンダーが提供するモバイルアプリによりスマートフォンやタブレットでもメールの閲覧、送受信が可能です。自宅や外出先においてもメール対応が気軽にできます。
初心者にも安心のセキュリティ対策
メールの暗号化や誤送信対策など、各種セキュリティ対策ツールをセットで提供するベンダーが登場しています。メールにおけるセキュリティ対策ツールは、ニーズにマッチするものを個別検討、導入するのが一般的です。しかし、それには人的コストがかかるほか専門知識も必要となります。最初からセットで提供されるクラウドメールサービスを活用することで、情報セキュリティに疎い担当者も安心です。
拡張性に優れている
サービスを提供するベンダーが所持しているサーバーにメールを保管するため、ユーザー数やストレージの容量を追加するなどの拡張性に優れているのが特徴です。急にアカウントを大量に追加しなければならなくなった場合でも、使用中のサービスで新規ユーザーを必要数分だけ追加すればすぐにできるのが強みといえるでしょう。
自社でストレージを増やそうとすると機器の新規設置や設定が必須となりますが、クラウドメールなら追加容量の契約だけで済み、面倒なシステム調整は必要ありません。
クラウドメールのデメリット
ここでは、クラウドメールを利用するデメリットをご紹介します。これから導入を検討する場合、以下のポイントをカバーするよう心がけましょう。
ユーザー数とランニングコストが比例する
クラウドメールサービスの多くは、ユーザー数で月額料金が変わる従量課金制を採用しています。よってユーザー数の多い企業では、ランニングコストが割高となります。その場合、一般的なメールソフトを導入したり、社内にメールシステムを構築したりする方がコストを抑えられます。
セキュリティ面の懸念
クラウドコンピューティングの性質上、企業の機密情報や個人情報の漏えいリスクがつきまといます。ベンダー側も強力なセキュリティ対策ツールを開発、提供していますが、未だハッキングの攻撃対象となる現状にあります。クラウドメールを利用する際は取り扱うデータにも注意を払いましょう。
データ管理の依存度が大きくなる
クラウドメールは利便性が高い反面、データ管理の依存度が大きくなりがちです。例えば、ベンダーがサービスの提供を終了すると、これまで送受信したメールは全て消去されます。重要なメールも閲覧できなくなり、業務に支障をきたす恐れがあります。クラウドメールを利用する際はリスクとリターンを考慮しなければなりません。
クラウドメールの種類と特徴
クラウドメールには個人向けと企業向けの2種類があります。それぞれの用途に応じて自社に合ったサービスを見つけることが大切です。
個人向けフリーメール
個人向けフリーメールは基本利用料が無料のサービスが多く、気軽に使えるのが特徴です。国内の代表的な例としては、Googleが提供するGmailやYahoo! JAPANが運営するYahoo! メールなどが挙げられます。
無料ながらさまざまな機能が用意されており、1つのメールをグループ内で共有できるメーリングリストなどは企業でもよく使われています。
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企業向けクラウドメール
クラウドメールは企業向けに開発・提供されているクラウドメールサービスです。セキュリティ対策の充実や大容量のストレージなどが特徴で、ビジネスシーンにおいて安全かつ便利に使うことができます。ビジネスでは機密情報を扱う機会も多いため、安全性を確保するために個人向けのフリーメールではなく企業向けクラウドメールを選ぶ企業が多くあります。
ラクスが提供する「メールディーラー」は、チームで共有アドレスを利用している企業様におすすめのクラウドメールツールです。メールごとに対応者を振り分けたり、対応状況をタブで管理できるので、メールの見落としや二重対応を防止します。詳細は以下をご確認ください。
メール共有・問い合わせ管理システム「メールディーラー」の詳細はこちら
クラウドメールを利用する際のポイント
主要サービスの多くは、最新のセキュリティ対策を提供しています。しかし、それが自社のセキュリティ要件を満たすとは限りません。機密事項や個人情報を取り扱う場合、社内サーバーで運用するオンプレミス型メールサービスの方が、セキュリティ面で優れることがあります。検討するクラウドメールがセキュリティ的に問題ないか精査することが大切です。
具体的には、ウイルス対策や情報漏えい対策が十分かを確認します。クラウドメールにおけるウイルスは添付ファイルにより感染するケースがほとんどであるため、スパムフィルターや迷惑メールの自動振り分け機能の有無を確認しましょう。
誤送信防止など、ヒューマンエラーを防ぐ機能も必須です。近年問題となっている個人情報漏えい事故を未然に防ぐことができます。
クラウドメールの選び方
ここでは、クラウドメールの選び方を3つのポイントに分けてご紹介します。
1.基本機能を確認
メールボックスのストレージ容量や保存期間、連携可能なメールソフトなどを確認します。これらの基本機能はサービスにより異なります。複数のクラウドメールを比較し、自社要件にマッチするものを選びます。登録可能なユーザー数、月々のランニングコストも精査したいところです。自社の従業員数に対応するか、ランニングコストが予算内に収まるかをチェックします。
2.UIの視認性を確認
メール対応の作業効率は、UIの視認性に左右されるといっても過言ではありません。事前にメールの表示形式や表示可能メール数、サムネイルの有無を確認しましょう。これらを自由にカスタマイズできるサービスもあるため、従業員の要望に合わせて検討することが大切です。
加えて、管理画面の操作性も使い勝手に影響します。スパムフィルターのルール設定、転送設定の変更が容易かどうかも確認してください。
3.「SLA」で安全性と信頼性を確認
最も重視すべき点は、クラウド環境の安全性と信頼性です。十分なセキュリティ対策は元より、サービス稼働率やトラブル派生頻度、それにともなう返金対応などの確認は欠かせません。これらは各サービスの公式サイトに「サービス品質保証(SLA:Service Level Agreement)」として記載されています。「どれだけ信頼できるサービスか?」がわかる基準となるため、事前に確認しておきましょう。
おすすめのクラウドメール3選
ここまで、クラウドメールの仕組みやメリットを詳しくお伝えしてきました。最後に、ビジネスでも使えるおすすめのクラウドメールを3つご紹介します。
Gmail
Gmailは、Google社が提供している無料のクラウドメールです。
「Google Workspace」と呼ばれるグループウェアサービスの一環として提供されており、Googleのアカウントを所持していれば誰でも簡単に登録できます。無料ではありますが近年ではビジネス利用する人も増えており、セキュリティ対策も充実しています。
ストレージの容量は15GB用意されており、通常利用する分には問題ない容量といえるでしょう。有料プランにはなりますが、「Google Workspace」のBusiness Standardプランを契約すると、チャット機能などのほかの機能も利用できるようになります。
メールディーラー
メールディーラーは、ラクスが提供しているクラウドメールサービスです。導入企業は7,000社を超えており、大規模コールセンターやネットショップなど多くの企業の声を取り入れて積極的にバージョンアップを実施しています。
カスタマーサポート部門の業務の効率化をはかれる機能が特徴的で、受信メールの対応状況を細かく記録することによって現在対応中のスタッフをすぐに把握できます。リアルタイムで対応状況を可視化できるため、返信漏れなどによる顧客満足度の低下を防止します。
メールワイズ
メールワイズは、サイボウズが開発しているクラウドメールサービスです。10,000社以上の豊富な導入実績を誇り、同社のGaroonやkintoneなどのサービスと連携させることによってさらに高い効果を発揮します。
顧客管理機能や二重返信防止、返信忘れチェックなど、メール対応にありがちな課題に丁寧にアプローチしています。1ユーザーから1ヶ月単位で利用できるため、コストを最小限に抑えられるのもポイントです。
クラウドメールの導入により、ビジネスが加速する
クラウドメールには、端末や場所を問わず利用できるメリットがあります。メール対応の効率化に繋がるため、ビジネスシーンにおいて特に有効です。一方、セキュリティリスクが常につきまとうなど性質上のデメリットも存在します。導入の際はメリットとデメリットを正しく理解し、セキュリティなどの要件を確認した上で、サービスを選ぶことが大切です。
関連記事はこちらメール配信システムの仕組みとは?機能やメリット・デメリットを解説
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