メール配信システムの仕組みとは?機能やメリット・デメリットを解説

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メール配信システムの仕組みとは?機能やメリット・デメリットを解説

メールは連絡手段としてのみでなく、マーケティングツールとしての役割も高まっています。とはいえ、大量のメールを一斉に送るのは難しいものです。そこで、メール配信システムが注目されるようになりました。メール配信システムは通常のメールとは違った専門的な機能を備えているため、一斉配信やメルマガ配信をしたい場合におすすめです。メール配信システムにもさまざまな種類があるため、仕組みを理解して用途に合ったものを選択するようにしましょう。メール配信システムの仕組みとメリット、導入の相場から注意点まで詳しくご紹介します。

目次

    メール配信とは?

    メール配信とは、メールを作成して受信者に対してメールを送ることを指します。多くの企業がマーケティングにおいてもメール配信を活用しており、メルマガなどがその代表です。メール配信では一度に多くのターゲットに対してアプローチをかけることができるため、業種を問わず多くの企業で採用されています。

    ある団体の調査によると、メール配信の投資対効果は1ドルの投資で38ドルを生み出すのと同じだといわれています。また、メールのアカウント数は世界中で増加傾向を見せているため、メール配信サービスはこれからもBtoB及びBtoCにおいてマーケティング効果を出し続けると予想できます。

    このような理由から、競合も増えています。そのため、配信するだけでは十分な効果が得られないケースもあるため、メール配信の方法を十分に検討することが重要です。

    一般のメーラーでもメールを一斉送信することが可能ですが、時間や手間がかかるだけでなく、迷惑メールに分類されて相手に届かない可能性があります。

    マーケティングをメインで考える場合、ターゲットに対してメールを配信して終わりではありません。効果を測定し、分析した上で戦略的なメール配信を行う必要があります。

    このようにメール配信に関する企業の業務は年々増加し、複雑化しています。人の手だけではこなせなくなりつつあるという背景から、業務の効率化や人手不足解消のためにメール配信システムを利用する企業が増えています。

    メール配信システムとは?

    メール配信システムは、事前にシステム上に登録をしておいたメールアドレスへ一斉にメールを送ることができるサービスのことです。

    一般のメールソフトやGmailなどのフリーメールサービスでもメールの一斉送信は可能ですが、BCCを活用するなど、すべて手動で宛先の入力や送信を行っていると、非常に手間がかかる上、誤送信などの人的ミスのリスクも高まります。また、”大量のアドレスへの一斉メール送信”はスパムメールと間違われ、相手先にメールが届かない…といったリスクもあります。

    メール配信システムでは、簡単な操作で大量のメールを同時に、そしてスパムメールと間違われることを避けて確実に配信することができます。さらに、送信日時をあらかじめ指定できるため、先に内容を作成しておけば自由なタイミングで自動配信が可能です。このように効率よくメールを送信できるほか、メールがどのくらい届いたのかを表す「到達率」や何割の人にメールを開封してもらえたのかを表す「開封率」や本文内のURLをクリックした人の割合を表す「クリック率」などを確認できる機能、装飾を施した「HTMLメール」を作成できる機能などが用意されているものもあります。

    関連記事はこちらメール配信サービスを最大限に活用する!効果的な運用に向けたコツとは?

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    メール配信システムの仕組み

    メール配信システムの仕組みには、いくつかの特徴があります。IPアドレス、利用形態、配信方法に関連した3つの項目に分けて説明します。

    複数のIPアドレスを持つ

    メール配信は、送信側のメールサーバーが各自のドメインを使用し、相手のメールサーバーを特定することで行われます。その間に「インターネットサービスプロバイダ」とも呼ばれるISP事業者の存在があり、メールの質をチェックしています。配信メールが迷惑メールとして仕分けられてしまうのを防ぐためには、このISP事業者から安全なメールであると判断してもらうことが必要です。そしてISP事業者がメールを見極めるには、送信側のIPアドレスの動きが不審ではないことを確認しなければなりません。迷惑メールは、単一のIPアドレスから大量のアドレスに向けて一斉配信が日々行われています。そのため、“単一のIPアドレスからの大量配信”は、ISP事業者側からは不審な動きとみなされてしまい、ブロックされてしまいます。そのため、一斉配信を得意とするメール配信システムはこのIPアドレスを複数保持しており、さらに複数のIPアドレスに分散して一斉配信を行うための仕組みを持っています。こういった背景からISP事業者にはじかれる可能性が低いのです。

    オンプレミス型とクラウド型がある

    メール配信システムには、オンプレミス型とクラウド型という2つの形態があります。オンプレミス型は、使用者がサーバーやソフトウェアを用意し、いわば社内システムとして自分たちで管理する方法です。こちらは手間とコストがかかりますが、その分自由度は上がります。クラウド型はインターネット上でサービスを利用する方法なので、アクセスやメンテナンスの簡単さが魅力です。また、コストもオンプレミス型より抑えることができます。クラウド型とオンプレミス型との最大の違いは、利用するサーバーにあります。オンプレミス型が自社サーバーを利用するのに対し、クラウド型はクラウドサービス提供会社のサーバーを利用し運用しています。

    オンプレミス型の特徴

    1.PC環境によって性能が大きく異なる

    オンプレミス型は、利用したい人が自分の社内PCにソフトウェアをインストールして運用します。このため、PCのスペックや稼働状況によって性能が大きく左右されます。古いPCで使用した場合、処理速度が大きく劣ることもあります。

    また、一斉に多くのメルマガを送るためには、PCだけではなくサーバーのスペックも重要です。ソフトウェアの性能だけでなく、送信サーバーを含めた運用環境全般を整えることが大切です。

    2.コストやアフターフォローに難あり

    オンプレミス型は基本的に買い切り形式です。初期コストとして一度購入すれば、ランニングコストはかかりません。ただし、サービスによっては保守費という名目で、継続費用が発生することもあります。

    導入の初期コストが高いのも特徴です。社内状況によっては、導入コストがさらに膨らむ可能性があります。オンプレミス型メール配信システムは、運用環境全般を自社で整えなければなりません。専門知識と技術が求められるため、初心者には導入の敷居が高くなるでしょう。

    このプロセスは「SIer(システムインテグレーター)」に委託するのが一般的です。しかし、仕様設計からシステム構築まで依頼すると相当なコストとなり、インフラ調達の兼ね合いから時間的コストもかかります。申し込みから運用開始、インフラ整備に至るまで、数ヶ月程度の準備期間やコスト消費は覚悟しなければなりません。

    自社でシステム運用を行う場合、専任のシステム管理者を配置しなければなりません。これはハードウェアの定期的なメンテナンスが必要なほか、高頻度で部品交換が発生するためです。現段階でITエンジニアが不在の企業では、導入コストとは別に採用コストがかかることを想定しておかなければなりません。

    3.フリーソフトなど無料で利用できるものもある

    オンプレミス型は無料でフリーウェアとして提供されているものもあります。導入コストはかかりませんが、あくまで無料で提供されているため、デメリットがあることも認識する必要があります。

    具体的にあげられるのが、不具合やアップデートへの対応にバラつきがあるという点。不具合の修正やアップデートなどは制作者の裁量次第なので、問題があっても対応してもらえるとは限りません。

    多くのユーザーに情報を送るメルマガ配信では、信用とセキュリティが第一です。そのため、業務用のツールとして選ぶには不向きです。

    4.セキュリティ対策を自社でまかなう必要がある

    オンプレミス型を利用する場合、セキュリティ対策やシステムの保守運用も自社で行う必要があります。十分な資金と人材を確保できるならば柔軟な運用が可能ですが、言い換えればハードルが高い運用方法であるともいえます。高度なセキュリティを実装し、かつ何らかのトラブルが発生した時に臨機応変に対応できる人材も必要となることから、資金力がある企業で無ければ中々難しいでしょう。

    特にメルマガ配信は登録者の個人情報を取り扱うため、慎重な対応が求められます。現代では国内外問わず、様々な企業が情報を盗み取ろうとするサイバー攻撃と戦っています。当然、規模が大きい所も狙われますが、個人情報の価値は非常に高いため、脆弱な小規模の会社を狙うような手口もあるようです。一度情報漏洩をしてしまうと企業は信頼を失うばかりではなく、多額の賠償金が伴う訴訟が起きると経営に大打撃を与えることは間違いありません。オンプレミス型を導入する際は、以下の関連記事も参照しながら、万全なセキュリティ対策のもとで行うことが大切です。

    関連記事はこちらメール配信におけるセキュリティは大丈夫?情報漏洩しないための配信サービスの選び方

    5.カスタマイズ性は高い

    社内でシステム環境を構築するため、カスタマイズ性に長けているのが特徴です。導入時はもちろん、運用開始後も社内のフィードバックを基にシステム環境を再構築できます。その性質上、他ソフトウェアやツールとの統合性にも優れます。既存システムを独自に改良し、搭載することも可能です。

    この恩恵を受けるのは、一般的に「特殊」とされる業種や、機密情報および個人情報を多数抱える企業です。オンプレミス型では自社のセキュリティ要件などに合わせ、最も適切かつ使いやすいシステムにカスタマイズできます。そのため、これまでセキュリティや専門性の面から運用に問題を抱えていた企業であれば、業務改善につながるかもしれません。

    クラウド型の特徴

    1.自社サーバーやPCを使うよりも高機能で運用も安定する

    クラウド型では、サービス提供会社のサーバーを利用します。

    提供会社のサーバーは高機能で安定しています。あわせて、より高機能なサーバーへの置き換えも頻繁に行っています。最新技術でウイルスやクラッキングへの対策を講じていますので、セキュリティ面も安心です。

    このため、自社購入できるサーバーよりも高機能で安定した運用が可能です。メルマガ配信に関して言えば、数万通以上のメルマガを高速かつトラブルなく配信完了できます。

    また、メール配信システムもサーバー上にあるため、「インストールしたPCが古くて動かない、機能の制限がかかる」といった心配も起こりません。自社のPCスペックに不安がある場合や、タブレット端末で操作する場合にはうれしいメリットです。

    2.低コストで運用を開始できる

    クラウド型は、期間に応じてクラウドサーバーの利用料金を払うシステムです。高額な自社サーバー購入費やメンテナンス費用を用意する必要がありません。

    利用料も定額であることが多く、結果的にはオンプレミス型よりも低コストで運用できることがほとんどです。クラウド型のランニングコストは月額10,000円程度で、なかには数千円で利用できるサービスもあります。

    3.セキュリティ対策もサービス会社の機能を利用できる

    クラウド型メール配信システムの提供会社は、安全なサービスの提供のために高度なセキュリティ対策を講じています。セキュリティの基準は各社で異なりますが、信頼できることは共通しています。

    利用企業側は脆弱性の診断やサーバー管理などをプロに任せることにより、安全なメール配信を行うことが可能です。

    さらに、クラウド型ではプロバイダの受信拒否設定にも対策がとられているので、登録者にメールが届かないという事態を未然に防ぐことができます。

    4.社内のPCからでなくてもアクセスできる

    クラウド型はどの端末からでもアクセスできます。そのため場所・時間を選ばずに利用できます。

    オンプレミス型の場合、PCにソフトウェアをインストールするため、万が一PCが壊れたり不具合を起こしたりすると利用できなくなります。一方クラウド型は別のPCからログインすれば利用できるため、メール配信の遅延により業務が滞ることも、メルマガ購読者を待たせる心配もありません。

    例えば、配信予定日に「普段使用しているPCが故障して起動しなくなった」といった事態にも、別のPCからメルマガ配信手配をすることが可能です。担当者の外出や出張が多い企業でも、場所・時間を選ばずに利用できます。

    5.選べるサービスが豊富にある

    クラウド型のメール配信システムは、プランや機能の組み合わせによって柔軟なサービスを提供できることも強みです。オンプレミス型の場合、事前に用意された機能しか選べませんが、クラウド型では必要に応じて機能を追加したり、不必要になった機能を外したりできます。

    一斉配信とセグメント配信がある

    メール配信システムのサービスには、一度に大量のメールを高速で送る「一斉配信」と、利用者の属性などに合わせてメールを送る「セグメント配信」があります。一斉配信は、主に情報共有の目的で使われることが多く、クーポンの配布など、顧客一人ひとりの興味に左右されない情報を送信する際に適しています。セグメント配信は開封率を高めたい場合や、メールマガジンによる販促やブランド訴求の目的に向いています。現在は、一斉配信もセグメント配信もできるハイブリッド型のメール配信システムも多く、導入すればさまざまな用途に使えます。

    メール配信をマーケティング方法として取り入れるならば、ネット犯罪からメールの内容を守るためにもセキュリティ対策を万全にすることが大切です。「STARTTLS」のようなメール配信を暗号化するサービスなどを使って情報漏洩を防ぎましょう。

    関連記事はこちらメール配信におけるセキュリティは大丈夫?情報漏洩しないための配信サービスの選び方

    メール配信システムのメリット

    メール配信システムの導入には、さまざまなメリットが見込めます。手間が減るだけでなく、配信メールの効果測定やセキュリティ性の向上なども可能です。

    ここではメール配信システムのメリットついてお話していきます。

    大量のメールを高速配信できる

    メールマガジン(以下、メルマガ)送信にはかなりの時間的コストがかかります。日常的なメールの利用場面では一度に大量のメールを送ることがあまりないため実感が湧きにくいですが、数千通、数万通のメールを配信するのは数十分から数時間の時間を要します。

    また、一度に大量のメールを送信すると、ユーザーのメール受信ソフトから「迷惑メールである」と判定されやすくなることも問題です。迷惑メール判定を受ければメルマガの送信アドレスが自動的に迷惑メールフォルダに仕分けられ、メルマガ登録者に読まれることなく削除されかねません。

    環境によってはサーバーに負荷がかかり、遅延が発生することもあります。

    そこでメール配信システムを使えば、これらの問題を心配することなく、メルマガを高速配信できるため、幅に時間を短縮できますし、作業の精度も高まります。

    メルマガの作成が簡単になる

    メール配信システムでは、メルマガの作成を簡単に行えることもメリットです。宛名や差出人名、定型文などを登録でき、顧客リストの登録なども簡単に行えるため、メルマガの作成時間を大幅に短縮できます。

    また、シンプルなテキストベースのメルマガはもちろん、画像や動画を配したHTMLメルマガも、専門的な知識がなくても簡単に作成できます。

    圧倒的な手間の削減

    手作業で大量のメールを配信したり、宛先を精査してメールを配信したりするには、膨大な時間と人的コストがかかります。メール配信システムは一斉送信に特化しているだけでなく、リストの管理機能も備えているので、システムを導入することで圧倒的に効率が上がります。メールマガジンの場合、新規登録者や退会者などが常に発生し、入れ替わりが激しくなるため、リストを常に管理し続ける必要があります。手作業で管理する場合、新規登録者の漏れや、退会手続きを済ませた人に送信してしまうといったリスクも高まります。システムを活用することで、作業に必要な時間を短縮できるのみでなく、人的ミスも減らせます。

    また、自動配信設定を活用すれば、宛先によって配信内容を変えたり、ユーザーの状態や属性によって対応を変えたりすることもできます。希望の時間にメールを送るためだけに労力を無駄にし、メール関連の作業に時間を取られることがありません。

    メールの到達率がアップ

    前述のとおり、通常のメールサーバーが持っているIPアドレスは1つなので、そこから大量にメールを配信するとなると、プロバイダから迷惑メールに仕分けられてしまう恐れがあります。しかしメール配信システムは複数のIPアドレスを保持、分散して配信する仕組みを持っているので、一度に大量のメールを送ったとしても、迷惑メールと間違われてしまうリスクが軽減されます。したがって、受信者にきちんとメールが届く確率も上がります。また、迷惑メールは大量にかき集めたアドレスを精査することなく配信しているため、1回の配信の中で大量にエラーが含まれている場合も迷惑メールと誤認される要因となります。そのためメール配信システムには、送信エラーが発生したアドレスを管理し、配信を自動的に停止するための機能が備わっており、エラー内容を知ることもできます。

    セキュリティ性の向上

    メール配信を行う上で、ウィルス感染や情報漏洩への対策は必須です。また、単発での配信とは異なり、大量配信時にはちょっとした手作業によって生じる宛先や入力箇所の設定の間違いなども、大きなリスクとなり得ます。メール配信システムではこのように大量配信に伴うリスクを最小限にとどめることができるようにも設計されています。情報漏洩の事件が数多く報告されている昨今ですから、専門システムを利用するなどしてセキュリティの強化は特に注力したいポイントです。

    効果測定の機能が充実

    メール配信システムをメルマガなどで使用する場合、開封率やクリック率がどれくらいだったのかを知ることはとても有効です。効果測定をしながら配信内容を変えたり、配信のタイミングを受信者の属性によって分けたりといった改善が見込めるからです。メール配信システムには、そのような効果測定の機能が備わっています。

    メール配信システムのデメリット

    メリットがある一方で注意点・デメリットもあります。双方の側面を知った上で、導入を検討することが大切です。

    迷惑メールに振り分けられることがある

    ユーザーが配信用のメールアドレスを迷惑メールに登録すると、読まれることがないまま迷惑メールフォルダに分類されたり、自動的に消去されてしまったりする可能性があります。また、受信サーバー側にて迷惑メールかを検知するスパムフィルターにて誤判定されてしまうことでも相手先の受信フォルダへ届かないことがあります。そのため、迷惑メールフォルダに分類されないためにも、配信リスト内のユーザー属性にとって興味・関心のあるコンテンツとなっているかの確認と、迷惑メール誤判定を避けるためにも、配信リスト内に誤ったアドレスや現在は利用されていないアドレスが多く含まれていないか、添付画像やファイルの数が多すぎないか・容量はなるべく軽量化できているか、の確認などを送る前に心がけると良いでしょう。

    設定が難しい

    詳細な設定事項が用意されているメール配信システムもありますが、設定が難しく使いこなせないこともよくあります。複雑な機能がよく分からないという場合は、あえてシンプルなシステムを選んだ方が良いケースもあるでしょう。

    HTMLメールが受信環境に作用されやすい

    HTMLではフォントの装飾や画像の挿入など視覚に訴える販促ができますが、ユーザーのメールソフトの設定によっては画像などが非表示にされてしまい、配信側の意図した見え方にならない可能性があります。相手の環境によってHTMLメールとテキストメールを自動的に振り分ける機能がついたシステムを選ぶのがおすすめです。

    メール配信システムの費用の相場

    メール配信システムの費用の相場

    メール配信システムの導入にかかる費用は会社によって違い、「定額制」とメール数によって費用が変動する「従量課金制」にわかれます。基本的には「初期費用+月額」という定額制でサービスを提供しているところが多いです。メールの送信数や管理できるリスト数などに上限が設けられていますが、毎月送信するメール数がある程度決まっているのであれば、どちらを選んでも毎月のコストはそれほど変わらないでしょう。しかし、上限を超えると追加料金がかかる場合もあるのでメールの送信数やリスト数が大きく変動する場合は、従量課金制を選ぶことで費用を抑えられるケースもあるので、自社の運用に見合った方を選びましょう。実際の金額ですが、これはオンプレミス型かクラウド型かによって大きく異なってきます。

    オンプレミス型はサーバーやソフトウェアを購入もしくはレンタルしなければならないため、そのための初期費用が数千円~1万円程度かかります。さらにシステムを利用するためのライセンス費用も250万円程度かかります。月額費用の相場は5000円程度ですが、そのほかにシステムの維持やセキュリティ対策にも費用がかかるため、合わせて月に数万円程度かかると思っていた方がよさそうです。

    クラウド型の場合は、サーバーなどを用意する必要がなく、ライセンス費用もかかりません。初期費用は数万円程度です。その後の月額は1万円前後が相場となっています。また、システムの維持などはサービスを提供している会社側の役割となりますので、メンテナンス費用が不要なのも嬉しいポイントです。ただし、メールの分析機能や配信方法のバラエティを増やしたい場合には、オプションとなり追加料金が発生することが多いので、あらかじめ良く調べて各社のオプションなどを比較しておくことをおすすめします。

    メール配信システムの注意点

    メール配信システムの使用において、「特定電子メール保護法(2002年 成立・施行)」という法律に注意しておかなければなりません。

    違反すれば3000万円以下の罰金が科せられてしまう法律ですので、故意でなくても違反しないよう理解しておくと安全です。法律の名前にもある「特定電子メール」というのは、広告や宣伝を目的としたメールのことです。この保護法においては、受信者の同意を得ずに個人アドレスに向けて特定電子メールを配信することは禁止されています。簡単な例で言うと、美容院などで個人情報を提供する際に「メールマガジンの配信」をこちらが許可すれば問題ありませんが、許可しなかった場合には配信してはいけません。このことを「オプトイン」方式と呼びます。

    また、受信者側がいつでも受信をストップできるような案内を示し、問い合わせ窓口など連絡先を記載することも義務づけられています。広告や宣伝を目的とした特定電子メールには必ずこの「オプトアウト」と呼ばれる約束も守らなければなりません。

    さらにメールの本文に送信元の名前が記載されているか、住所や連絡先がわかるようになっているかも確認しましょう。送信者の表示義務ですので、これをしなければ迷惑メールと認定されてしまいます。

    最後に、メールを配信する曜日や時間にも気をつける必要があります。働く女性向けのメルマガなのか、主婦向けのメルマガなのかなど、受信側の属性によって開封しやすいタイミングの傾向があるので、効果測定もしながら見極めていくことが効果の出るメルマガ配信へとつながります。

    関連記事はこちら【メルマガの法律】特定電子メール法って何?適用範囲と4つのポイントとは

    メール配信システムの選び方

    企業のみでなく、個人からの需要も伸びているため、メール配信サービスは増え続けています。選択肢があまりにも多いことから、選定が悩みとなっているケースも多いでしょう。そこで、ここではメール配信システムの選び方を解説します。

    行いたい配信方法を理解しよう

    行いたい一斉配信方法を理解しよう

    メールの配信方法には大きく分けて2つあります。ひとつはシンプルに一斉配信を行う方法です。メールマガジンなど、同一の内容を多くのアドレスに対して素早く送信できるのがメリットです。

    もうひとつは、配信先を特定の軸によって分類して配信する方法です。セグメント配信やターゲティング配信などとも呼ばれます。送信先の性別、年齢といった情報から、配信先を区分し、それぞれ異なったコンテンツを配信します。宛先の属性に応じた内容のメールを配信することができるため、読まれやすいといったメリットがあります。このように、メールを使ったマーケティングの効果を高めるためには、相手により必要とされるコンテンツを配信することが重要です。

    セキュリティ面に強いオンプレミスか、気軽にはじめられるクラウドか

    メール配信サービスを選定するうえで、もうひとつ最初に考えなければならないポイントがあります。それがオンプレミスと、クラウドです。

    オンプレミスは、サーバーを自前で用意し、システムを構築します。そのため、稼働までに時間がかかり、初期の構築費用がかかります。一方で、カスタマイズ性は高く、自社運用に合わせた仕様にすることができます。

    一方、クラウドはネット経由で、サービス提供企業が運用する外部サーバーを使用する形式です。すでにシステムが出来上がっており、初期費用を格段に抑えることができます。あらゆる端末からアクセス可能で、外出先からでも情報や設定の確認、変更などができます。一方で、顧客の個人情報を含む重要なデータを外部に保存する点については影響を考慮する必要があるでしょう。

    それぞれにメリット・デメリットの両方があるため、用途や組織の規模などに合わせて選ぶことが大切です。

    必要な機能が備えられているのかを確認

    サービスによって備えられている機能は異なりますので、自社に必要な機能が備えられているのかを確認しましょう。

    メール配信先が頻繁に入れ替わるのであれば、リストの自動管理機能は欠かせません。

    また、コンテンツ作成が負担になっているのであれば、テンプレートが豊富なサービスや、使いやすいエディターを搭載したサービス、企画から任せたい場合には、ライティングの代行が可能なサービスを選ぶ必要があります。

    事前にメール配信サービスに求める機能をまとめたうえで、選定を進めるのがおすすめです。

    おすすめのメール配信システム15選

    ここでは、おすすめのメール配信サービスをご紹介します。それぞれ異なる特徴があるため、比較検討しながら自社に合ったものを選定しましょう。

    関連記事はこちら【2024年最新】おすすめのメール配信システム16選を徹底比較!図解でわかるタイプ別分類表付き

    WiLLMail

    WiLLMail(ウィルメール)は、ドラッグ&ドロップを使って直感的にHTMLを作成できるメール配信サービスです。
    専門知識がない方でもHTMLメールを手軽に配信できるため、メールマーケティングやメルマガ配信に初めて取り組む方でも安心して利用できるでしょう。初期費用が0円で、料金形態も月額4,000円~の「シンプルプラン」と月額10,000円~の「プレミアムプラン」の2種類とわかりやすいのが特徴です。

    配配メール

    配配メールは、集客や販促に活躍するメールマーケティングサービスです。
    メールマーケティングに必要不可欠な機能を揃えており、シンプルかつ簡単に使える操作感が魅力です。さらに配信したメールが迷惑メールに振り分けられないための対策を施しており、スタッフによる手厚いアフターフォローも行っております。メールマーケティング初心者でも気軽に相談が可能なため、安心して活用いただけるでしょう。

    また、見込み客の見える化に特化した「配配メールBridge」プランもあり、受信者のメールへの反応を基にした「ホットリード抽出」や、受信者のサイト来訪時に送信できる「トリガーメール/来訪通知」、受信者の前回開封に合わせて配信タイミングを最適化する「メモリー配信」といった機能と共に、メールマーケティングによるさらなる成果を支援してくれます。

    SendGlid

    SendGridは、国内外で広く支持を集めているクラウド型のメール配信サービスです。初期費用は0円に設定されており、クラウドによる提供なのでメールサーバーの構築作業などは必要なく、すぐに使い始められる点がメリットです。

    加えて、専門性の高いエンジニアが多数在籍しており、メールの到達率を高めるための工夫が施されています。無料プランでも月に12,000通までメールを配信できるので、小規模の組織なら有料プランを使わなくても十分活用できるでしょう。

    オレンジメール

    オレンジメールは安価な価格設定が魅力で、シンプルかつ使い勝手の良いメール配信サービスです。半年間の無料試用期間が設定されているため、隅々まで機能を試してみてから使い続けるかどうかを決められるのがメリットといえます。
    さらに月額2,480円~の有料プラン(ビジネス版)に移行してからも、30日間は無料で利用できます。

    Mailchimp

    Mailchimpは海外製のメール配信サービスです。公式サイトは英語で展開されていますが、使い勝手が良い点が魅力だといえるでしょう。無料版でもステップメールに対応しているのが特徴で、コストをかけずに本格的なメールマーケティングを行いたい企業におすすめです。
    加えてレポート機能も豊富なので、詳細なデータ分析にも向いています。機能は一部制限されますが、月2,000件までなら無料版での利用も可能です。

    VPS-NEO

    VPS-NEOはメルマガやステップメールの作成・配信に強いサービスです。特にステップメールは難しいイメージを持たれがちですが、操作しやすいUIが採用されているため簡単に効果的なメール配信が可能です。100以上の機能があるので、より目的に合わせた導入ができます。

    Benchmark Email

    Benchmark EmailはHTMLメールの作成や配信に特化したサービスです。500種類以上のテンプレートからデザインを選べるので、会社の雰囲気にぴったりのものが見つかります。無料トライアル期間も設けられていますので、試しにメール配信システムを使用してみたいという方にもおすすめです。

    Cuenote FC

    Cuenote FCはメールの一斉配信や効果測定など、メールを使ったマーケティングに必要な機能が備えられたシステムです。更に独自開発の配信エンジンを導入することで、スピーディで確実な大量のメール配信が可能になります。

    クラウド型だけでなくオンプレミス型でも提供されているので、さまざまな形で導入できます。

    お名前.comのメール配信システム

    お名前.comのメール配信システムは業界最安の料金形態で展開するメール配信サービスです。月額790円で最大1,000件のメールアドレスをリスト登録できます。運営元がドメイン取得やレンタルサーバーの分野で知られる企業であり、個人商店や小規模企業の導入実績が多くみられます。

    blastmail

    blastmailは12,000社以上の企業や官公庁などで使用されている、クラウド型のメール配信サービスです。テンプレートなども非常に豊富なので、専門的な知識がなくても簡単に各種メールの配信が可能です。

    6万件以上のアドレスを登録する場合は初期費用が無料となりますので、できるだけ導入コストを抑えたいという企業におすすめです。

    MailPublisher

    MailPublisherは社内外のあらゆるシステムとの連携可能で、メール配信システムのみでは難しい高度なメールマーケティングを実現できるサービスです。

    SPIRAL

    SPIRALは基本的なメール配信機能をはじめとして、効果測定やデータの処理なども一括して行うことのできるツールです。スマホや携帯電話への配信にも、専用のエンジンを用意することによってスムーズな対応が可能です。

    WEBCAS e-mail

    WEBCAS e-mailは2001年の発売から20年近くにわたって多くのユーザーに支持されてきたメール配信サービスです。基本的なメールの一斉送信はもちろんのこと、データ分析や情報管理などの機能も充実しています。

    まぐまぐ

    まぐまぐはメルマガ配信に強いメール配信システムです。認知度が高く、利用料が無料な点も気軽に始めやすいといえるでしょう。しかし「誰がメルマガに登録してくれているのか」を知る手段がないため、個別フォローがしにくいというデメリットがあります。

    ワイメール

    ワイメールは有料で、充実した機能が魅力です。多言語対応がされており、中国語や韓国語でも送信できます。さらにメール配信や読者数の上限も定められておらず、企業の成長とともに規模を拡大しやすいといえるでしょう。

    まとめ

    メール配信システムをうまく活用できれば、業務を効率化し、さらにマーケティングの精度を高めることも可能です。メール配信システムにはオンプレミス型とクラウド型など、さまざまな種類、特徴や注意点があります。何を選ぶかによって導入後の手間や自由度も変わりますので、今回ご紹介したポイントを押さえて、ベストなメール配信システムを選んでみてください。

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    「配配メール」は、企業の集客・販促活動に携わる方のメールマーケティング業務を支援するサービスです。
    シンプルな配信操作、見やすい成果指標レポート、メールの反応による見込み客の可視化、サイト来訪通知といった機能によりメールマーケティングの実践をサポートします。
    また、機能の提供だけではなく、ナレッジ提供や個社の運用に踏み込んだ手厚いアフターフォローにより、お客様の販促の成功に向け伴走します。
    メール配信の初心者から本格的なメールマーケティングの実践を目指している方まで、どなたでも安心してお使いいただけるサービスとして、お客様に長く愛され、98%の継続利用率を維持しています。

    記事執筆者紹介

    記事執筆者 山盛 有希子紹介
    山盛 有希子著者山盛 有希子のXへのリンク
    株式会社ラクス ラクスクラウド企画部 オンラインプロモーション課

    自動車部品メーカーで広報として3年間従事し、2020年6月にラクス入社。オンラインマーケティングチームに所属し、メルマガ運用やメルラボの企画・コンテンツ作成を担当。社内外向けにセミナーや勉強会を行い、メールマーケティングのナレッジを提供している。

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